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44話

 少しだけ沈黙が生じた所でルッカが笑顔を一つ作り、


「そっか、今日の事は私がカイルに勝てないからムカついたって事にして欲しい、どうせカイルはルッセルさんと一緒にレベルの高い場所に連れていかれると思うからね」


言葉を言い終えると、ルッカが少しばかり悲し気な表情を見せた。


「はい。それでは私は失礼します」


 それに気付いたのか、ルミリナがルッカの元を去ろうとするが、


「うん、私はお菓子作りの続きするから、今度時間があったら一緒に作ろ?」


 ルミリナがカイルに選ばれたら仕方が無いと思う。友達としてもやっていけると思う。けれど、絶対に負けたくない恋敵ライバルでもある。複雑な心境に押しつぶされそうになりながらも、ルッカはルミリナにぎこちのない笑みを見せたのだった。


「はい、その時は、お願いします」


ルミリナはルッカに対し微笑み、軽いお辞儀をすると調理室を後にした。


 翌日、俺はルッセルさん、エリクさん、セフィアさん、アリアさんと共に炎獄の谷に向かう事になった。

 炎獄の谷はエリクさん達はとっくの昔に行った事があるとの事で、エリクさんの転移魔法により何の苦労もする事無くそこに辿り着いた。

 谷の入り口は燃え盛る火炎に覆われており、中を覗いてみるとその炎に触れる事無く奥へ進む事は不可能に思える。

 鉄が溶ける程強力な炎に見えないが、少なくとも炎に耐性の無い衣服なんかは簡単に燃え尽きてしまいそうだ。

 いや、防具が耐え切れたとしても熱は身体に向けて伝達する訳だから金属製の防具を身に纏っていた所で本人は無事では済まないだろう。

 暑いだけじゃない。ここが谷だけあって見上げれば人力で登る事の出来ない高さの岩壁に囲まれており、飛翔の術でも使わない限り崖の上部に辿り着くのは不可能な位だ。

 けれど、こんな厳しい環境を目の前にしても、この燃え盛る谷の何処かに【闘神の斧】が眠っている事を考えるとなんだかわくわくしてくるから不思議なものだ。


「相変わらず暑いわね~砂漠なんかとは比にならないわ」


 セフィアさんの言う通り、谷の入り口前にも関わらずヴェストタウン近郊の砂漠エリアよりも暑さを感じる。


「フッフッフ、ここで僕の出番ですよ!」


 人差し指をチッチッチっと左右に振らしながらドヤり気に言うエリクさんだ。

 何だろう、分かってるんだけどこの違和感。

 ああそうか、語尾に『ワン』と付いてないせいか。

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