43話
「あの、その、ごめんなさい、ルッカさんが心配でしたからつい」
ルッカから鬼の形相で睨まれたルミリナは、今にも泣きだしそうな目をしながら恐る恐る答えた。
だからと言って本人に当たる訳にはいかないとルッカは深呼吸をし、乱れに乱れた自分の感情を落ち着かせる。
「そう、他人に気を遣わせる真似をしたのは私のミスね、悪かったわ」
それが幾ら(恋敵)ライバルとは言え感情を暴発させてはいけないと自分に言い聞かせながらルミリナに対し言葉を紡ぎ出す。
「その、私、カイルさんから手を引きますから……」
一部始終を聞いていたルミリナは、自分はカイルから手を引く旨を伝えるのだが、
「うるさい! アンタが何をどう思おうがカイルがアンタを選んだら私はそれ以上出来ないのよ!」
ルッカは自分がライバルを蹴落とす事、それが許せなかった。
ルッカにとってルミリナの言葉は、まるで自分がルミリナを蹴落とした様に聞こえた。
それが引き金となり、暴発させない様に抑えていたルッカの感情が暴発してしまったのである。
「ひぃっ、そ、その、私は」
ルッカに大声を浴びせられれ、ルミリナは身体を小さく震わせながら縮こまってしまう。
「私は何よ? アンタの気持ちはその程度な訳? ライバルを打ち倒して勝たなければ意味が無い事位分からない訳? アンタは私に勝ってでもカイルを手にしたいと思わないワケ?」
感情が暴発しているルッカは、そんなルミリナをお構いなしに自分が抱いている感情を言葉にし、ルミリナにまくしたてる。
「分かり、ません」
「アンタのお姉ちゃんが、カイルが欲しいって言ったらアンタは差し出す訳!?」
「お姉ちゃんがそう言うなら私はそれで構いません、私が今居られるのはお姉ちゃんのお陰ですから」
ルミリナは声を震わせ、大粒の涙を流しながら細々とルッカの問いに答えた。
ルミリナの涙を見たルッカは冷静さを取り戻し、
「ごめん、言い過ぎた」
「いえ、私が勝手に後を付けたせいですから」
ルッカは一方的に当たり散らした自分に対して一切責める事のないルミリナに対し、こんな性格の良い女の子なら、もしもカイルが彼女を選ぶのならそれは仕方無いのかもしれないとふと思う。




