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42話

「あら? アリアちゃんは相変わらず勇敢なのね」


 セフィアさんが、今度は真面目な声でアリアさんに言う。


「ルミを守る力が欲しいだけです」

「そう、貴女がそう言うなら無理しない範囲で頑張りなさい」


セフィアさんの言葉に対しアリアさんは黙って頷くと、視線をルッセルさんの方へ戻した。


「分かりました、作戦の参加に感謝致します。それでは明日の明朝に出発しますのでそれぞれ準備を済ませて下さい」



 ルッセルにより、アリアとセフィアが呼び出されしばらくした所でルッカは調理室に向かった。

 その足取りは何処か荒かったせいか、気になったルミリナは彼女の後を追い同じく調理室に入ったのであった。


「クソッ、ふざけんな! どいつもこいつもどうしてカイルばっかり見るのよ!」


 ルッカはお菓子を作る為に必要な生地を八つ当たり気味に叩き付けていた。

 そんなルッカに対し、ルミリナは少しばかり恐怖心を抱きながらも恐る恐る陰から眺めている。


「私の方が先に出会ってるってのに! 学校に居る時だって他の女生徒出し抜くのにどれだけ苦労したと思ってるのよッ!」


幾らお菓子作りに必要な工程とは言え、生地派手な音を立て叩き付ける様子は他の人が見ていたら誰もが強く引いてしまうだろう。


「大体、どうしてアイツは鈍感なのよ! 全部鈍すぎるアイツが悪いんだからッ」


 ルッカは肩で大きく息をしながら自らが叩き付けた生地を眺めている。


「ムカつくっ、私が苦労してライバル出し抜いたってのに、アイツに追い付きたいから学校の勉強だって頑張ったのにっ、料理の勉強だってやったのにっ! どーして冒険者ギルドに教科書通りの女プリーストが現われるのよッ! どーしてそのお姉さんまで美人でプリーストなのよッ!」


 カイルに対する内に秘めた感情が爆発したルッカは、調理場の壁に目掛けて拳を叩き付けた。

 お菓子の生地を叩き付けた時以上に派手な音が部屋内に響き渡り、身を潜めていたルミリナは驚きのあまり思わず「ひゃっ」と小さな声を上げてしまった。


「つっ、誰かいるの!」


 ルッカは右手に残る痛みを堪えながら声がした辺りを探った。

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