41話
会議室の中心には円卓とその周囲を囲う様に椅子が配置されている。
今から始まる会議の参加者は、俺とルッセルさんとエリクさんとセフィアさんとアリアさんだ。
今まで、俺はルッカさんとルミリナさんと共に行動する事が多かった。
けれど今日その二人は呼ばれていないのは何故だろうか?
そんな疑問を抱きつつも、ルッセルさんが1つ咳ばらいをし今回の会議が始まった。
「それでは、皆様にこれからやって頂きたい事の説明を致します。エリクさんとセフィアさんは既にご存じですが【闘神の斧】、アーティファクトの入手をお願いしたいと思います」
闘神の斧。賢神の石に次ぐアーティファクトの1つだ。
しかし、そんな重要な物を取りに行く為に何故俺が? 確かに賢神の石の調査もやったけれど、ヴァイス・リッターを見る限り俺よりも強い冒険者は沢山居るし彼等の方が適任だと思うんだけど。
「アーティファクトですか? そんな重要なモノを取りに行くのに俺なんかが同行するのですか?」
「はい、カイルさん、アリアさんの成長を兼ねての判断です。目的の場所は炎獄の谷です。普通の冒険者からしたら難しい場所ですが、私、エリクさん、セフィアさんからすれば楽に探索が可能な場所ですのでカイルさん達に同行してもらう訳です」
俺の成長の為、ねぇ。いかにも暑そうな場所でそれは兎も角として普通の冒険者じゃ探索すら難しい場所に成長目的で強い人達と一緒に行かせるって、こんな無茶振りは裏でカオス学長が噛んでいる気がするぞ。
「分かりました、どうせカオス学長の命令でしょうから俺に拒否権は無いと思いますし」
「ははは、よく分かってますね、流石セザール学園首席な事はあります。勿論、アリアさんは厳しいと思うのでしたら却下して頂いて構いません、最近入りましたウィザードの方々もコバルトリングのお陰で魔力が戻ったそうですし、彼女達に打診します」
やっぱりカオス学長が噛んでたか。まっ、ルッセルさんからお褒めの言葉を貰えて気分が良くなったしまぁ良いや。
と、思わず鼻歌を歌ってしまいそうな高揚な気分に浸った所で、
セフィアさんがアリアさんに対してぼそぼそとしゃべっている事に気が付く。
「ボウヤ、女の子に対して鈍感なのにこういうのは敏感なのよね」
セフィアさんが言う言葉に思い当たる節は無いんだけど……。気にしても仕方ない。
「いえ、私も参加させて頂きます」
アリアさんは、セフィアさんからの軽口に対し適当な相槌を打つとルッセルさんに対し今回の作戦へ参加の意思を示した。




