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4話

「そろそろ止めた方が良いんじゃない?」


 アリアさんが溜息を一つ付き、俺の耳元で囁く。


「そうだね、エリクさん、嬉しそうな顔してるけどこれ以上続けるのもどうかと思うし」

 

 俺は席を立ちエリクさんが居る場所へと向かう。


「ねぇ、カイル? 私やり過ぎだと思うんだけど」


 俺がエリクさんの近くに辿り着くと、今度はルッカさんが俺に近付きそっと囁いた。


「エリクさん嬉しそうにしてるんだけどね」


 勿論聞かれた事に答えただけで、セリカさんを止めない訳じゃないんだけど。


「そう? ならこれ位が丁度良いのかしら?」

 

 ルッカさんはきょとんとしながらエリクさんの表情を眺め、確かに俺の言う通りである事を知り複雑な表情を見せた。


「セリカさん? エリクさんも悪気があった訳じゃないしその辺で」


 俺はセリカさんの肩をポンと叩きその行動を止めようとする。


「カイル様!? いらしたならおっしゃって下さいませ」


 セリカさんは、俺の方へと顔を見せると鬼の様な形相から一転、目をぎゅるぎゅるとさせまるで天然娘みたいな様子へと変貌させ、持っていた鞭を懐にしまう。

 セリカさん? 俺の耳にはカイル様が『防御障壁プロテクション』を掛けたって言っていた気がするんですけど。

 それはつまり俺の存在を認識していると思うんですが。


「いやまぁ、そうだね?」

「おほほほほ、あたくし、いぬっこ、エリク様にお願いされて仕方なくやっただけで御座いますわ」

 

 今、犬っころって言いかけたよな? なら君は猫を被っているって言葉が相応しいね。

 てか、エリクさんお願いなんかしてないし一方的に踏みつけてませんでした? エリクさん嬉しそうにしてたけどさ。


「かいるさぁあああん?」


 エリクさんが、ガバっと音を立て立ち上がると涙目を浮かべながら俺を見つめる。

 一体何があったんだ? もしかして俺が止めたせいでエリクさんが別の何かに目覚めた? いや、まさかそんなことはあるまい。けど、くっ、俺は確かに女性に興味は無いがだからと言って男性に興味がある訳でもない、心が痛むが丁重にお断り……。


「エリクさん? どうしたの?」


 俺は恐る恐るエリクさんに尋ねる。


「どーぢで止めたんでずがぁぁぁ!?」


 エリクさんが涙声で訴える。

 どうやら俺が心配した事は杞憂だったのだが、しかしエリクさん。つまりは嬉しそうな顔を見せていた通り、セリカさんから締め上げられる事を快感に覚えていたのか。

 エリクさん、貴方はものの見事にMと言う奴なのでしょうか。俺には少しばかり理解しかねますが。


「ははは、ギルドハウスの中ですし、みんなに注目されてますし」


 内心複雑な思いを抱いている俺は、出来るだけその事を悟られない様注意しながら事アバを紡ぎ出す。


「う、そうですね、カイルさんの言う通りです。皆様のさげすんだ視線の中しいたげられたのは物凄く快感でしたけど、もう少し目立たない場所で我慢します」


 エリクさんの口から飛んでもない言葉が放たれる。

 いや、彼がMである事を予想してはいたんだけど、いざ口にされてしまうと少し引いてしまう。

 その感性は俺だけかと周りの人達をチラ見するが、どうやら周りにいる人達も俺と同じ感性なのか、エリクさんの言動にドン引きしているみたいだ。

 ただ一人セリカさんを除いて、だが。 

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