40話
「私の考えすぎでしたか。すみません。てっきり、ルミ達の恋愛を指南するからその見返りとしてカイル君にやましい事をするのではないかと勘繰りました。私の物に関しては見せた所で減る物ではありませんが、特に他者に自慢出来るほどの物ではありませんのでお断りさせて頂きます」
謙遜している様に見えるアリアであるが、それでも普通以上はある。しかし幾ら女性相手とは言え自分の胸を晒し見せる趣味も無ければ目の前にいるセフィアに負けている事は確実である為猶更その気になる事は無かった。
勿論、自分が一番である状況でもアリアにそんな趣味は持ち合わせていないのだが。
一方のルッカは、セフィアに対して汚物を見るかのような目でジトーっと見据えている。
ルッカがその手の話が嫌いなのかはたまた隠しているのかは分からないが。
「クスクス、冗談よ、冗談、真に受けないで頂戴。けれど惚れた男を射止める手として攻撃力が高いのも事実だけどね。それと、『一肌脱ぐ』と言うのは誰かを助ける為に援護するって意味よ」
セフィアは、人差し指を立てながらウィンクを一つ見せる。
自分達が勘違いしていた事に気付かされた3人は顔を少し赤くし、がっくりと肩を落としたのである。
「それはそうと、アリアちゃん?」
セフィアはアリアの元に近付き耳元で囁く。
「お姉ちゃんだからって全てを犠牲にする必要は無いのよ? ボウヤはセザールタウン内で物凄い人気だから仕方ないと思うけど、もしもそうでない普通の男性が現れた時まで妹に譲っていたら貴女自身が持たないわよ」
セフィアは、アリアもまたカイルに好意を抱いている事に気が付いていた。
アリアが、妹の為に自分を犠牲にし、時と場合によっては命を捨てる事を問わないだろうと言う事も。
「いえ、私は長く生きられないので」
恐らくは、妹の為にお金の為に無理な冒険をしその命を落とすだろう。
常日頃そう思っているアリアは、セフィアからの助言に対し自らの感情を押し殺したいのかそっと本を取り出しページをめくり始めた。
「そっか。お金程度の事で困る事が出来た時は私に言いなさい、良いわね」
セフィアがもう一言アリアに囁くと、アリアは小さく頷き、すみませんと呟いた。
セフィアが元居た席に戻り、数秒した所でエリクがやって来た。
「セフィアさん、アリアさん、ルッセルさんが呼んでますので会議室にお願いします」
エリクに言われた通り、セフィアとアリアはルッセルの居る会議室へと向かった。




