38話
「そう、それは良かったじゃない」
いつもの様にクールな返事をするアリアだが、僅かに口元が緩んでいる所を見る限り、心の奥底では仔コボルドの事が気になっているのだろう。
「また今度行けたら良いわね」
ルッカもまた嬉しそうな感情を抑えながらルミリナへ返事をした。
「あら? その今度に誰を連れて行くのかしら?」
セフィアが、何か面白おかしい事を思いついているのか小悪魔な笑みを浮かべている。
「そうですね、連れて行けるのでしたら転移魔法を使える人が欲しいですね」
セフィアの真意に全く気付いていないのかセフィアに対し真面目な回答をするルッカ。
「転移魔法ねー。アレ中々難しいのよ。ヴァイス・リッターで使えるって言ったら、エリク君位しか居ないわね。エリク君、ああ見えてお金だけは稼いでるから悪くない選択じゃない?」
セフィアがくすくすと笑い、ルッカを茶化して見せる。
「悪くない選択って、何がですか?」
相変わらず、ルッカはセフィアが自分を茶化している事に気付いていないのかきょとんとした表情を見せている。
「あら? 話を聞いた限りここは良いデートスポットじゃなくって? 折角なら異性との仲を進展させられるじゃない? ほらエリク君、女癖悪そうに見えるけど手にした事無いのよ。その上でお金は持っている。将来見据えても割と優良物件だと思うわ」
ルッカを茶化しているセフィアだが、内心ではやや真面目に提案をしている。
彼女が言う通り、エリク基Sランク冒険者が稼ぐお金は1度同ランクの依頼をこなすだけで数年分の報酬が得られる事は珍しくない為、Sランクに辿り着くまでにため込んだお金があればある程度依頼をこなすだけでこの先一生働かずとも不自由無く生活出来るだけのお金を手にしていたりする。
勿論Sランクの中でも金遣いが荒く、稼いだお金はすぐに全て使ってしまうタイプもいるのであるが。
「すみません。私あんなお尻の軽い男は幾らお金を積まれても無理です」
ルッカはセフィアの提案に対し、一切迷うことなく断る。
彼女にとって男が稼げるかと言う事、男の稼ぎに依存しながら生きていく事を良いとは思っていない様だ。
「あら? ルッカちゃん見た目通り真面目なのね。なら、またボウヤと一緒に、今度はゆっくりと見回ればいいんじゃない?」
ボウヤ、つまりカイルの事である。




