35話
でも、気持ち良さそうな声がしているから本人は喜んでいるって考えたらここは見て見ぬ振りをするべきなのだろうか?
段々気になって来たな、こっそり様子は見ておこう。
俺はコボルドキングと思われる声がする場所に近付いた。
「って、エリクさん、何やってるんですか!」
部屋に入ってびっくり。
俺の視界に映ったのは、もふもふとした可愛らしい獣人コボルドキング。
では無く、緑色のとんがり帽子を被り緑色のローブに身を纏い眼鏡を掛けたウィザードエリクさんの姿だった。
しかも、何故か多分セリカさんの『拘束』によって手足を縛られ宙吊りにされている状態だ。
けれど、等のエリクさんはにへにへとしながら、超嬉しそうな表情を浮かべている。
「カイルさんも僕と一緒に楽しみたいワン?」
その嬉しそうな表情からは恍惚さすら伺え、エリクさんの瞳は無垢な少年の様に輝いている。
俺からすればそんな拘束状態はどう考えても罰にしか思えないが、エリクさんを見ている限りご褒美なのだろう。
だから、真心を込め本心のままに俺を誘った様だが生憎と俺はそんな趣味が無い訳で。
俺が呆れながらため息をつくと、
「えへへへへ、カイル様ですかぁ~エリクさんとセリカさん、こう見えますけど実は私達が居ないところでは立場が逆転してるんですよぉ~☆☆☆」
俺の近くで膝を抱えながら座り、その様子をニヘニヘしながら眺めている桃色髪のウィザードエリザさん。
背は低く細身の体型で、この前エリクさんが「カイルさん、最近入って来たエリザさん、うっひょーな位ロリロリで僕のおすすめですよ!」と俺に言って来た気がする。
「やだなぁーエリザさん、嘘は言ったらダメですよ? 僕はこうされるのが好物であって僕が攻める趣味は無いですからね?」
こっちはこっちでニヘニヘ顔が止まっていない。『拘束』の魔法によって身体を拘束され宙吊り状態であるにも拘らずだ。
一体Mの人間はどんな考えをしているのやらと俺は随分と呆れ返る。
「えへっ、えへっ、カイルさんとエリクさんですか? 私はそういうのも好物ですよ☆☆」
エリザさんが何やら怪しい妄想を始めている様だ。
俺とエリクさんが何をする妄想をしているのか分からない、多分聞いてはならない世界なのだろう。




