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3話

「君も意外と酷いのね」

 

 アリアさんがぽつりと一言。

 ルッカさんが近接戦闘も得意と気付いて止めていない時点であまり否定出来ない。


「ははは。エリクさんの魔法防御力なら大丈夫ですって」


 俺はルッカさんの近接戦闘性能が高い事を忘れたフリして誤魔化そうとする。


「彼女、近接戦も得意じゃなかった?」


 やっぱり気付いていたか。アリアさんが掛けている眼鏡の奥底から鋭い視線が放たれている様な気がする。


「…………そうでしたね、すっかり忘れていました」

「仕方ないわね、私の方から防御障壁プロテクション掛ける。君も使えたよね? 念の為君の方からもよろしく」


 常日頃、クールな雰囲気を見せるアリアさんであるが、無謀にもルッカさんに対し突撃を行うエリクさんに対して配慮してくれるのは中々優しい人だと思う。


「ルッカさ~~~ん、僕も混ぜて下さーーーい♪」


 アリアさんと俺の防御障壁プロテクションが丁度かかった所でエリクさんがカミラさんみたく、ルッカさん目掛けて飛び込む。


「む、ボクのルッカ様に近付くとは何事ですか!」


 ルッカさん目掛け飛び込んだエリクさんの腹部に向け、確かカミラさんとか言っていた女ウィザードが渾身のアッパーカットを放つ。

 結構可愛い見た目とは裏腹に中々に鋭い一撃を放つなぁと俺は感心する。

 しかし、俺とアリアさんが掛けておいた防御障壁プロテクションのせいか、彼女が放った一撃ではエリクさんの勢いを止められない。

 そのまま、カミラさんがエリクさんに抱き着かれると思ったが、


「私、お尻の軽い男は嫌いなんですけど」


 ルッカさんが1度バックステップを踏み、右手に魔力を集めエリクさんに放つ。

 ルッカさんが放った魔法は雷撃ライトニングボルトである。

 この魔法は雷属性第2階層であり、魔法抵抗力の無い一般人に向かって放てば即死させるには十分な威力を持っている。

 勿論、一般人と比べて極めて高い魔法防御力を誇るエリクさんにとっては小さな虫に刺された程度のダメージしか与えられず、ルッカさんはそれを分かって放ったとは思う。

 ルッカさんが放った雷撃ライトニングボルトは、エリクさんにダメージを与えられずとも空中で一瞬動きを止める事が出来るだけの威力はあったのか、雷撃ライトニングボルトを受けたエリクさんは空中でコンマ数秒程制止する事になった。

 エリクさんにアッパーカットを放ったカミラさんが、その隙を見て横方向にステップを踏みエリクさんとの距離を取る。

 対象から距離を取られてしまったエリクさんは誰もいなくなった地面にダイブし、

 ばったーーーん!!!!

 と派手な音をギルドハウス内に響き渡らせた。

 防御障壁プロテクションが掛けられている以上痛くは無いと思うんだけど、それにしてもすごい音だとは思う。

 今の音に反応したのか、少し遠くから1人のウィザードが凄い形相を地面に突っ伏しているエリクさんに向けながらやって来る。

 それにしてもこのギルド、ウィザードの人が多い様な気がするけど賢神の石の一件で一度にこのギルドに入って来たから仕方無いんだけど。

 それは兎も角として、ウィザードハットに着けられている三日月形のアクセサリーが際立つ全身黒尽くめの美少女ウィザードセリカ女王様。

 元々は別のパーティギルドに所属していたのだけども、そこのギルドマスターダストが賢神の石を奪った事件の関係で彼女もまたヴァイスリッターへとやって来た訳である。

 黙っていれば物凄い美人でアイドルも視野に入るかもしれないんだけど、天は二物を与えないのか、攻撃的な言動が多くドS女王様と言う印象が強い。

 いや、俺は苦手だとしても、エリクさん含め多数の男性から非常に強い人気があったりする訳で、その辺の事情は俺にはよく分からないとか色々あったりするのである。


「おい、犬っころ! あたしの仲間に何しようとしてやがる!」


 とエリクさんをいぬっころ扱いし、あろう事か地面で突っ伏しているエリクさんの背中を踏みつける。

 ゲシッ、と良い音が響き渡り、


「ぎゃああああ、痛いです、痛いですけど」


 エリクさんが悶え叫ぶ。

 エリクさんが悶え叫ぼうが無視してエリクさんを踏みつけた足でぐりぐりと踏みにじる。

 この様子はまるでご主人様と下僕しもべに見えるが、セリカさんに踏みつけられたエリクさんが彼女に怒る様子は見られない。


「あ? 犬が人間の言葉しゃべってんじゃねぇ! テメーカイル様から『防御障壁プロテクション』掛けてもらってるだろ、この程度で痛い訳ねぇよなぁ?」


 俺とアリアさんがエリクさんに防御障壁プロテクションを掛けた時セリカさんはかなり遠くに居たと思うがよく気付いたなと感心しつつも、


「そ、そんなぁ、カイルさんがそんな事する訳無いですワン」


 セリカさんに背中を踏みにじられながら、撫でだか知らないが語尾に「ワン」とつけ犬かするエリクさん。

 しかも嬉しそうな声をしているとなると、エリクさんに対して俺はどんな感情を向ければいいのか困惑してしまう。


「ほー? 犬の分際でご主人様が嘘をついてると? あたしには確かにアンタに向かって『防御力障壁プロテクション』が掛けられるのが見えたけどねぇ?」


 セリカさんは懐から鞭を取り出すと、エリクさんのお尻目掛けて振るった。

 鞭が、パシーンと良い音をギルドハウス内に響かせると同時にエリクさんの悲鳴も響いた。

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