26話
「ククク……ルッカ殿。呼吸が乱れていますね……。魔物が襲来する可能性もあります故、体力の温存は必須でしょう。ルミリナ殿の介抱はわたくしが引き受けましょう……。」
「そうね、ルッド君に言われたら仕方が無いわ、ルミリナちゃんの事お願い。けど、くれぐれもカイルに触れさせないでね」
何故かルッカさんはルッド君の話を聞く。
けれど、念を押してルミリナさんに近付くなと言われたのだが、さて、ルッド君が面白い物をみられるといったけれどこれの一体どこが面白いのか俺には分らない。
暗に、俺はルミリナさんに嫌われていると言っている様に思えるけど、まぁ学園の勉強や鍛錬にしか能のない俺がルミリナさんに嫌われるのは十分あり得る話か。
少し傷付く様な息がするが仕方が無い。
面白いとは思わないが、ルッド君はわざわざ俺がルミリナさんに嫌われている事を教えてくれたのか、相変わらず気の利く奴だ。
これから先ルミリナさんとの接触は控える様にしよう。
「ルッカさんがそう仰るのでしたら……ルッドさん、お願いします」
ルミリナさんが、ルッド君に手を引かれゆっくりと立ち上がる。
少しばかり目の焦点が合っていない様に見えるのは精神に負担が掛かっているからだろう。
しかし、ルッカさんはルッド君に対して特に当たる素振りは見せないな。
俺にはキツク当たるのに。
って事は、俺はルッカさんにも嫌われているって事なのか。
思い当たる節は無いんだけど、やっぱり勉学や鍛錬しかしていないから嫌われても仕方が無いんだろう。
「カイル殿……? 浮かない顔をしておりますが如何なされましたか……?」
ルッド君が俺に小声で話し掛ける。
「いや、特に何も。強いて言えば今の出来事の何が面白いのか分からなかった位だ」
俺がルッド君に返事をした瞬間、少しばかり場の空気が冷たくなった気がした。
「この鈍感……」
「私、カイルさんに介抱されたかったんですけど」
ルッカさんとルミリナさんが小声で何か言っている様な気がしたが、気にする程の事でもないだろう。
「……失敬。貴殿の戦術観察能力を見据えた上での判断でしたがお許しを……」
「いや、お陰で重要な情報が手に入ったし感謝するさ」
本人が面白いと思う事が人にとって面白いとは限らないし、その程度の事でわざわざ詫びると言うのも相変わらずルッド君は優しいと言うか。




