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20話


「ククク……先行させて頂きますよ」


 ルッド君がニンジャ特有の機動力を生かし、敵の元へと向かう。

 流石はレンジャー学部2位のルッド君だ。俺とデビッドよりも遥かに高速でふれあい広場へと向かう。

 ルッド君がニンジャを学ばなければ彼がレンジャー学トップを取っていたと思わせられる位に速い。


「はっはっは! 俺様は魔闘将ルカン様の部下である! 愚かで雑魚なコボルド共からこの土地を奪いに来た、大人しく死にやがれ!」

 

 ふれあい広場の上空で、ワイバーンにまたがる魔族が叫んでいる。

 その魔族とはまだ距離があるにも拘らず俺の耳に届くのだからその声量は高い。

 上空から飛来した魔族に対しルッカさんが、ルミリナさんを庇う形で前に出て魔法の詠唱をしているみたいだ。

 ふれあい広場に居た仔コボルド達はぷるぷると震えながらルミリナさんにべったりとくっついている。


「こんな可愛いワンちゃんを襲撃するなんて許せない!」


 ルッカさんが、ライトニングの魔法を魔族の頭上を狙い放つ。

 詠唱速度の速さを選んだ結果、第一階層の魔法を選定するしかなかったのだろう。

 ゴロゴロ、と轟音を響かせ一筋の雷が魔族に直撃するが、


「はーっはっは、威勢の割には大した事ねぇなぁ! おい! 人間の女か! 奴隷にするか食料にしちまうか良いお土産じゃねぇか」


 大したダメージを与える事は出来なかったみたいだ。

 早くルッカさんの元へ辿り着かなければまずい!

 せめて誰でも良いから前衛が盾になり、ルッカさんの詠唱時間を稼げる状況を作らなければ魔族に対して有効なダメージを与えられない!


「ルッカさん!」


 ルミリナさんが、自分とルッカさんに防御壁プロテクションを掛ける。

 それに合わせ、俺も防御壁プロテクションを二人に向け掛ける。

 二人と距離はあるものの、これ位の距離ならば射程範囲内だ。


「カイル!? ならっ!」


 二人分の防御壁プロテクションを掛けられたルッカさんが、杖を持ち身構える。


「おいおい、人間の分際で俺様の攻撃に耐えられると思ってるのかぁ?」


 ワイバーンにまたがる魔族手に持つ槍を構え、地面に居るルッカさんに向け強襲を仕掛ける! ワイバーンの速度が乗った槍の一撃は凄まじい威力が予見される、防御壁プロテクションの重ね掛けで耐えられるか怪しい。


「ククク……僕は援護が得意でしてね」


 俺よりも先に駆けていたルッド君が懐から何かを取り出しルッカさんの足元へ投げつけると、矢筒を魔族に向けフッと一息を掛け、ルッカさんとルミリナさんの腕を強く引っ張る。

 まずは、ルッド君がルッカさんに向け投げつけた何かから白い煙が広がり周囲の視界を遮り、続いて。


「チィィィィ人間の癖にに生意気なっ! 俺様の目をくらました挙句、こいつは麻痺毒かっ!」


 上空から魔族の叫び声が聞こえる。

 どうも、白い煙のせいで標的を見失った上に身体を痺れさせられ怒りを覚えているみたいだ。

 出来る事ならば、デビッドの時の様に全く動けなくなって欲しいが、魔族の声を聞く限りそこまでの痺れを受けていないみたいだ。


「後は俺に任せろ!」


 白い煙が引いた所で俺はルッカさん達との合流を果たし、右手に剣を持ち左手に盾を構え、皆の盾となるべく魔族の前に立ち塞がる。


「俺に任せろだぁあ!!!???雑魚が増えた所で何も変わんねぇんだよ雑魚が!」

「おう! 上等だ、掛かって来い! このデビッドが相手になるぜ!」


 魔族の煽りに対し、今到着したデビッドが声を張り上げ応える。


「カイルだけに良い所とらせないからね!」


 ルッカさんが魔法の詠唱を始める。

 俺はルッカさんが魔法を完成させるまで、敵の攻撃に耐えれば良い。

 出来ればもう少し後ろ、ルッド君やルミリナさんは俺達よりも距離を取っているからウィザードであるルッカさんならば同じ場所まで後退して欲しいが……。

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