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15話

「わんわん☆」

「わわんわんわん♪」


 俺達が近付くと、2匹の門番コボルドが目をキラキラと輝かせながら、わんわん吠えている。

 しっぽもフリフリしてるところからも、ルッド君の言う通り彼等が敵対する意思は無さそうだ。

 その愛くるしい姿に対しルミリナさんは完全に魅了され、ルッカさんはコボルド達をもふりたい気持ちを抑えきれない様に見える。


「おいおい、あのコボルト俺達を見ても剣を抜かねぇぞ?」


 コボルト達を討伐する気満々であるデビットは拍子が抜けている様だ。


「クク……彼等は我々に敵意を抱いておりませんよ……討伐しても構いませんが、姫方から嫌われてしまうかもしれませんよ」


 姫方、ルッカさんとルミリナさんの事だろう。ルッド君から鋭い指摘を受けデビッドがためらいの意を見せる。


「兎に角、入ってみよう」


 俺は皆を促し、『わんわん・ぱらだいす☆』の中へ入ろうとする。


「わんわん!」


 門番の1匹が両手を広げ俺の前に立ち塞がる。

 90cm程の身長であるこのコボルドが必死に通せんぼをしている姿もまたどこか愛くるしさを覚えてしまう。


「フフフ……入場料が必要みたいですね……」


 ああ、なるほど。

 ルッド君が言う通り、テーマパークである以上入場料は当然必要になるのか。

 俺は道具袋をあさりお金を取り出し門番に手渡す。


「わんわん」


 俺から入場料を受け取ったコボルドは、右手で門の奥を指し中に入れと言う仕草を見せた。

 身長90cmの犬族が見せるその仕草もまたどこか可愛らしさを覚えてしまう。


「ククク……ルッカ殿、携帯性の高いお菓子は持ち合わせていませんか……?」


 ルッド君が何かを思いついたのかルッカさんに尋ねる。

 確かに、料理を作る事が好きで暇さえあれば俺の家にやってきてまで朝ご飯を作ってくれるのだから、携帯性の高いお菓子をルッカさんが持っていても可笑しくはない。

 しかし、ルッド君は意外に甘いモノが好きなのだろうか?

 それにしても、今からわんわん・パラダイス☆の中に入ろうとするこのタイミングで食べようとしなくても良いと思うけど。


「クッキーならあるわよ? ルッド君? お腹空いたの? 早く言ってくれれば良かったのに」


 やはり、ルッカさんは携帯用のお菓子を所持していたのか道具袋の中から小袋を取り出しルッド君に手渡す。

 その様子を、デビッドが少しだけ羨ましそうに眺めている。


「クク……大した物じゃありませんが……」


 ルッド君はルッカさんから受け取ったクッキーを門番のコボルドに、入場料と一緒に渡した。


「わんわんわん☆」


 コボルドは目を輝かせ、よだれを垂らしながらクッキーを受け取ると半分をもう一匹のコボルドに渡し、クッキーにかぶりつくともしゃもしゃと咀嚼恩をたてながらあっという間に平らげた。

 コボルド達も甘いモノに目は無いのだろう。

 クッキーを食べ終えたコボルドはおかわりが欲しそうなのか、愛くるしい瞳でルッカさんをみつめる。

 その可愛さに負けたのか、ルッカさんがもう一度クッキーを取り出しコボルドに手渡すとその頭を優しく撫で、ルミリナさんもコボルド達の可愛さに負けたのかもう一匹のコボルドの頭を撫で始める。


「フフフ……彼等は獣人ですからね、お金も大事ですけど食べ物も大事なのですよ……さて、コボルド殿、中の案内をして頂いてもよろしいですかね……」


 確かにルッド君が言わんとする事は分かるが、けれどわざわざコボルド達にクッキーを渡す意味があったかと言われたら無い様な気がする。

 おや? ルッド君が多分コボルド語で何かコボルド達と話しているみたいだ。

 俺は人間の言葉以外の言語は勉強していないと言うか、セザール学園で教えられる物事じゃないから個人的な趣味以外で多種族の言語を学ぶと言う事は無かったかな。

 ルッカさんとルミリナさんから頭を撫でられまんざらでもない様子を見せながらルッド君と対話をしている2匹のコボルド。

 段々と俺もその輪に混ざりたくなってしまうが、男の俺がコボルドをもふもふして良いのか、頭なでなでを許すのは可愛い女の子だからな気がする為自重しなければならないのは仕方がないのだろう。

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