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1話


―ヴァイスリッター―


 今はダストにより【賢神の石】を奪われて数日後の話である。ヴァイスリッターは元の活気を取り戻していた。

セザール学園を首席で卒業した俺はカオス学長が出した指示の下、ヴァイスリッターに所属し先輩達の指導の下様々な鍛錬や勉学に励み更なる成長を遂げている。

また、現在俺は同じく学長よりヴァイスリッターの人達と力を合わせアーティファクトと呼ばれる強力な武器を集めてくれとの依頼も受けている。

俺は主に剣術を扱い、またセザール国上確認されている全7段階ある魔法の階層の内第3階層の魔法迄扱う事が出来る。

第三階層の魔法と言えば、炎の属性ならば爆裂炎フレイムブラストと言った、対象の周囲に巨大な炎の塊を3つ展開させ強い勢いで同時に対象を襲撃。更には生物の身体に触れると爆発を起こす。

魔法を扱える。

これは同じくセザール学園上位の成績で卒業した新人ウィザードも扱え、学校を出ていない新人冒険者では例えウィザードであったとしてもまず扱えるものは居ない。

新人冒険者の中では凄いらしいが、俺自身もっと上の人達がいる以上凄いとは思えなかったりする。

現在俺の冒険者ランクは、F(最低)~SSS(最高)の中でDランク。

これも、最近冒険者になったばかりにしては冒険者ランクの上昇が早い方だったりする。

此方の方もやっぱりもっと強い人達がいると考えれば手放しに喜べる事は無い。

容姿に関しては、周りが言うには端麗らしい。

細身で平均よりも高い身長で顔の形も整っている事。

これはこれで、別に王子様や貴族の人達に比べて優れているとは思わないので、容姿の事を言われたとしてもお世辞としか捉えていない。


「へっへっへ、カイルさ~ん、新しく入ったウィザードの女の子可愛くて仕方ないですよね!」


 緑色のウィザードハットを被り、眼鏡を掛けた先輩ウィザードのエリクさんが、物凄くはしゃぎながら俺に話掛ける。

 この人は大の女好きで、滅茶苦茶振られまくっているけどもめげずにアタックし続けている事から物凄い根性がある人と思えるんだけど、如何せん手あたり次第、それこそ可愛ければ美人なら何でもいい、みたいに攻める訳だからその想いが成就した事は一度たりとも無いらしい。こう見えてもウィザードとしての手腕は超一流で、ウィザードの上位職であるハイ・ウィザード。冒険者ランクはSで、俺もエリクさんの魔法等に助けられる事も多くてお世話になっていたりするんだけど。

 こんなノリのこの人が、実は冒険者ランクSでウィザードの上位クラスであるハイ・ウィザードだったりする。

 実力は折り紙付きで、多種多様の属性で且第六階層の魔法を扱える。

 第6階層の魔法となれば、長い詠唱時間が必要であるが、発動さえさせてしまえば人口100人程度の小さな集落なら壊滅させてしまう事が出来るらしい。

 それだけなら英雄と言っても過言ではないんだけど、如何せんこの人はドMで犬化する趣味があって、ある意味変態と言うか何と言うか。

 見ているだけなら面白いんだけど、だからと言って任務遂行中や後輩の指導中は至って真面目なのだから何とも言い難いと思ってしまう。



「可愛いか可愛いくないって言われたら可愛いんじゃないのかなぁ?」


 俺は溜息を一つ付きながらエリクさんに返事をする。

 何故かと言われたら、彼はつい最近このヴァイス・リッターに参入して来た3人の女ウィザードに夢中になっているみたいで、俺の記憶が正しければ別のプリーストに猛烈アタックしていた覚えがある訳で。

 覚えがある訳と言うか、今俺がいる場所はヴァイスリッター、ギルドハウス内の勉強スペースの一角で、この一角には毎日魔導書等読書による勉学に励んでいるプリーストさんが居て、だ。

 一体全体、猛アプローチをした女性の目の前で新しく入って来た女の子の話題を出来るのか少し疑問に思ったりもするんだけど、確か以前エリクさんに聞いた所、「僕はアリアさんに振られたので問題ありません!」って言っていたっけ。勿論、そのアリアさんに再アタックを何度もしているんだけど。


「それでそれでカイルさん、カイルさんはどの女の子が良いですか? 僕はあの娘が良いんですよねー」


 エリクさんが、自分が狙った女の子以外を狙うなと言わんばかりに言う。

 ちょっと待てよ? 確かエリクさんってこれまた最近入って来た女王様チックでドS女ウィザードにメロメロじゃなかったっけ? 彼女からは散々罵倒されて犬扱いされていたような覚えがあるけど、けれど振られている様な覚えはないしかと言って肯定されている覚えもないが、幾ら何でもその状況で他の女の子に手を出そうとするのはどうかと思いたいけど、エリクさんだしなぁ。 


「いやー、俺はあの中の3人どころか誰にも興味無いですよー」


 俺はちょっとジトーッとした目をしながらエリクさんを見据える。

 強いて言えば、黒猫の被り物をしている少し背が低いウィザードに興味があるかもしれない位なんだけど、でも、その娘、何だか自分の世界に入り浸る事に忙しそうな感じかな。


「そうね。男なんてロクな者がいないもの。逆も然りと言った所かしら」


 プリーストが扱う魔術に関する書物を眺めながら、アリアさんが呟く様に言う。

 だが、何処か冷たく心に突き刺さるのは、アリアさんが男を敵対する程嫌っているからかもしれない。

 目の前にエリクさんみたいな軽い男が居る以上そんな言葉が出て来ても不思議ではない。

 確か、アリアさんは過去男から酷い目に遭わされたと軽く聞いた事がある。深くは知らないが。

 とは言え、俺が女性に興味を抱かないのは女性が俺を興味持つと思わないし、何よりも勉学や鍛錬に忙しかったからで、女性に興味を抱く暇があるならば1回でも多く剣を振って、少しでも多くの魔導書に目を通したかったからで。

 その結果俺はセザール学園を全ての科目で首席を取ったんだけど、それは気が付いたらそうだったとしか言い様が無い。

 そんなアリアさんは、セイジを目指すプリーストで冒険者ランクはB。

 美人である事から、男性冒険者からは非常に人気があり、何ならAランクの冒険者ですらパーティを組まないかと誘われる位だったりする。

 男性に対して毒付いた事を言うアリアさんだが、何やらお金を稼がなければならない理由があるらしく男性冒険者からの誘いでも相手がAランク冒険者だった場合に限りその誘いを受けているとか。

 

「いえ、俺は鍛錬や勉学の方が重要と思うだけで、何より俺に興味を持つ女性なんていないと思いますよ」


 俺は、思った事の1部を口に出すが、


「そう」


 と、何か含みを帯びた相槌を打つアリアさんに対し、


「ええええ!?!?!?!?カカカカ、カイルさん!? 知らないんですか!? ルッカさんにルミリナさんに……ヴァイスリッターだけでもカイルさんに興味津々な女の子が沢山居るんですよ!?」


 沢山と言いながら2人しか出て来ていないが、それって沢山って言うのか? それは兎も角として。


「ルッカさんが? ははは、まさか。ルッカさんは何かある度執拗に俺を勝手にライバル視して食って掛かって来るだけですよ。ルミリナさんだって、あんなに可愛い娘が俺に興味示す訳無いですよ」

「君はルミに危害を加えそうにないけど、それはそれで複雑ね」


 ルミリナさんの姉である、アリアさんがやっぱり呟く様に言う。

 今度は凍り付いている様な感じはしないんだけど、アリアさんがそれはそれで複雑と言った意味が俺には分らなかった。

 そのルミリナさんは、アリアさんの妹であり、俺と同じ時期に冒険者になったプリースト。

 彼女もまた可愛いに属する容姿を持っており男性からの人気は高かったりもする。

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