表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鯨の空  作者: 藤原(の)コウト
七日間天体観測
41/56

九月十五日(水) 1

「アホみたいにキツい……」


 九月十五日、水曜日。午前十時。熱は三十八度五分。症状は熱と喉の痛みと全身のだるさ。俺はベッドの中でもぞもぞしながら独り言を呟いていた。


 昨日、雨の中を馬鹿みたいに走り回ったせいで傷口からウイルスが混入、見事に風邪を引いた。さっきまで母さんが看病してくれていたのだが、仕事のこともあって感染(うつ)るといけないと俺が追い出した。風邪そのものの心配というより、母さんは風邪引いても絶対仕事に行こうとするから、その事前妨害だ。


 俺はと言うと、もちろん休んだ。学校に行けるような容態でもないし、母さんに止められたし、何より俺が行きたくなかった。

 昨日自分の残り期限を今一度自覚したせいで、学校に行くことになんとなく抵抗を感じているのだ。学校に行ったところで別に楽しくねえし、一週間後にいなくなるのに今さら何を学んでも意味ないし、何より春原と遊べない。俺の中の学校の価値は、昨日一日で大暴落していた。元々マイナス付近をうろちょろしてたけど。


 ということで、もし明日容態が回復したとしても、俺は学校をサボることを決意した。一度そう決めると、これまで何で愚直に通ってたのかが分からなくなる。暇だったのかね。


「うえ……」


 気は楽になったが、体が気持ちについてこない。飲み物を取るのに腕を伸ばすのすら辛い。近年引いた風邪の中でも割と重いやつかもしれない。俺ってやつはつくづく間が悪い。何で今になってこんな風邪とか引くのやら。


「どれもこれも宇宙人のせいだ……」


 十八年何度も言ってきて、もう癖みたいに宇宙人を非難した。宇宙人本人が聞けば濡れ衣だとでも思うのかもしれない。

 でも、彼らのおかげで春原(はるはら)とも知り合えた。


「…………」


 結局、春原の質問には答えられなかったな。自問にすら。なぜ春原を助けたのか。そんな哲学的な質問、ウイルスに浮かされた頭では分からない。

 宇宙人だからなのか、そうじゃないのか。そうじゃないなら一体何なのか。考え出すと頭が痛くなる。比喩じゃなく本当に。なんたって病人だしな。


「寝るか……」


 難しいことは後回しにして、今は眠ることにした。寝て体力を回復させれば、今よりはマシな考えができるだろう。風邪の辛さからも逃げられるし。

 俺はゆっくりと目を閉じた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ