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目覚め…大福もちこ視点


…私はこの世界の人族のステータスを司る精霊の一人

少し前、とある"英雄"と呼ばれる方の生涯を見届けて担当契約が解除された私に早速任された新しい人族は、何とも違和感ばかりのある相手だった。


先ず第一に、新たに生誕した人族じゃないっていう事…。


まるで今まで姿が隠匿されてていきなり現れたみたいな形で成長していた人族だった。



次にその人族が居る場所…。


人族達や私達が"勇滅の森"と呼んでるその場所は…踏み込んだら人族個人の強さじゃ生きて出られない様な過酷な死者の森なの。

それでも時々、何人か入り口付近で何かをしてたり王族の儀式とかに使ったりしてるから全く足を踏み入れないって訳じゃないけど、その人族…そんな危険な森の中心部に近い奥の方に居たの。


兎に角一度姿を消してその人族の近くに飛んで行ったけど、最初に見た時彼はとても衰弱してて今にも死にそうな顔してた。魔物にでも追われたのかな…だとしたら良く生きてたって正直驚く。


実際見た後も彼には違和感ばかり。


見慣れない服。


変な形の荷物。


文字なのか模様なのか分からない変な形の書類。


私と話してた時に食べてた食べ物も変わってたかな。



それでも変更の利かない新しい契約者だから、私は敬意を忘れず丁寧にステータスの開示を求めたんだけど彼は面倒臭いって言って後回しにしようとしたの。

普通最初は親が行って滞りなく済むのにこれじゃあ名前も分からないよ。


何とかステータスの開示の了承に漕ぎ着けたけど、ステータスを見てからもびっくりした。



種族…"異世界人"?


何その人種。

この人、この世界の人族じゃないの?


説明した時ステータスの精霊の事も知らないなんてこの人はどれだけ無知なんだろうって思ったんだけど、種族が示すようにこの世界の人じゃないとしたら知らないのも分かる気がする。


小説家っていうのは書物を書く人族の事だろうから別に気にならなかったけど、何?あのスキル…彼自身は興味無さそうでスキルの欄を開いて確認しなかったけど、ただ書物を書くだけの職業なのに、あんな何でも有りな効果を持ったスキルなんて見たことも聞いたこともないよ!


思わず本人に質問しちゃったけど知らないって言ってたし本当に異世界人なら分かる訳ないよね…はぁ。


精霊の欄について彼、龍真さんが聴いて来た時は少し…ううん、結構命名に期待してた。

前の担当だった英雄は私に素晴らしい名前を付けてくれたし、もしかしたら彼もこのスキルの恩恵で英雄になる素質が有るかもって思ったから小説家らしい素敵な命名を今か今かと待ってたの。


なのに…


信じられる!?


名付けられた名前はもちこ…大福もちこって!


もちこよもちこ…!

もう敬意とかそんなの吹っ飛んじゃった。


有り得ない!認めない!絶対嫌っ!



抗議する私に彼は名前の意味合いを教えてくれたの。

うん、まぁ…何でかわからないけどぷにぷにしたような感じの名前じゃなくて、そう言う意味を持ってるっていうことなら、仕方無くだけど許してあげようかな。


でも、もちこかぁ…。


そうそう、龍真さんは自分の年齢にも文句言ってた。

本人は34歳って言い張ってるんだけど…ねぇ?

どう見ても私にはステータス相応の少年にしか見えないよ。


色々質問してきたけど質問内容から察するに、彼の居た所は随分便利な物が多かったのかな。

無いって答えの方が多いから結構ショックを受けてたみたい。


それから少し間を置いて私の中に入って来た情報は彼のスキル追加だった…なんで?

このタイミングでスキルを得るなんて…っ。

しかも彼がさっき話してた【自由保存(フリーストレージ)】。


…彼は何か違う力が働いて…とか思ってるみたいだけど、多分最初に有った固有のスキル【万物創造】の影響じゃないかって私は思うの。

多分他の精霊仲間達に聞いてみても同じ事を思うだろうなぁ…。



その事を本人に伝えようとしたけど…駄目、全然聴いてないみたい。

結構粘ったんだけど聴いて貰えなかったから諦めて眠る事にしたんだけど、もしスキルを【創造】しちゃってたら…きっと恐ろしい事になるんじゃないかな…。




────────────────────



──…ました。

──…ました。

──…ました。

──…ました。


うぅ…なんか繰り返し頭に響いてる。


レベルが上がりました。

レベルが上がりました。

新しいスキルが追加されました。

レベルが上がりました。




折角の睡眠を邪魔されたくなかったから寝てる間啓示遮断してたら、それの効果時間が切れた途端引っくり返るくらい夥しい啓示が流れて来た!

こんな鬱陶しい状態で安心して眠れる訳ないってば!



今すぐ龍真さん起こして龍真さんと話さないと!!



「龍真さん、龍真さん!いつまで寝てるの!?起きてっ!起きてー!!」







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