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森の中の星空

読んで下さってる方、評価下さってる方、有難うございます。


龍真本人が強く望んだタイミングで欲しいと思ったスキルが追加された。

都合良くスキルを得られた龍真本人は喜び半分恐怖半分…と言った心情だった。


(何故だ?確かに俺はアイテムボックスが欲しくてそんなスキルが有れば良いとは思った…それでも、たったそれだけで追加されるなんて事ははっきり言って異質過ぎるだろ…)


【多言語理解】に続いて【自由保存(フリーストレージ)】は短時間で二度目に起こったスキルの獲得となる。登山する中突然異世界に足を踏み入れていた龍真にとって、この出来事は新たな可能性を産んだ。


それは…、


自分の異世界転移に何者かの関与が有る可能性だ──。



仮にもしそうだとしたら、その事についても色々と考えなければいけないのだがその辺は起こり得る可能性の1つとして自分の頭の中に入れておいた。


「何か不気味だが…まぁ、良いとしようか。もちこ、追加されたスキルっていうのは詳しい内容まで把握出来るんだよな?」


大々的な疑問を解決する前に目の前の疑問から1つずつ噛み砕いて解決していく為に、もちこへ意識を戻して質問を続ける。次の問いはスキル詳細の表示だった。

これは精霊から口で解説されるよりも表示されて理解出来た方が龍真としては助かる内容だ。


「寧ろ私の方が貴方って存在に驚きだけど…うん、知りたい物の詳細とかも聴いてくれれば開示出来るよ」


もちこからの返答は龍真の望む物で、それを聞くと直ぐに追加スキル【自由保存】の詳細の開示を求めた。



追加スキル

・【自由保存(フリーストレージ)

触れた物を自らの意思1つで自由に出し入れ出来る無限空間。内部は時間停止空間、但し生命体の出し入れは不可。


「……成程」


「さっき話してたアイテムボックス?…出来ちゃったみたいだね。龍真さんって本当何なの?」


追加スキルの解説が脳内に投影されると龍真は納得の表情を見せ、もちこは再び引き気味な態度になるのだった。

何なのというもちこの言葉に対して龍真としては"日本人だ"と答えたい所だったが無駄な応酬になりそうだったのでそれは体力の無駄だと思い直し軽く流すという大人としての対応を取ると決めた。



(もし、強く願う事で未だ他にもスキルが追加されるんだとしたら、今後は慎重に選ばなければならないな…良くある異世界モノのチートスキルを思い出してどれから覚えたいのか考えないと勿体無い。回数は有限かも知れないからな)


龍真は連続してスキルを獲得出来た事実から、何となくもう少し自分の望んだスキルが貰えるチャンスが有るだろうと予想していた。

もし自分が神やその対象を動かせる立場にいて他人を使って何かをやらせたいと考えたのなら、そうしてある程度自分の自由にスキルを追加させた方が見ていて面白い展開になるだろう…などと自分が小説家として産み出す立場の考え方を持っていたからだった。


「このまま寝るのは危険なんだよな…だったら今の内に強く願うスキルを吟味しておくか」


いつ何処から襲われるかも分からない危険な森だともちこに知らされれば安易に眠る訳にもいかず、龍真は時間潰しを兼ねて欲しいスキルの吟味…もとい整理を始めた。

今までのオタク人生の影響で龍真は夜の活動に強かった。勿論性的な意味ではない、夜更かし行動の方である。



────────────────────────────

──────────────────

────…



自分が使用出来るのなら確実に欲しいと思うスキルを吟味していたら辺りはすっかり暗くなっていた。異世界に来て初めて心躍らせる楽しい時間だったかも知れない。その間明らかに隙だらけであったのだがそれはご愛嬌という奴だ。襲われでもしてたら洒落にならないが。


龍真が集中しだして途中から相手にされなくなったもちこは暫く龍真にちょっかいを掛けたり質問したりしていたが、内容を把握してない曖昧な返事ばかりで不貞腐れ一足先に足元で静かな寝息を立てて寝ていた。野宿だというのにも関わらず慣れてる様子で逞しい精霊だと龍真は率直に称賛した。

ステータスの精霊という存在にも睡眠行為は必要なのかと突っ込みたいところだったのだが

、大人しく寝かせておいた方が賢明だと判断して起こすのを止める。


(自分より強い何かを相手にするには遠距離からの攻撃スキルは欠かせないな…集団に対しての対処だって必要だし、後欠かせないのは防御面のスキルか…死んだら元も子も無いしな。)


因みに現在の龍真は手ぶらで動き易い状態になっている。持っていた荷物は全て、得たばかりのスキル【自由保存】に収納して片付けていたのだ。

閉鎖空間で集中したいが為にやはりテントを張ってその中で考えようとも思ったのだが、もちこが眠る前に言った森の危険性を考えると直ぐに動けた方が良いと判断してテントどころか荷物全てを収納するという選択を取るに至る。


(即死系のスキルは欠かせないよな…でも仮に得られるとしても、即死系スキルは序盤のレベル上げにだけ使って後は直接戦った方が見る方に対しては面白みが出るだろうなぁ…)


現状はっきり言っていつまでこの世界に居るか分からないが、身の安全を考える他に新たな可能性を得た事が龍真の心に余裕を産み、龍真は別な事も考えていた。

"これ、実体験を元に小説にして出したら、結構面白い作品が書けるんじゃないか?"…という商魂逞しい妙案だ。


(結局のところ、何かで楽して経験値を稼げる状態だったりしたらそんな危険への対策を考える必要も無いんだけどな…例えばほら、日常生活で絶対行う動作で…とか)


妄想逞しく色々考えてると、もちこが目覚めた時に聞きたい事も自然と増えてくる。

別に急ぎの何かが有る訳でも無く、誰かに使命を課せられた訳でも無い突発転移の龍真には時間の余裕も有る為、分からない事は少しずつ聴いていってこの世界の知識を蓄えていけば良いだろうと余裕綽々の態度で焦る気持ちは殆どなかった。


(後はラノベ的な展開で面白みを増やすのなら、早い段階で必要なのは異性の存在か…?題材にするなら個人的には華が欲しいしな)


自分の求めるスキルに関してある程度方向を定めると、今度は小説展開として第三者の視点から求めるだろう所に思考の焦点を定める。

龍真の作る小説には大体綺麗とか可愛いと称される十人十色の魅力的な女の子を出していくのが主流なのだがリアルな異性とそういう関係になる機会はなかった為、異性の設定も妄想の範囲からは抜け切らなかったのが事実である。


龍真の容姿は転移する前、崩れている訳では無いが整った顔立ちを持ってる訳でも無い、良く評価しても平均的と評価される容姿をしていた。

没頭してる趣味が趣味なだけに目立ったコミュニケーションを取ったりせず、友人も居ない事は無いが男ばかりの交友関係で生きてきた龍真にとって、異性への免疫や対応力は皆無に等しかった。


「駆け引きだとか好感度とか今更考えて生活したくないし、レベルと一緒に自分の魅力とかも上がってモテたりしたら最高だけどな…」


異世界に来てからステータスで随分と若返っていた事を知った龍真だが未だ自分の容姿がどう変わったのかまでは確認していない。

わざわざ確認などしなくても過去の自分を思い返して見れば大体どの程度の容姿なのか想像するのは容易いからというのが理由だ。


(そう言えば…ステータスを確認した時自分の強さを示す"能力値"って無かったよな…数値化すると上限があったり何か不都合でもあるんだろうか…?)


魅力の増加を期待してふとした疑問が浮かぶ。

異世界でのステータス表示の能力値はテンプレ中のテンプレだ。


(仮にこの体験を自作ゲーム化させるとしたら、やっぱりその時は数値が有った方が分かり易いよな。そう言えば…未知の物とか罠の有無とか、宝箱の鑑定とか物や人の差異とか識別出来る能力って言うのも有る意味チートだよな…所謂"魔眼"…みたいな奴とか)


自分の作中で登山のリアル体験を使って表現しようとして山登りしてる最中に転移した龍真にとって、異世界に居る今の現状は一層作品のリアリティーが増す状況下の為、実体験の小説だけでなく自作でもゲーム化しても楽しくなりそうだと考えていた。

このような中二的な方向へ思考が行き着いてしまうのは有る意味現実逃避である感も否めなかったが。


目立った敵意や殺気も他の生物の姿も見えたり感じたりしないまま此処まで安全に時間が経過していても龍真の緊張は解けず、もう何度目かの周辺確認を済ませると龍真は顔を上げえ夜空を見上げた。

この世界のよぞらは地球で見上げる夜空とはやはり異なり、大陸が見える程近い星や地球で見えるサイズの星々が折り重なり、どんな原理か浮遊してる島なども遠巻きで見受けられ何とも色とりどりの幻想的な光景だった。


あの近い星同士は互いの星の重力で引かれ合って衝突とかしないんだろうか───


不意に感じた恐怖で近くの星を凝視してみるがそんな様子は皆無だった。

此処は異世界なのだからそういう事も平気であるんだろうと自分を無理矢理納得させた龍真に突然強烈な眠気が襲い掛かって来る。


(…駄目だ、起きてないと。襲われたら……)


龍真の抵抗も虚しく瞼は重力に逆らえず上下の瞼が接触する。朝からの体力消費が激しく慣れない遠出の外出登山から始まり、産まれて初めて生命の危険に晒され完全に限界を超えていた龍真はそのまま静かに眠りに落ちて行った。







投稿予約とかも効率良く使いたいですが未だ模索段階ですね。

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