魔物が増えた生活
《おい、龍真よ…目覚めるのだ》
《「…朝か」》
龍真達はミアティスの母親、フェルスアピナのレティスをフェルスアピナの住処に置いて龍真の生活する住居に戻っていた。
夕食を焼いた魔物の肉で済ませ深い眠りに着いたミアティスと聖獣のシオンを見て龍真は1日の出来事を書き起こし、こういう能力が有った方が便利だとか17歳になった時に降りた人里でどう対処するかを考え眠りに着いた後シオンの声で目覚める。
瞼を擦り着替えてテントから出て、洞窟の外を見てみると明るくなり始めた早朝だった。
因みにミアティスは龍真の寝袋の横に木の葉を集めて寝ている。
幾ら魔物でも人の姿が強いミアティスを差し置いて寝るのは良心の呵責に苛まれる龍真がミアティスに寝袋を使えと命じたのだが、ミアティスは頑なにそれを拒んだのだ。
《マスター、私はスレイモンスターだし、気にしちゃ駄目…なの。マスターの横で眠れる、幸せ》
そんなミアティスの対応に仕方無いと諦めた結果今の状況に至った。
これによって早急な寝具追加の必要性が問題点として上がる。
《シオン、まだ朝には早いんじゃないか?》
薄明かりの中シオンの方を見上げるとシオンの眼ははっきりとしていて既に随分前から起きていたのが分かる。
《何を言っておる、龍真。お前は我が友なのだからもっと強くなって貰わねばならん、実戦経験は幾ら積んでも損は無いからな!》
好戦的なシオンが何を目的で龍真を早朝から叩き起こしたか理解した。
強くなっておく事は龍真の今後に置いても重要事項ではあるが、早朝からというのは勘弁して欲しい所だろう。
龍真1人だけ夜更かししていたのも大きい。
《「悪い、後数時間後で勘弁してくれ…」》
「あ、おはよう龍真さん。また新しいスキルが追加されたみたいだけどそれだけ教えようか?」
龍真がシオンをあしらい再びテントに潜ろうとした瞬間、もちこが姿を現してステータスにスキルの追加があった事を伝える。
決して龍真が眠ろうとしてるのを名前の腹いせに邪魔してる訳では無い…恐らく。
「もちこ、このタイミングか…。分かった、追加されたのだけ教えてくれ」
良いよ~という返事の後もちこが追加された物を表示して龍真もそれを捉える。
†追加スキル†
【感情保護】
【神圧】
【叛転】
【万物集束】
【万物纏合】
【万物離散】
【飛天縮地】
以上が今晩追加された物だった。
「龍真さん、私もう驚かないよ」
何度も同じような追加スキルを見てきてるもちこはもうどんなスキルが龍真に追加されても驚かないようだ。
自分で言った通り最早平然と捉えている。
《なんだ、新たな力を得たと言うのか?》
追加スキルの話を聞いていたシオンはスキルの開示を終えた龍真に近付き確認する。
《スキルを少しな…》
《そうか、ならば尚更実戦経験を積まねばなるまいな》
曖昧に答えた龍真だったがシオンにとっては充分な返答だったらしく、俄然やる気に満ち溢れたようだ。
《何で余計に……あぁ、そういう事か。俺がスキルやレベルに見合った動きだとか精神だとかにならないと振り回されるって事だな》
シオンの態度に最初疑問を持っていた龍真もゲーム脳が働いて流石に意図に気付いた。
《良い良い、自ら答えに達したようだな。龍真自身が導き出した答えの通りスキルは使いこなしてこそ意味が有る、人族の研鑽出来る時間は余りにも短いのでな。だが私が教えながら実戦に付き合えば多くの力を使いこなせる様になるだろう!》
龍真にとってこの申し出は有難い物だった。
得られたスキルを試して見たくても無闇に自然を破壊する気は無い、そして実際に動いてる相手で無ければ分からない事も多いが魔物達にも生活があると分かった以上倫理的に虐殺するのも憚られる。
そんな燻っている状態な所に聖獣のシオンが協力してくれるのだから乗らない手は無かった。
《そうだな、シオンが問題点の1つを解消してくれるなら俺から願いたいくらいだ…それで何を報酬に求めるつもりだ?》
《ほう、やはり龍真は人族にしては弁えているな》
これだけの協力に対価が無いとは思ってなかった龍真はジャージに着替えながら要求する物は何か真意を探る。
シオンは一拍呼吸を置いた後、感心した様子で肯定する。
聖獣ともなると相対する人族は余程無礼な奴が多いのかと人間関係に面倒臭さを感じた物の口には出さず用意を終えて立ち上がる。
《何、私が求めてるのは退屈しない娯楽だ。一巡りに一度私と本気で戦ってくれれば良い》
《そうか、退屈させない戦いにしないとな。一巡りっていうのは大体どれくらいの期間なんだ?》
シオンが対価として求めたのは退屈しない戦いを定期的に行う、という物だった。
しかし次に耳にした"一巡り"がどれくらいか見当も付かない龍真は隠しておきたい気持ちも有ったがシオンに教えて貰う事にした。
【識別眼】で見たシオンは今は裏切る様子が無かったからだ。
《なんと、頭の回る戦い方をしていたから社会教育を受けていたと思ったが違ったのか。あぁ、皆まで言わずとも良い、おおよそ小さな村の出かスキルの関係で森に捨てられ此処で育ったとかそんな流れだろう?勿体無いまま燻らせるつもりはないのでな、そっちの面でも教育してやるから安心すると良いぞ!》
何やらシオンは説明をする前に勝手に解釈して、勝手に同情の眼差しを向け、勝手に社会方面の勉学にも協力すると申し出てきた。
龍真はテントとか寝袋とか服装とか無視して斜め上な返答が来たな…と思ったが黙って頷いて心遣いを受け取っておく。
《うむ、それで…一巡りの期間が知りたいのであったな。一巡りというのは、起きてから眠る頃迄を一刻と数えるのだが、それを30回繰り返す範囲を一巡りと括るのだ》
《すまない、助かる》
龍真が懸念していた一巡りの単位は大体地球の一ヶ月と同様だった。
こうなると時間の数え方や他の単位も気になってくるので籠ってる内に学べるだけ学ぼうと改めて気を引き締めた。
《無知でいるより知識を拡げた方が私にとっても得だからな。では始めようか……龍真よ、お前のスキルを大まかに教えてくれないか?》
《鍛練するには仕方無いな、先ずは……》
必要な事を終えると龍真とシオンは洞窟の外へ足を進める。
スキル確認をお互いに終えると洞窟周辺に戦闘音が響き始めた。
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───…
《…んぅ》
龍真とシオンが戦闘訓練を始めて暫し時間が経過し、辺りが完全に明るくなった頃ミアティスは静かに瞼を開けた。
《マスター達は…?外?》
ミアティスが身体を起こすと龍真が即席で拵えたバスタオルの巻き布が崩れるが、生来衣服を纏わず生活している魔物の為羞恥心が無いので意識せず龍真達の姿を探すが直ぐに外だと気付いた。
スレイリンクの効果で龍真の存在を感知出来るミアティスはそれだけで安心し胸を撫で下ろす。
シオンの様に友好関係を結んだだけの状態で一人のまま目覚めていたなら、ミアティスは動転して探し回っていた事だろう。
短時間の中でそれ程までにミアティスの中の龍真という存在は大きくなっていたのだ。
《…マスター、スキルの練習…してる?》
ミアティスがフェルスアピナ本来の広範囲の聴力を駆使して耳を済ませると龍真とシオンの声を捉え、会話内容からスキルを試しているのだと理解した。
《行ったら邪魔…かな。あ、それなら…》
今すぐに龍真の元へ駆けつけたいミアティスだったが、下手に見学に行っては邪魔になるだけだと思い留まり、スレイモンスターとして何が出来るか考え、思い付くと即座に行動へ移した。
読んで下さってる方々、ブックマークして下さった方々いつも本当に有難うございます。
クリスマスも過ぎてもう年末ですね、身体を壊さずに良い年末年始をお過ごし下さい。




