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拠点を作って滞在してみる


「今日はこれくらいで充分か…?」


イビルティグレスの死体を自由保存(フリーストレージ)に何の懸念も無く保存した龍真は再び"勇滅の森"を歩き回り、出会った単体の魔物や別な方向を見ていて油断してる魔物を何度か倒した。


「これくらい…って言う話しじゃないんだけど。こんなに倒してどうするの?」


倒した物量を把握する為に1ヵ所に山積みしていた。

大小合わせて50を越える魔物をそれぞれ急所に一撃で倒した龍真は確かな手応えを感じていた。主に食料への。


「いや、これだけ倒しておいたらどれかは珍しい種類の魔物じゃなくて普通に食用に出来る奴が居るかと思ってな」


「食べるって…もしかして本当に勇滅の森に滞在するつもりなの?」


もちこは幾ら龍真のスキルが異常な物だったとしても森への滞在はほぼ冗談でさっさと人里に降りていく物だと思っていた。

龍真の前の担当だったのが英雄の1人だったもちこにとって龍真は戦闘にしても旅をするにしても素人丸出しに見えた。


如何に落ち着いた様に見えていて34歳だったと言い放ち異世界人という特殊な人族だったとしても、14歳の少年なのは事実なのだからこんな場所には恐怖を覚えて当然だった。

魔物と対峙した時も恐怖が先立ってギリギリでスキルを使って、少し慣れたから距離にも余裕を持って討伐出来たと勝手に予想していたのだ。


だが、食料の事を考えていたとなれば話しは変わる。

現世に干渉の少ない精霊だったとしても勇滅の森は長時間滞在したいとは思えない場所な為、もちことしては一刻も早く街へ足を運びたいのだが、龍真の意見を曲げさせる説得が出来ないだろうと悟り滞在するしかないと半ば諦めた。


「…【識別眼】。成程、食える奴も普通に混じってるな」


良く見ると地球で言う牛や豚に似た魔物も混じっていたのだ。

獣と思われる魔物は大抵食用にもなると識別出来た為、火を通せば大概食べられるのではと判断したようだ。


「果実や植物の食べられる奴も欲しいんだけどな…それも識別眼で……っ!」


肉ばかりでは不調になると思いこの世界で摂取可能な植物や果実を周辺で見分けようとした瞬間、龍真は激しい眩暈と吐き気に襲われ思わず膝を着いて俯く。


「大丈夫?きっと魔力の枯渇だよ…後先考えず倒し続けるから~」


原因不明の症状で多少驚きを見せた龍真にもちこは魔力枯渇だと指摘し、同時にスキルが魔力によって発動する物だと身体で理解させられた。


(そうか…スキルを使う魔力、精神力…ゲームで言うとMPが尽きるとこういう状態になるんだな。長期戦が有ると過程して途中でこうなったら致命的…早い内に学べて良かった)


龍真は今の苦しみへの後悔よりも今後森の外に出た先で魔力枯渇にならなくて良かったという感謝の念の方が強かった。

時間の経過に比例して体調が落ち着いて来ると同時に龍真はスキルの連続使用で魔力枯渇に陥らない方法を模索していく。


固有スキルの【万物創造】でスキル創造が出来たのだと言っていたもちこの意見を信じるならば、対策出来るスキルを創造出来ると推察したからだ。


(魔力が尽きる前に通知出来る様にするか…いや、他に応用が利かないかも知れない。そもそも…──)




…───経験値を瞬きで得られる様に所持してる魔力とやらが枯渇しなければ良い



そう思い描いた瞬間…龍真の身体が一瞬輝き、もちこの表情が硬直する。


「龍真さん、新しいスキルが追加されたよ。スキルだけ見る?」


「追加スキルの確認だけとかは出来るのか?」


「うん、それは大丈夫」


「それなら…確認する」


ステータス全ての明示ではなく、部分的な明示が可能だと知って首を縦に振る。

肯定の意を見せた龍真を一瞥してもちこは追加されたスキルを表示する。


追加スキル…【魔素呼吸】



「…どういう事だ?」


スキルの名称だけでは直ぐに理解出来ずスキルの詳細を求める。

大体の予想は出来てる物の不鮮明な内容では足元を掬われる可能性が高い。


【魔素呼吸】

呼吸して取り込む酸素と同時に全てに存在する魔力を吸収する。



「それで深呼吸してたら楽になってきたのか…」


どうやら通常の魔力枯渇はもっと深刻な症状だったようだがこの追加スキルの効果で比較的軽微で済んでいたらしい。


「龍真さん、そのスキル…一歩間違ったら龍真さんが爆発しちゃうスキルだよ?」


「何でだ?」


いつもスキル追加に驚きばかりのもちこだが今回は驚きよりも不安や心配の方が勝っていた。


本来、所持魔力は有限で限界量を突破してしまうと肉体の方が魔力の膨張に耐えきれず暴発する。

レベルが上がり魔力耐久や使用精度が上がらなければこの世界の魔力とは上手く付き合っていけない事をもちこは説明した。

龍真の追加スキルの呼吸するだけで魔力が上がって行くという状態は常に魔力消費しているなら兎も角、何もしない状態で放置しておけば直ぐに身体の内側から暴発するのだ。


偶然とは言え先に【瞬眼成長】を会得して常時成長状態を保てた事はまさに奇跡的だともちこは龍真に釘を指した。


「まぁ…偶然得たスキルの順序でも影響無いならそれで良いけどな」


実はこの偶然の様な順番にも龍真のスキル【天運】が作用していたのだが、偶然でも何でも結果的に大丈夫なら気にしない龍真は気付く事は無かった。


「それにしても、ステータスの精霊という割に色々知ってるんだな」


「基本的に人族に着いて回ってるからね、嫌でも頭に入るし説明出来なかったらステータス司れないよ!」


他意無く感心した龍真に対して胸を張るもちこ。

龍真は次の行動に進む為に左手をかざして魔物達の保存を始めた。




───────────

───────

──…


倒した魔物を【自由保存】に収納してから龍真ともちこは勇滅の森を歩き回った。

先ず居住を構えるのに洞窟を探して、これは比較的早く見付かった。

洞窟を根城としている大蛇の魔物と遭遇したが龍真は難なく撃退して収納する。

外側はある程度狭く内側が広くなっておりテントを立てて周りに防護柵を建てても充分な広さがあった。


次に龍真が目指したのは水源だ。

湧き水や川などが有れば生活幅が増える。

遠く無ければ良いと一抹の不安を持って散策していたが洞窟から比較的近い場所に透き通る綺麗な川を発見した。

有害物質が無いか確認する為に【識別眼】で水質を視てみたが、魔素が濃い以外害は無かったので完全に洞窟を拠点として活動すると決めた。


木々を調べて見ると多数の木の実や果実と思われる物体を発見して一通り収納した。

どれが食べれてどれが食べられないかは後で分別する事にしたのだ。



「も、もう良いかな?何でそんなに元気なの~…」


朝目覚めてから1日歩き回り、飛んでいただけのもちこの方が限界を告げる。

精霊とは言え勇滅の森を長時間探索するという行為はこの世界で過ごす者からすれば神経をすり減らす行為だとしか言い様が無く、驚きの連続も重なって必然的な疲労だった。


「今日探すのはこれくらいで充分か…これから施設も充実させないといけないしな」


もちこの弱音を聞いた龍真は探索を切り上げ拠点と定めた洞窟に戻る。

長い溜め息を吐き出して気を緩めたもちこを見ながら【自由保存(フリーストレージ)】からテントを取り出し設営する。

余程の事が無い限り暫く片付ける事も無いので頑丈に設置した。


(必要な物は挙げたらキリがないから贅沢は言ってられないな。それでも最低限の水準は保たないと長くは居られないし難しい所だな…)


設営したテントに入ると久々の閉鎖空間で溜まっていた疲労感が一気に龍真に襲い掛かって来た為瞼を擦り欠伸しながら寝袋を取り出して半分だけ中に入る。


もちこを見ると既に宙に漂いながら眠っていた。

大丈夫かと心配にもなったが起こさずそのままにして龍真も眠りに着いた。






読んで下さってる方、ブックマークして下さった方有難うございます、本当に嬉しく思います。



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