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72話 幸せの道

 志望大学からの合格通知を受けて、家を出てママチャリで結菜のマンションに向かう。マンションの18階の結菜の家へ入ると涙を溜めた結菜が待っていた。結菜も手に合否の手紙を持っている。



「合格したよ。これで宗太と一緒の大学だね」



 2人で抱き合って喜んでいると、瑞穂姉ちゃんが欠伸をしながら部屋から出てきた。



「2人共、受験に合格したのかい。おめでとう。これで私の後輩になるね」


「「はい。よろしくお願いします。先輩」」



 俺達2人は瑞穂姉ちゃんが通っている大学を1次希望していたので、念願の大学に合格したというわけだ。



 結菜のスマホが振動する。結菜がスマホを取ると凛からだった。スマホの向こうで凛が嬉し泣きをしている。凛は東大を志望していたのだが、上手く合格したようだ。さすが凛。俺達は凛に「おめでとう」と繰り返した。



 それから後は俺のスマホも結菜のスマホも友達からの電話が続いた。みんなそれぞれに大学に入学できたようだ。良かった。俊司は滑り止めの大学も受からず、予備校で頑張っていくという。頑張れ俊司。



 俺達2人が高校へ連絡するが、電話回線がなかなかつながらない。みんなそれぞれに担任の先生に結果を報告しているのだろう。すずなちゃんの個人携帯へ連絡すると、すずなちゃんが出た。俺達は2人一緒の大学に合格したことを伝えると、涙声で「おめでとう。よく頑張ったね」と言ってくれた。









 卒業式の日、最後の登校、結菜と2人でいつものように寄り添って歩く。結菜も切ないのか朝から涙交じりだ。校門を前にして生徒達が集まってくる。校門に生徒達が集まって来る。俺達はその間をゆっくりと歩く。いつもの風景だ。でもこれで最後かと思うと妙に感傷的になる。



 体育館に2年生と3年生が集められて、長い校長先生の言葉や、来賓客の方々のお言葉が終わって、2年生代表が送辞を読み、3年生代表の凛が答辞を読んだ。それぞれに檀上に順番にのぼっていって、卒業証書をもらう。これで卒業式は終わりだ。



 2年生の女子が俺と結菜と凛の3ショットの写真を欲しがるので、恥ずかしいけど、写真に撮られていく。2年生は思い思いの先輩の元へ行って写真を撮っていく。凛と結菜が大人気だった。



 すずなちゃんに挨拶した後に、俺達は学校を後にした。校門に着いた時、凛と握手を交わす。凛とは違う大学になったからそうそう会えるわけではない。凛も都会の家から大学へ通うという。



「今まで本当にありがとう。宗太、結菜、2人のおかげで楽しかったわ」


「私も宗太と凛がいてくれたから大学に合格できたんだよ。凛は私の親友。ありがとう」



 最後に2人は抱きしめ合って、いつまでも涙を流していた。凛は黒崎さんの運転するリムジンに乗って去っていった。



 俺と結菜は寄り添って、結菜のマンションまでのいつもの道を歩く。「今日はゆっくり歩いていきたい」という結菜の要望に応えて、普段よりもゆっくりと歩いて帰る。



「いろいろな高校生活だったけど、宗太といて楽しかった。だから大学も楽しくなると思う」


「そうだな騒々しい高校生活だったけど、結菜と凛がいて楽しかった。結菜と一緒の大学に行けてよかった。楽しい大学生活にしよう」











 あれから3年が過ぎ、俺達は大学3年生になった。俺はシュートボクシング同好会に今でも通っている。結菜もシュートボクシング同好会のマネージャーをしていた。



 すずなちゃんと南さんは結婚して、すずなちゃんは1児の母となった。桜木さんは大学卒業前から必死に就活をして、ある企業に就職した。今はそこで一生懸命働いている。瑞穂姉ちゃんは都会でスカウトされて、モデルの仕事についている。あの色気と美形だから、人気が出るのも頷ける。



 赤沢と零が意外なことに付き合うことになった。慎と栗本は別れたが、今は別々の彼氏、彼女がいる。神楽と俊司もとっくに別れて、神楽は今は社会人の大人の男性と付き合いをしている。俊司はまだ未練タラタラで廃人状態らしい。だれも怖くて近寄れない。



 凛は東〇大学からシ〇ゴ大学へいくそうだ。自分が専攻する研究が面白くて、その道に進むらしい。全く、男っ気がないのが気になる。












 あれから2年が経ち、俺は南さんの会社の正社員となって、由梨さんと一緒に仕事をしている。結菜は教師になるために、今は臨時講師として、以前に俺達が通っていた学校で講師を務めている。



 すずなちゃんは3人の子供の母親になったので、学校の教師を引退して南さんと一緒に幸せに暮らしている。



 凛はシ〇ゴ大学へ行ってしまった。写真が送られてきたが、まだ俺のあげた指輪が光っているのが、悩ましい。



 桜木さんは務めた会社で一生懸命に働いている。瑞穂姉ちゃんはモデル業が忙しくなって、最近は桜木さんと会っていないようだが、桜木さんとは密会を続けているようだ。












 俺と結菜の結婚式の日、凛がシカゴから戻ってきてくれた。久々の再会で2人が抱き合って喜んでいる。凛にフィアンセができていた。名前をジョニーというらしい。凛はジョニーを連れてきた。とても長身で恰好のよいイケメン男性だ。慎、零、赤沢、栗本、神楽も祝ってくれた。俊司は今、行方不明だそうだ。俊司の話しはどうでもいいのでしないことにした。



 結菜のお父さんもお母さんも駆けつけてくれた。お父さんはお母さんにヒールで足先を踏みつけられて、涙目になっている。瑞穂姉ちゃんも忙しい中を駆けつけてくれた。桜木さんも久々に瑞穂姉ちゃんに会えてうれしそうだ。



 すずなちゃん、南さん、由梨姉ちゃん、大樹おじさんも駆けつけてくれた。もちろん黒崎さんもいる。加奈と母さんも来てくれて、結菜のご両親と挨拶を交わしている。



 小さい教会の神父の前で誓いの言葉を交わして、指輪の交換をする。そして誓いのくちづけを交わした。結菜のウエディングドレス姿はとても綺麗で俺は見とれてしまう。



 そして結菜はブーケを投げる。見事、凛がキャッチした。凛は嬉しそうに微笑んでいる。



 小さいけれど皆に祝ってもらえた最高の結婚式になった。











 それから2年後、結菜が女の子を産んだ。名前は杏菜。俺と結菜の子供で、結菜に顔がそっくりだ。そのことで皆に安堵された。どういう意味だ。



 俺達は色々と日常あるけれど、3人でこれからも頑張っていこう。過去を振り返ると、結菜と出会ってから、色々なことがあったけど、いつもあの向日葵のような笑顔に救われてきた。これからもあの笑顔に救われるのだろう。俺はあの笑顔が大好きだ。



 俺達は色々あったけど、過去を振り返れば、全てが幸せに続いていたような気がする。



 だからこれからも結菜と一緒に幸せの道を歩いて行こう。いつまでも結菜を愛してる。

                                                                                       

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