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52話 不満ー朝霧結菜side

 瑞穂お姉ちゃんは桜木さんを車で送っていった。だから、今、マンションの中は宗太と私だけ。いつも宗太と会っているけれど。学校の行き返りや学校の中だったり、2人きりの時間がありそうでない。



 そして土日になると宗太は朝から瑞穂お姉ちゃんに勉強を教えてもらって、昼から道場に行っちゃって、マンションに来てくれても少しの間しか会えない。



 私は密に不満に思っていたのだ。宗太成分が私には足りていない。だから今日はいっぱい甘えて宗太成分のチャージを満タンにしなくちゃ。



 私は宗太を誘って、マンションの近くの公園へ行くことにした。この公園は宗太も私もお気に入りの小さな公園だ。いつも学校帰りに寄って、宗太と話している公園だけど、夕陽のころにあまり来たことがない。



 宗太はブランコに乗って、ユラユラとブランコを揺らしながら、空を見上げている。宗太は空を見るのが好きだ。いつでも、どこでも、チラっとでも空を見ている。



 宗太に聞くと、空は自由を感じるのだそうだ。宗太にそんな感覚なんてあったんだと、はじめはビックリしたけれど、今は宗太に合ってるなと思う。空を見ている時の宗太の横顔が好き。



 いつも変なことばっかり考えていて、とっぴょしもないことを考えつく宗太だが、空を見ている時だけは真面目な顔をしている。その横顔が恰好いいの。でもそのことは誰にも言わない。宗太にも言わないの。私だけの秘密。



 宗太はこの公園に来ると、いつも自販機でコーラを買ってくれる。宗太には言ってんないんだけど、本当はコーラのこと、そんなに好きじゃないよ。宗太に合わせてたら、いつの間にかコーラ好きと間違われたみたい。別にそれでも構わない。宗太が買ってくれたものなら、なんでもいいのだ。



私もゆったりとブランコをこぐ。ブランコは大好きだ。小さい時にブランコで遊んだ思い出が次々と思い出されるから。宗太もやっぱりそうなんかな。



 宗太が歩き始めた。私は腕を絡めて、寄り添って宗太と歩く。でもこの前、宗太が私の腰に手を回して、私の体を抱き寄せて歩いてくれた時があった。その時、胸がドキっとした。今は宗太に腰に手を回してもらって抱き寄せてもらって歩くほうが好きかも。だって、なんか、俺について来いって感じで恰好いいじゃん。あんな抱き寄せられ方しちゃうと、「はい、ついて行きます」って言いたくなっちゃうもん。



 でも宗太がなかなか腰に手を回してくれない。それが今の1番の不満。もっとイチャイチャ・ラブラブしたいじゃない。いつも私のほうから手を絡ませるのって不公平だと思うのよ。うん。



 だから、今日は私から積極的に頑張るの。宗太の左手を持って、私の背中に左手を持っていった、私が宗太の左手を自分の体に密着させた。宗太は何をやってるんだというような目で私のことを笑っている。宗太は私が宗太の体で遊んでいても怒ることはないから大丈夫。



 宗太の左手がセット完了になったところで、私は宗太の耳へ口をよせてささやく。「ギュッと私を抱きしめて」すると宗太は目を白黒させていたけど、左手を腰に回して私をギュッと抱きしめてくれた。そして私は、宗太に寄り添って歩く。そうすると私両手が自由になるんだよね。



 だから宗太の胸板とか、顎とか、頬を触って遊ぶ。初めは宗太はイヤそうだったけど、すぐに慣れたのか、私のしたいようにさせてくれている。そんな宗太が私は大好き。



 日暮れになっていく街を、宗太と一緒、宗太と一緒に歩く。最近は宗太からイチャイチャしてくれないような気がする。私はもっとイチャイチャしたいのに、わかてくれない。だから私は宗太の乳首を摘まんで思いきり抓った。



 「ウォーーーー!」という悲鳴が宗太から上がった。男性でも乳首を抓られると痛いんだね。1つ勉強になった。これから宗太をお仕置きする時に使ってみよう。



 最近の宗太と私はマンネリしているような気がする。傍から見ればイチャついているように見えるかもしれないけど、私からすれば物足りない。もっとガツガツと宗太から迫ってきてほしい。もっとギュッとされたい。



 私はつま先を伸ばして、宗太の顔へ自分の顔を近づける。そして、宗太の頬にキスをする。宗太はキスに免疫がないから反応が面白い。すぐ顔を真っ赤にして照れてしまう。可愛い。



 でも本当にしたいのは頬じゃないの。私はつま先立ちになって顔を近づけて目を瞑る。宗太もその気になってくれているみたい。今日こそ、初チューをすることができる。そう思った時に、宗太の脚に犬が噛みついた。



 いつも、どうしてチューをしようと良い感じの雰囲気になった時にばかり、邪魔が入るのよ。その犬、どこから現れたのよ。犬は宗太を追い回す。宗太は必死で逃げている。犬は宗太を追いかける。その犬を飼い主さんが追いかけていく。こんな雰囲気じゃあ、キスは無理ね。私は外でキスすることを諦めた。



 私と宗太はマンションへ帰る。まだ瑞穂お姉ちゃんは帰ってきていない。宗太と2人でベランダから夜景を見る。宗太はこのマンションから見える夜景が大好きだ。いつまで眺めていても飽きないと言っている。私は宗太に腰に手を回してもらって抱き寄せてもらって夜景をみている。とても幸せ。私は宗太の胸板に顔を寄せる。



 宗太が私を見て笑いかけてくれる。いいームードだ。今がチャンス。私はつま先立ちになって宗太の唇に自分の唇を重ねるようにして目を瞑る。これは大丈夫。邪魔ものはいない。



 その時、猫のソウタが宗太の脚をひっかいた。宗太は怒ってソウタをおいかける。なんでソウタ、そこで邪魔するのよ。ソウタは私の味方じゃなかったの。どうしてもキスができない。



 私はどうしてもキスがしたいのに、紗耶香に聞いたんだけど、既に佐伯とキスしたって、それにムカつくことに黒沢まで結衣とキスしたというから許せない。私が一番早く宗太と付き合ってるのに、なんであの黒沢にまで追い越されないといけないのよ。そのことが1番の不満となっている。



 確かにパパからチューは禁止だと宗太は言われているけど、パパは海外赴任中なんだよ。それにママは応援してくれてるんだから、パパのことなんて放っておいたらいいのよ。早く私からキスを奪ってよ。



 瑞穂お姉ちゃんとはどさくさにまぎれて、ファーストキスしているのに、なぜ私とはキスをしないんだろう。今日こそ宗太に真相を聞かなくちゃ、納得できないわ。



 そう言えば、宗太の夕食を作るのを忘れてた。今日は出前でいいかな。宗太もけっこう出前、好きだもんね。

宗太になにか食べたいかと聞くと、天丼と答えが返ってきた。私はすぐに出前を頼んで天丼を2つ持ってきてもらう。



 2人でテーブルで天丼を食べる。たれが多くて美味しい。ナイス宗太。美味しいよ。宗太はあっという間に完食してしまった。2人でご馳走様を言って、食器を洗って、マンションの前に置いて置く。



 宗太にどうしてキスをしてくれないのかと聞くと、目を白黒させている。それでも聞くと小さい声で答えてくれた。キスをしたらもっと色々としたくなる。歯止めがきかなくなる。だからブレーキが必要だ。結菜を俺から守るためだから我慢してほしいって言われた。



 ママも公認だから、色々しちゃってもいいのに、約束を守ってる宗太って可愛い。それに私を大事にしてくれているんだなと実感した。大好き宗太。愛してる。



 でも、最近はイチャイチャが少ないような気がする。明日からももっと宗太に迫るようにしよう。

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