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第六話 セバスチャンの回想

めちゃくちゃ短いです。

明日もう一度更新します

「そういう訳でリオーラ様を救い出させていただきます」


  セバスチャンは申し訳なさそうにレオに言った。

  レオは今話されたことが真実かどうか信じきれなかったが、去っていく時との表情、なにより目の色の違いに何かがあったということは分かった。


「別に持っていくのは構わないが…………お前、殺されるぞ」


  プリオノスクスはそんなに甘い盗賊団じゃない。それはセバスチャンが誰よりも分かっていた。

  裏切り者の末路は吐くほど見てきたし、その引導を渡したのも1度や2度ではない。

  けれどセバスチャンは約束を違える気はなかった。


「はい、構いません。どちらにしろあと2年で私は寿命を迎えますから、それまではどうにかリオーラ様を助けたいと思います」


  はぁ、とレオは大きくため息をついた。


「俺に任せろ」



「……あなたが死ぬ理由はないはずですが」


  レオはセバスチャンに近づき、その拳を軽くセバスチャンの胸に当てた。


「俺もこの団には飽き飽きしていたところだ。それに、俺を殺せるのは団長ぐらいしかいない」


「過信は身を滅ぼしますよ」


「なんならここで証明してみせよう」


  参りました、という風にセバスチャンを首を横に振った。


「私はすぐに召喚魔法でリオーラ様と国外に逃げます。レオも来ますか?」


「いや、俺は団の撹乱に回る」


「なぜ、そこまでしてくれるのですか?」


  セバスチャンは単純に疑問に思った。

  レオにそこまでされる覚えはない。

  レオとは必要最低限の団員としてのかかわり合いしかなく、友人と言えるほどの存在ではなかった。


「別に俺は死ぬ気なんて微塵もない。それに撹乱に回るのは俺がまだ金が必要だからだ、勘違いするな」


  これは小さくない貸しを作ってしまった、とセバスチャンはぼやいた。


「お金、必要なんですか?」


  セバスチャンはもともと貸しを作るのはあまり好んでいない。職業柄、その貸しは少なくない確率で命に直結する。

  だからこれは当然と言えば当然の、取引という形に落とし込もうとした、そういった瞬間だった。


「ははぁん、そういうこと。でもでもそうは問屋が卸さないってね」


  2人は突然現れたの異物に驚き振り返った。


「ナンバー2、「亡者」様ともあろう者が何かご用でございますか?」


  セバスチャンは冷や汗を垂らしながら、突然現れたナンバー2をじっと見つめた。


「いやいや、ね? うーん、なんとなくだけど、『裏切り』の香りがしてね? だから、だからかな? ん? まぁいいや、取り敢えずこの状況を詳しく、説明して?」


  黒いフードを被っているので外見はまったく見えないが、その首には龍の刺青がしてある。


  ほぼ条件反射的に、レオは体格が一回り大きいセバスチャンを亡者とは逆側に吹っ飛ばした。


「早く逃げろセバスチャン! こいつが来たからには直に団長や皆がくる。その前にお嬢様を連れていけっ!」


  亡者は口元を3日月型に、にやぁと笑った。


「そっか、そっかぁ。レオくんはやっぱり裏切るんだぁ。前々から思ってたんだよね、レオくんはこっち向きじゃないなぁって、でも踏み込んで来たのはレオくんだから、合わないってだけで裏切る代償は君の命なんだよねぇ」


「ほざけ。ナンバー2如きが俺に勝てると思うなよ」


  亡者は口元を密かに動かすと、亡者の側から大きな鎌が2つ、赤色の魔方陣と共に出てきた。


「いけないんだぁ、先輩にそんな口聞いちゃ、ダメなんだよ? 」


  セバスチャンはレオに感謝しながら、貰ったチャンスを無駄にはしまいと、すぐさま転移魔法を唱える。

 

「セバスチャぁン! 僕は残念だよ、君を殺さなければならないなんて、ほんっっとーに残念だ。でも待っていてね、君も必ず僕の白骨コレクションに加えてあげるからね」


  白骨コレクションとは亡者の趣味である、生きたまま水酸化ナトリウム水溶液に漬け綺麗な白骨をコレクションすると言うものだ。

 

「それはたまりませんね……」


  ボソッと、これからの未来に辟易しながら呟いた。

  紫色の魔法島がセバスチャンを包み込んだ。





  セバスチャンが転移後に始めに感じたのはひどい血の匂いだった。

  今回の任務で使ったある一室の中央に置かれたイスに血が滴り落ちていてる。


  既に右腕と右足がない、リオーラがそこに座っている。


「だ…………れ……」


  目隠しされた状態でリオーラは部屋の中に感じた気配に問いかけた。


「リオーラお嬢様。私はセバスチャン、公爵家に仕える使用人でございます。お父上の命によりここにお迎えにあがりました」


  セバスチャンは自分が団員であったことは隠し、公爵家の1人の使用人としてリオーラと2年間過ごすつもりだった。


  リオーラはその言葉に、とても大きな不安が取り去られ、それと引き換えに来た安心感によってぎりぎりで保っていた意識を手放した。


「最期のお勤めを果たすとしましょう」


  セバスチャンはそう言い、軽い止血の回復魔法をリオーラにかけ、大規模の転移魔法で国外へ飛び出した。






明日からやっと話が始まります

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