邂逅
しばらく日常とゲームに没頭する主人公の話
俺は普通だ。
21歳フリーター。
職歴無し。高校卒業後専門学校に通ったものの芽が出ず、難しい世界なんだなどと自分を慰め続ける毎日。
時給が少しでも良いバイト、という事で24時間営業のコンビニアルバイト。(廃棄の弁当とかがもらえるのが最高だ)
両親とも健在で実家暮らしなので無理に稼ぐ必要もなく、だらだらと暮らしている。
父は零細だが社長だ。(肩書だけで労働者は父と母だけである)
母は父の仕事を手伝いながらの専業主婦。
親がまだまだ現役なので楽させてもらっている。
休みの日はゲームをしている事が多い。
もちろん彼女はいない、いた事もない。
……な?普通だろ?
普通な俺は普通な毎日を過ごしていた。
あいつが現れるまでは……
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「いらっしゃいませこんばんわー!」
典型的なやる気のないコンビニ夜勤だと思っただろ?違う。
一応成人を迎えたなりの自覚とプライドがあるのだ。
高校からコンビニバイトだし、仕事は出来る方だし接客も良い方だと思う。
まあ、しょうもないプライドだというのは自覚している。
しかしこれぐらいしか、現実世界で俺の誇れるものなんてないのだ。
夕方勤務の学生にダメ出しをし、夜中の仕事を淡々とこなし、早朝のお客を捌いたら、朝勤務のおばちゃんに引き継ぐ。
今日は割と完璧に出来たんじゃないだろうか。
後は売り場を多少手直しして、朝のおばちゃんに来週始まるキャンペーンの事と、コピーの忘れ物があったという引き継ぎをしたら上がりだ。
おっとレジもしっかりやるぜ、接客は最優先だからな。
「いらっしゃいませ、お預かりします、ポイントカードお持ちでしょうか」
マニュアル通りやってたら遅すぎる。
俺は定型文の様な接客用語をハキハキと吐きつつ、商品を2つ3つとスキャンしていく。
「あれ?コージ君じゃない?三ヶ木 広司君!」
そう、あいつとの邂逅は、俺のバイト中が始まりだった。
「え、コージ君ここでバイトしてるの?ウチから超近い!おばさん元気?今度挨拶行くからよろしく言っといてね、あ、仕事中?仕事中だよねごめんね?やーもうやだーびっくりしちゃったよーだっているんだもん、ってまあそりゃあいるんだろうけどまさかここで会うとは思わないじゃない?だから一瞬目を疑っーー」
話はまだ続いている。
俺はポテトチップスよもぎもち味(以前食べたが超絶不味かった)を持って固まりはしたが、すぐに来客のチャイムで我に返った。
「いらっしゃいませおはようございまーす」
レジをしつつ来店客に挨拶、意外と出来ないバイトが多いのだ、俺は出来るけどね!
と、そんな事はいい。
正直こいつは苦手である。
何故ここに、このタイミングでいるのか見当がつかないし、可能性を考える余裕もないのだった、今は仕事中、レジ違算を出さないように注意しなくては。
「お会計666円です」
縁起悪っ!
まあ、たまにあるけどめったにない金額ここで出すか。
「ーーあ、そっか買い物来たんだった、いくら?」
「……666円になります」
「え、やばくない?ぞろ目じゃんこれラッキーじゃない?今日一日良い事あるかも、ってかコージ君と会えたしもうラッキーじゃん、あー6円かーないなーごめんじゃあ1000円で」
やばいな。
1言ったら10返って来る、上がれなくなるからもう余計な事は言わないでおこう。
1000円かよそこに10円二枚見えてるんだが。
「細かいの1円しかなかったよー」
その1円よこせぇ!……っとツッコミが追い付かないな、黙って正解だ。
「334円のお返しです、ありがとうございましたー」
俺は顔が見えないよう、いつもより深くお辞儀をした。あれ勘違いだったかな等と思ってくれたら幸いである。
……まあ無理かな、あいつだし。
「また来るねコージ君」
二度と来るな。
入れ違いで朝勤務のおばちゃんがレジに入る。
「おはよう、あらどうしたの耳赤いわよ、コージ君」
「……名前で呼ばないで下さい」
聞かれていた。
リハビリにあまり考えず上げるので、更新止まったらごめんなさい