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天国の剣  作者: 開田宗介
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なんじゃこりゃあ



 衛兵長のピラミッドの中に入り、キュネイとレオが少しずつ仕掛けを探っていく。

 レオは罠を探し、また解除されていない危険な物を一つずつ解除していた。

 キュネイは罠よりも、このピラミッドの仕掛けそのものがどうなっているかを調べていた。

 十字路の中央から、北、東、西に行ってみて、その距離を測ったり、置かれている石棺を触ったりして、首を傾げている。

 ムラキさんは何も無いと言っていたが、やはりとんでもない所だった。

 レオが外した罠の一つは、剣が突き出してくる物だったが、それは通路のある場所を通ると、別の場所で剣が突き出してくるという物だった。

 しかもその剣は、一本が大人の大きさほどもある大型の剣で、それが床と天井から噛み合う様になっていた。


 この仕掛けは、遅れている誰かが通路の脇にある床を踏むと、先行している者達が真っ二つにされるという残虐な物だった。

 この罠を仕掛けた者は時間差を考えていて、何故そのような凝った罠を作るかと言えば、侵入者を皆殺しにする為だった。


「ここに仕掛けられている罠は、単純に、侵入した者を殺そうとする物ではない。仲間が残酷な死に方をしたのを見て、他の者を追い出す事も考えている」


「しかも、ここの罠ってとてもよく出来ているんです。ある罠が作動すると、別の罠がリセットされるんですよ。つまりAとBの罠を交互に作動させると、何回でも起動するんです。普通は一度起動した罠はそれっきりですよね」


「とにかく、やばいのは全部外してくれ」


 それがリュージの言葉だった。

 レオはその罠の出来の良さに、キュネイは罠の巧妙さに感心して説明してくれるのだが、聞いているこちらにとっては、顔色が悪くなるだけのものだった。


「はい。殆どはもう、作動済ですから、今言った連動式の罠を外しちゃいますね」


 レオとキュネイは手分けして罠の解除にかかり、二人でタイミングを合わせて、罠をわざと作動させたり、或いは壊したりしていた。

 カッシナーさんは今からずっと前に、これらの罠を一人で御したのだろう。

 あの人も相当な凄腕の持ち主なのかもしれない。


 被害を被る罠の殆どを解除し終えると、次は仕掛けの説明になった。


「多分、この十字路の中心。この部分に、ゲートが出ると思います。その為には北と東と西のスイッチを同時にONにする必要があります」


「スイッチは石棺の裏にある踏み石だ。タイミングはズレても良いから、三つとも踏む事」


「私とレオさんは、ゲートが発生したら、それを固定して出したままにします。だから皆さんで手分けしてスイッチを踏んで下さい」


 そう説明され、北は俺、東にリュージ、西にロアックが立った。

 そして、石棺の裏にある石の蓋のような者をぐい、と踏み込むと、天井についていた宝石から光が走り、十字路でぶつかった。


 キュネイの言う通り、十字路の中心で三つの光線がぶつかり、そこに小さな光のゲートが出来ていた。これが大ピラミッドへと通じるワープゲートの筈だ。


「お見事、レオとキュネイ。先に進めそうだ」


「やっと本番か、どんな奴が待っているんだろうな」


「俺は、カッシナーさんの言葉が気になるよ。ばかばかしくて戻ってきたって言ってただろ」


「見てみないと何の事だか解らないな」


「じゃあまず、俺から中に入るよ」


「待て、私も一緒に入る」


 リヒトは俺を一人にはさせまいと、すぐに剣の姿になり、俺の太股の所に寄り添った。

 その大剣を背中の留め金にかけ、軽くぽんぽんと叩く。


「よし、リヒト、行こうか」


「うん」


 俺とリヒトは、魔法の転送装置に入り、一瞬の目眩の後に全く別の所へと飛ばされていた。そして、目眩を振り切って、前を向きそこにあるものを見た。


「げぇ……マジかよこれ……なんなんだよこれ……」


 それは、超巨大なパズルだった。

 四角い巨大なホールの床には、回転するパズルの板が一面に埋め込まれていて、その数は縦に100、横に100はあるだろうか。


「なんじゃこりゃあ!?」


 リュージならそう言うだろう。あの豪毅なガールードさんなら、笑い出すというのも解る。


「これ、全部、解かなきゃ、先に進めないのか?」


 リュージが言葉を詰まらせながらそう言った。

 勿論パズルなんてリュージが出来る訳がない。全く出番が無い有様だった。


「…………ああ……パズル……」


 その光景を見ただけでロアックの心は折れてしまったらしく、既に無関心な声を漏らしていた。


「はぁ~…………」


 このため息が、今の俺達の共通の気持ちだった。

 どうしろと言われても、先に進む為には、このパズルを解かなければならない。

 どうすれば解けるのかもわからないものだが、問題はその規模だ。

 今から足し算のテストをします。10万問ありますからいつになったら終わるかわかりませんが、ひたすら頑張って下さいね。と言われた様な物だった。


「これさぁ、解けるまで、俺、帰ってもいい?」


「リュージ、ロアック、とりあえず一晩は頑張ってみないか?」


「いや、俺、パズルとかダメだし。これぶっ壊したら何か出てくるって言うなら、やってみてもいいけど」


「知ってる、解ってる。ロアックがもう寝てる事も」


「zzz……」


「俺も寝るわ。セリーナス、どうする? もしかしてパズルって出来る方?」


「まぁ得意ではないですけど、出来なくもないと思います。解けたら起こしますね」


「頼むわ。なんだかもう、このパズルを見ただけで負けたって気持ちになった」


 さて、パズルを解く才能があるのは、俺、キュネイ、レオの三人だった。

 セリーナスとリヒトは、一応は頑張ってみる、という事だが、このパズルをいったいどういう風にすればいいのか、と聞いている時点で、先は遠そうだった。


「しかし、ここまで来てパズルとは……」


「そうですか? 扉を開く為のパズルってわりと良く聞きますよ」


「このパズルは、貯まっている魔力を溝に流して正しい所へ導けばいいのか」


「色つき宝石のはまっているマスには通しちゃいけませんよ、赤い色のマスはきっと爆発したりします」


「真っ白な色の宝石にだけ、魔力を供給すればいいんだと思います」


 そう言って、俺達は手分けして端の方から一つ一つマスを回転させて魔力の通る道を作った。

 一つ一つのマスにはL字型だったり十字型だったり、直線型の溝がついている。

 その溝に魔力を通していくという、魔力発電を応用したパズルだった。


 手分けしてパズルを解こうとはしてみるのだが、あと少しの所で矛盾が出てきてしまい、どうしても色つきの宝石を通ったり、白い宝石を通れなかったりする事があった。


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