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終結、そして敵の脅威

「……ぅ、ん……シ、ル?」


 誰かの呼び声に意識が戻って来た。

 飛び込んできたのは涙を少し溜めたシリウリード君――シル。


「シュン兄様! 目が覚めたんですね! べ、別に心配したわけじゃないですけど、唸ってましたから……そのー、あれですよ!」


 あれって何?

 まあ、言いたいことは分からなくもない。

 ツンデレだから僕にはシルの思いが分かってるよ。

 心配してないけど唸ってるから、その時点で心配してましたって言っているようなものだから。


 ここは学園の医務室かな。

 僕はお世話になってないけど、何度か訪れたことのある部屋だ。

 多分ロロが運んで、シルが見つけて運んでくれたんだろう。

 最後にお世話になったけど、様子を見る限り終ったようでよかった。


「な、何ですか? その笑みは!」


 っと、シルの反応が楽しくてつい口元が上がっちゃったようだ。


「いや、シルも無事でよかったよ。しっかりとフィノに報告しないとね」

「と、当然です! って、撫でないでくださいよぅ……」


 そう言いながらも目を細めて気持ちよさそうだ。


 シルもこれで一人前かなぁ。

 どこか頼りなかった感じから男らしさが出て、子供から大人になるって感じだ。

 僕と同じで先の戦闘から学ぶことが多かったんだろう。


 気が済むまで撫でた所で状況を聞く。


「外の様子は? それとあれからどれくらい経ったかな?」

「え、えっとですね……」


 シルは綻んでいた表情を慌てて引き締めた。


「あれから二時間も経っていません。シュン兄様は怪我をされているので、つい先ほどまで回復魔法をかけていました」

「それはありがとう。魔力は大丈夫?」

「あ、当たり前です。シュン兄様が怪我されたらフィノ姉様が悲しみますし……」


 本当にフィノのことが大好きだね。

 そんなシス……姉思いな所が僕としても好ましいよ。

 今回の騒動でちょっと距離が縮んだみたいだからね。


「その笑みを浮かべないでください!」

「あはは、ごめんごめん。シルとこうやって二人で話したことはなかったからね。それが嬉しくて、ね」

「そ、それは……僕だって……です」


 良く聞こえなかったけど、赤くなった顔やもじもじする手を見るだけで分かるってものだ。

 それがまた嬉しいんだよね。


「それで、今どんな状況なの?」

「今は残党掃討と救助をしています。奇襲を受けたので街の被害は大きいですけど、相手の人数はそれほど多くなく、狙いは僕だったので住民の被害はそこまでじゃないです」


 それでも少なくない人数が死んでいる。

 ビスティアも同じだ。


 これを重く受け止めないといけない。

 本格的な戦争が始まればもっと被害が出るからね。


「そっか……」

「アルさん達は受けたダメージが酷いので休んでいます。アルタが言うにはあと数時間もすれば救援と物資が届くみたいですけど……アルタは何者なんですか?」


 う~ん、それを言ってもいいのかな?

 僕自身教えてもらったわけじゃないから間違っているかもしれないけど、今思うと間違っていないと思うんだよね。


「アルタは……恐らく聖王国の遣いだね」

「聖王国、ですか? でも、アルタはテレスタの伯爵と……調べましたし……」


 そのことは手足として動いてくれたフォロン達から聞いてる。

 二人にも苦労かけたからちょっと労わないといけない。


「まあ、そうなんだけど、林間学校の時一度戦ったの覚えてる? あの時妙に似た気配を感じたんだ。神々しいね」

「シュン兄様と煉獄の戦いの様な、ですか?」


 やっぱり見えてたよね……良いけどさ。

 多分ノール学園長やクロスさんなら上手く使ってくれるだろう。


「多分ね。アルタは何かあることを知っていたんでしょ?」

「そんなやり取りをしてました。最初は敵かと思いましたよ」

「はは、ならそれを知っている人物ってことになる」


 襲撃こそ知らなかったようだけど、何かしらの手が伸びていると感付いていた人達だ。


 例えばローレ義兄さん。

 ローレ義兄さんは『もしもの時は帰ってきても良い』そう言っていた。

 それは僕自身がビスティアから離れても良いってことで、ビスティアがあそこまで大きなことになるとは思っていなかったからフィノを置いて行くことになったけど、こっちに来れる大義名分っていうのかな? それがあった。


「予め情報を得られる人は少ない。まだ発表していないし、クロス魔法王やダグラス皇帝は知っているけど今回のことはどうだろう?」

「それなら最初から教えてくれてます」

「そうだね。そのことを隠してでもどうにかしないと、そう考えるのは僕達のことを人伝でしか聞いたことがない人の可能性が高い」


 人伝かどうかは怪しいけど、聖王国のやり方っていうのか、教会のやり方としたら、まあしっくりくるかなぁ。


「神託ってことですか?」


 小首を傾げるシル。


「僕とは違うからね。神託ははっきりと聞けるわけじゃなくて、断片的な、意思のようなものを感じるらしいよ。それに聖王国の護衛です、とか言われて信用できる?」


 そう訊けば、シルは少し思案してから小さく気まずそうに頷いた。


「信じる信じないのはおかしいですけど、怪しんだと思います」

「まだ話し合いもしてないし、神託です、と言われても戸惑うもんね。アルタの正体までは分からないけど、生まれはテレスタで、何かしら教会と繋がりがあるのかもね」

「信心深くないと思いますけどね」


 僕もそこまで信心深くないよ?

 メディさん達は神様だとは思ってるけど、どっちかというと……知り合い? とは違うから、家族とかってのがしっくりくるかも。

 この身体とか作ってくれたのはメディさんだしさ。


「ま、詳しいことは本人に聞くのが手っ取り早い。ビスティアも心配だけど、まずはこっちをどうにかしないとね」

「心配なのはフィノ姉様です。早く会いたいです」


 そうだけど、皆の前で言わないようにね。




 学園の中庭でロロはぐっすり眠ってて、近づいた僕の匂いで目を覚ました。

 血を水魔法と洗浄魔法で落とし、回復魔法とブラッシングをして、今は元気に食事中だ。


 僕とシルは少し考えた後、先にクロスさんと会うことに決めた。

 ノール学園長もいるかもしれないし、報告するなら国王が先だ。


 慌ただしく動いていた兵の人に案内してもらい、クロスさんのいる会議室まで向かった。

 そこにはノール学園長、各大臣と今日ここにいた貴族、そして奥さんのララさんがいた。

 一緒にいるのなら丁度良い。


「おお、倒れたと報告があったが無事なようだな」


 クロスさんは気安く片手を上げてニカッと笑みを浮かべた。

 その頭を叩くララさんもいつものことで、このやり取りが雰囲気を暗くしないんだと思う。

 でも、疲れているのか少し疲労感が漂っている。


「はい、魔力は回復しきっていませんが身体の方は何ともありません」

「今回ばかりはお前がいなければどうなっていたことか……後で魔法についておしててててぇー……ですよ?」


 ……クロスさんも尻に敷かれてるんだった。

 ララさん最強だ。


「こほん、魔法については教えなくとも構いません。それよりも」

「申し訳ありません。追い詰めたまでは良かったんですけど、最後に介入され取り逃がしてしまいました」


 介入、という言葉に眉が上がる面々。


「煉獄は消えない炎と残虐性から恐れられている。すでにギルドから除名し指名手配したよ。シュン君がやられるとは思っていなかったが、やはり邪神の力は強いんだね?」

「全員が全員ではないと思いますけど、少なくとも煉獄は姿が変わるほどです。こちらも加護の力を使わないと対抗できなかったですね」


 重苦しい空気が流れる。

 シルが居心地が悪そうにそわそわして口を開いた。


「僕が捕えたアルティスも黒いオーラを使ってました。ですけど、シュン兄様が言うほど飛躍的に強くなった気はしません」

「スティル君のことだね?」

「はい。黒いオーラの生き物みたいなのが身体から出て、倒せないことはないレベルまで強くなりました」


 ノール学園長にシルは頷いて肯定する。

 こうなる前に取り押さえればよかったんだけど、気付いた時には国内に煉獄が入っていたみたいだ。

 突っついて被害が大きくなったら困るから様子を見ながら防衛を固めていたみたい。

 本当に敵対しているとは思わなかったようだね。


「我々でも倒せないこともない、ということですな」

「それならばやり様はあるでしょう」

「人間であることに変わりはない。邪神といえども限界はあるだろうからな」

「だが、相手は未知数過ぎる。力の一端は分かったが規模が分からないのではなぁ」

「それに一体どこから奇襲を受けたのだ?」


 シルのおかげで活気が出てきた。

 不安そうな顔を向けてきたから優しく微笑むと、一瞬喜びを浮かべるもすぐにそっぽを向いちゃった。

 耳が赤いよ。


「シュンよ、これをどう見る?」


 纏まらない為、クロスさんは僕の考えを聞いてくる。


「まだ推測ですが、ビスティアでも同様に奇襲を受けました。奇襲というより、つい先ほどまで仲間だった者が敵になった、そんな感じでしょうか」


 こっちのことは見てないからわからないけど、街の外と内の被害、門が外に向けて壊れている、奇襲にしては混乱し過ぎとか同じだ。


「狙いは僕の様だったので被害こそ少ないですが、獣王バルドゥル様も裏切っていたとしてもおかしいと言っておられました」

「友だった者が敵……正しく悪の所業だな」

「私達の意思を砕くには最良の手でしょう」


 ちらっと魔族が頭に浮かんだけど、そんなことをしたという情報はない。

 ああ見えて魔族は正々堂々としてるからね。

 天魔族は別だけど。


「これは判断つかないので確認してからとなりますが、邪神と関わる、若しくは授かった者と関わることで洗脳や暗示を受け、邪神の指先一つで白から黒に変わるのではないか、と考えています」

「うむ、俺達もそうではないかと推測している。が、魔法によるものではないようでな、どうしたらいいものか悩んでいるのだ」


 感情を増幅させているようで、会話もろくに出来ないとか。

 クロスさんの言葉に頭を抱える面々。


「今は何とも言うことが出来ません。監視体制を敷き、出て来たら会話による齟齬の確認、最悪眠らせるなりするのが一番かと思います」


 二、三日あればメディさん達と話せるだろうし、加護の力を使えばどうにかなるはずだ。

 そのぐらいの時間稼ぎはしてもらわないといけない。


「そうだな。俺達が狼狽えては相手の思うつぼだ。その様子を見て笑っているかもしれん」


 クロスさんは腕を組んで天を睨み、思うようには動かんぞ、と落ち込んでいた表情を一変させた。


「ならば、まず収拾を付けるのが先であろう。その後、壊れた門から修復するべきだ」

「冒険者とも話し合いをしておくべきだろう。魔法騎士との連携問題が上がっている」

「では、このことをどこまで民衆に伝えるべきか」

「馬鹿を言うな! それでは余計に収拾がつかなくなるわ!」

「だが、何も伝えないでは納得いくまい。最低限安心させる情報開示は必要だ」


 王制だけど、民主制的な感じもする会議だ。

 こういっては何だけどクロスさんはバルドゥルさんと似たような立場だからね。


「情報開示は近々行われる会議……名前は何だ? 邪神撲滅何ちゃら会議か?」


 いや、邪神がたくさんいるように聞こえますから。


「バルドゥル様は『世界大連合(ファミリア)』と称していましたから、ファミリア会議が良いかと思いますよ?」

「ファミリア、ですか。獣人族らしい言葉ですが、アルセフィールに住む全人類が手を取り合うのなら、それ以上の言葉はないでしょう」


 僕と同じ思いだったのかクロスさんの頬を捻ったララさんが言う。

 勝手に決めて良かったのか知らないけど、僕も良いと思うし、僕が決めたわけじゃないから、ね……うん。


「そのファミリア会議が行われるまで情報開示は控える。これは俺達の国だけの問題ではなく、同様の事件が起きたビスティア、他国とも話し合い開示しなければならない重要案件だ。どこで話がこじれるか分かったもんじゃないからな」


 話がこじれて連携が取れなくなる。

 それだけはあってはならないんだ。


「あ! 魔族の仕業であるという噂だけは消さなければなりません。邪神の下には魔族もいますが、それは僕達と変わりない状況だと思います」

「それもそうだ。折角友好的になれても全てが水の泡となってしまう。それだけは徹底させろ」


 まだ魔族とは確執というか、どっちかというと物語や爪痕から恐怖を覚えているんだと思う。

 魔族の王都バラクブルムを見た僕からしたら同じような感じだけどね。


「いや、この際適当にでっちあげる……か。どうせ相手は俺達をゴミの様にしか見ていない邪神だろ? ついでに二百年前の魔族との戦争も邪神のせいにしてな」

「何を言っているんですか!? もしばれたら――」

「ばれても良いだろ。戦争というものはそういうものだ。それに、これだけの規模を十年やそこらで出来ると思うか? 邪神の手がずっと前から入っていたと見るべきだ」


 クロスさんが格好いい!

 聖王国の光神教は邪神の手が入りまくってた。

 光の神とかいうのはいないみたいだし、正しくそう見るべきだ。

 それに天魔族はすっごく怪しいからあながち間違ってないかも。


 尊敬しているような表情が出てたみたいで、クロスさんはララさんに頭を叩かれながらも鼻を伸ばしている。

 いや、もしかすると僕やシルに良い所を見せたかったのかも。


「ま、その辺りもファミリア会議で話し合うとしよう。何か面白くなっていたたたたっ!」

「それ以上は不謹慎すぎます! 貴方はどこの餓鬼ですか?」


 これまたいつものことだ。

 然り、と苦笑を浮かべながら頷いている面々を見ても分かる。


「はわわ、尻に敷かれたら怖いですよ……」


 シル、婚約者が出来たらわかるよ。

 惚れたらが最後、男というのは女に勝てなくなるんだ。

 これ、男女関係の一つの真理だと思う。


「学園は戦争に備え今回露呈した戦闘訓練を施すとしよう。とはいえ人を殺すというのは難しいだろうから、身を護る術を身に付けさせようと思う。シュン君のおかげで実力は上がっているからね」

「では、魔道具作りも手伝ってください。都市を防衛する結界が必要ですし、誰もが回復系統の魔道具なりを持っていれば安心するでしょう」


 その準備を着々と研究所で進めている。

 エルフ族が作るポーションや傷薬、ドワーフ族が作る魔道具や武具、僕達は様々な分野で作業して、魔族は物資や戦闘に備えて訓練中だって。


「私はその会議に出席できないからね。生徒達のことはこちらに任せて、シュン君達はやるべきことに専念しなさい」

「ありがとうございます」


 これで一旦終了で良いだろう。

 後は拘束してあるアルティスの様子をみて、洗脳の類か確認した後メディさん達に確認を取ろう。

 加護によるもので普通の洗脳じゃないなら、僕が仮に加護を打ち消せてもその後廃人とかになって取り返しがつかないとか有り得そうだもん。


 聞けば無茶苦茶な理論、というか感情のままに動いていたっていうし、罰は受けないといけない。

 でも、正常に戻してあげたい。

 煉獄はまあ極端だから不思議にはあまり思わなかったけどね。

 てか、煉獄は自らやったようなものだし、あそこまで変化したらもう無理だと何となく思う。


 シルもアルティスのことを心配しているみたいだから、やっとなれた兄として願いを叶えてあげたいって思うんだ。




 一応僕が持っている食料を渡して炊き出しを行ってもらう。

 王国と通信は出来ても、物資を運ぶことはできないからね。

 僕が代わりに支援しておくってこと。


 復興というか、救援とかに関しては危ない部分だけサッと直して、これから馴染になる新しいポーションや魔道具を試してもらう。

 世界教の人達がせわしく動いているのを見ると、やっぱりだと思う所があるね。


「そう言えば、シル」

「何ですか?」


 アルタの下へ向かう途中、ふと思い出した。


「まだ言ってなかったと思ってね」

「改まって……何です?」


 そんなに怪しまなくても良いでしょ?


「今回はアルタという味方がいて、ローレ義兄さんやノール学園長達が知っていたから判断を間違えなかった。でも、何が起きるか分からないのが人との戦いだよ。魔物と違って知恵を持つからね」

「……分かってます」


 シルは唇を尖らせるも、自分の失敗したところが分かっているようで下を向く。


「僕も言えた義理じゃないけど、通信が妨害されるのは考慮しておくべきだった。相手の強さを見定めるのもね」

「……はい」


 そんなシルの頭に手を置き、フィノにする時より強めにくしゃくしゃっと撫でた。


「だけど、最善を尽くせたと思うよ。被害も拡大しなくて済んだ。僕も間に合ったし、何よりシルは無事だ」

「ですけど! ……たくさんの人が死にました」


 絡まった髪を手で解し、肩に手を置いてぐっと抱きしめる。


「だからこそ僕達は判断を間違えられないんだ」

「でも、悔しくて……分からないです」

「シルの気持ちはわかるよ。あの時はこれよりも酷かったからね」


 前世の価値観を捨てて命の取捨選択するわけじゃないけど、後ろ向きに考えることだけはやめたんだ。


「後ろ向き……」

「シルはそういうけど、もしは止めに僕に連絡してこっちに着たらどうなっていたと思う? 多分その時はフィノもこっちに来ていたと思う」

「それは……!」

「言ったよね、ビスティアも少し前に襲撃があったって。そっちは僕を狙っていたからどうなっていたか分からないけど、もしもの話をしても仕方がないんだ」


 僕がハクロウを追い詰めて作戦を滅茶苦茶に下から襲ってきたとも考えられるけど、あそこまで用意周到だと近々襲っていたはずだ。

 もしシルに報告されたら心配で会談を数日延期してでも確認に向かっただろうし、そうなったらビスティアは死屍累々の地獄に変わっていてもおかしくない。

 で、それは誰のせいだって吹き込まれて亀裂が入ったりね。


 二つの襲撃時間がずれていたのも幸いだった。

 こっちが先でもビスティアの被害は大きくなっていたはずだ。


「シルが反省しているのは分かるよ。でも、精一杯できることをしてくれた。それは胸を張って良い所だ」


 シルは潤んだ瞳で僕を見つめて来る。

 どこか口数が少なくてじっとしていたのは色々と考えていたからだと思う。

 なんていうべきか分からないけど、僕の本心だ。


「ほら、涙を拭いて。そんな顔でフィノに会ったら心配されるよ?」

「な、なな泣いてなんていません! これはゴ、ゴミが入っただけです! 安堵したわけじゃないんですからね!」


 本心をありがとう。


 そう言いながらもシルは僕の手を肩から離さず、歩き難いだろうに僕の服をぎゅっと握って近くにいる。

 これが弟という奴なんだね。

 血は繋がってないけど、とっても良いものだ。



 だから、僕はこの繋がりを決して切り離したくないって思う。


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