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プロローグ

至らない点が多くあると思いますが最後まで読んで下さるとうれしく思います。

最初の方は面白くないと思うので飛ばしてもいいです。

 真っ赤に染まる自らの服ととめどなく流れる血を茫然と眺めていた。

 突然のことでいったい何が起きたのか最初はわからなかったが、痛みが強くなってくることでやっと理解しだした。

 僕はもうすぐ死ぬんだろうな……。

 何でこんなことになったんだっけ?

 ああ、思い出してきた。

 僕は何もかもが嫌になって逃げ出したんだった。

 そして、信号を見ないまま横断報道を走り渡ろうとして車に撥ねられたんだ。撥ねられたんだから、おそらく信号は赤だったのだろう。

 そして、そのまま撥ねられた勢いで剥き出しになっている、コンクリートの鋼繊維に背中から突き刺さったのだ。

 だんだんと意識が遠のいていく中、僕はこれまでのことを思い出していた。


                   ◇◆◇


 扇山俊――僕の名前だ。家族、学校の皆は僕のことをゴミを見るかのような目で見てくる。

 今年で一五歳になる。

 そんな僕の仕事は家事をすること。いや、させられているが正しいかもしれない。

 家族の食事を作り、洗濯をしてシワを伸ばす。

 他にも数えきれないくらい雑用を任されている。

 一つでも家族の気に障ることが起きてしまうと、すぐに暴力を振るわれ、僕の作った食事が抜かれ、お風呂にも入れさせてもらえなかった。

 学校では毎日のようにいじめを受け続けている。

 最悪なことに教師まで加わってくるときがあった。

 僕には味方が存在せず、いじめを受ける毎日で僕は心身ともに限界が近づいてきていた。

 頭のいいことに暴力を振るっても、見えるところには絶対してこなかった。

 僕は助けてほしかったが誰も助けてくれなかった。誰もが見て見ぬふりをし、とばっちりを受けるのが嫌だったからだ。僕のいじめに加わってくるものもいた。

 絶望の渦に陥った僕は訳が分からなくなり、逃げ出した。

 両親の暴力から、学校のいじめから、そして自分自身から――。

 どうして僕が、どうして僕だけがこんな目に合わないといけないんだ! という気持ちと自分が弱いから、力だけじゃない意志が弱いからこんな状況になったという諦めの気持ちが、僕の心の中で渦巻いていた。

 それが起きたのは絶望の気持ちを渦巻かせたまま無我夢中に走っていた時だった。


 ドンッ


 という音とともに僕の体は宙を飛び、浮遊感が訪れた。そのまま数メートル先のコンクリートに強打した。

 一瞬、意識が遠のき、朦朧とする意識の中で起き上がろうとしたが失敗した。

 なぜだと思い、違和感のあった腹部を見て納得した。

 僕の腹部には何かが突き刺さっていた。

 それを見た瞬間に腹部から全身にかけて、激痛が走ってきた。

 痛みに耐え抜こうとして抜けないことに気づき、助けを求めようと周りを見渡した。

 そこには誰もおらず、僕を撥ねたはずの車もいなくなっていた。


                       ◇◆◇


 僕はここまでのことを思い出すと痛みがなくなってきていることに気づいた。


「ああ、僕はもうすぐ死ぬんだろうな……」


 消え逝く意識の中、僕はいるかもわからない神に願った。生れてはじめての行為だろう。

 もし、生まれ変わることができるなら自由に生きてみたい。

 そう心の底から願った。

 その時、一瞬だけ光ったような気がしたが気のせいだろうと思い、僕は目を閉じた。




 哀しみの中、誰にも気づかれることなく僕の意識は暗闇の中へ溶けていった…。


 死んだ者の魂は一度天界へと昇り、天界にある審判の間で神々の審判を受ける。

神々は魂の状態(魂の濁りは犯した罪を、大きさは許容力を、強度は存在力を、明度は意志の強さを現している)を見て一生を知る。

 どんなものでも、生きていれば知らず知らずのうちに罪を犯している。

 その罪がある一定のラインを超える有罪となり、地獄に落とされ罪を償おさせられる。

 判決を言い渡された魂は、その穢れを浄化され輪廻の輪へ帰ることとなる。

 そして、再び新しい一生を歩み続けることになる。


 死んだ扇山俊の魂も審判の間へ訪れ、神々から審判を受けようとしていた。

 その魂が神々の前に現れた瞬間、神々は驚き騒然となる。

 なぜなら濁りが少ないものの、今にも消えてなくなりそうな脆く儚い魂が現れたからだ。


「おお、魂が消えかけておる。このままでは世界のバランスが崩れてしまう」

「生命の神に連絡「旅行中です!」……っな」

「では、死の「魂狩りに出ています!」……「「おい」」」

「他におられないのかっ」


 神々の怒声と天使達の叫びの返答が繰り返し行われる。


「し、失礼ながら申し上げます。今現在、魂の修復ができる神は創造神様しかおられませんっ」

「んな、えーい、仕方ない創造神様にお伝えするんじゃ」

「は、はっ、すぐにお伝えします」


 神々は大慌てで天使達に指示を出し、創造神に緊急事態を知らせに行く。

 魂の審判は中級以下すべての神々が行っている。が、魂の修復に関しては上級以上の神々でも治すことができない。


 世界のバランスは、コップにこぼれそうになるまで注がれた水と同じバランスで成り立っている。

 魂一つの消滅で星一つの未来が変わってしまうのだ。

 魂の消滅は滅多に起きるものではないため、神々はこんなに焦っているのだ。


 すぐに創造神へと連絡が行き、今にも消えてしまいそうな魂は創造神預かりとなった。

 これで世界のバランスは保てると下級神以下天使たちは安堵するが、創造神の性格を知っている一部の中級以上の神は何事もなく終わってくれと、切実に願っていたとか……。


ご指摘、アドバイス、感想等をお待ちしています。


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