縁談の撃退法→失敗中?
本当にうるさい。
オレは嫌いだ。
「ロビン様、孫をつれて参りましたぞ。」
老害の一人、雫ジェームスが
孫娘のヴィクトリアをつれてやって来た。
わざわざ軍服をこれ見よがし着て偉そうに。
「なんのようだ?」
オレは言った。
「そろそろ、ヴィクトリアとの婚姻のご相談をと思いまして。」
ジェームスが言った。
うしろのヴィクトリアもなにか言いたそうだな。
「ロビン様、お久しぶりです。」
ヴィクトリアは言った。
ジェームスと同じ軍服を着ている。
「わざわざ、来たのか?」
オレは言った。
「ファモウラの未来のためですから。」
ヴィクトリアが言った。
ファモウラの未来のためだと?
「いつ頃、婚姻いたしますかな?」
ジェームスが髭を撫でながら言った。
おい、決定か?それは?
「オレは、ヴィクトリア嬢と結婚する予定はない。」
はっきり言っておかないとな。
「では、お相手は舞ゲイリーの孫、アリス嬢ですかな?」
ジェームスが嫌な笑いを浮かべた。
アリス嬢など知らん。
「アリスさんは男性と駆け落ちしたんですわ。」
ヴィクトリアが言った。
おい、なんだそれは。
「芙エリックの孫娘セレスティア嬢は怪我をされたようですしな。」
ジェームスが言った。
なにがなんでも、オレの
よめにおさまるつもりらしい。
「青の指揮官なるものは麗しい女性だそうですね、男ばかりの戦場でなにもないといいですわね。」
ヴィクトリアが微笑んだ。
なにか仕掛ける気か?
優黎!
こいつら、何故、オレが優黎に
惚れている事を知っている?
「何故、敵方の青の指揮官の話が出てくるのだ。」
冷静を保て、優黎を攻撃させるネタを
だすな。
「このところ、ロビン様自ら、偵察にいかれていると言う情報が入りましたので。」
ヴィクトリアが微笑んだ。
なるほど...情報がもれたか?
アレンではないな。
あいつは信頼できる。
イアンか?
手引きを頼んだしな。
「なにか、いい情報はつかめましたか?」
ジェームスが笑った。
「...まだだ。」
戦争を終わらせる手掛かりはな。
「ファモウラが勝てる情報が青の指揮官とやらから漏れればいいのに。」
ヴィクトリアが微笑んだ。
うすら寒い微笑みだな。
「ロビン!雫将軍が来てるらしいわね。」
母上がきた。
「これは、パメラ様、お久しぶりです。」
ジェームスが言った。
確かに珍しいな。
「ロビンとヴィクトリア嬢の婚姻なんて認めないわ。」
母上が言った。
「どうしてですかな?」
ジェームスが言った。
「ロビンはまだまだ、子供だものね。」
母上が言った。
子供と言う歳ではないのだが...。
「ヴィクトリア嬢は恋人がいるじゃないの?」
母上が人の悪い笑み浮かべた。
「な、なんの話ですか?」
ヴィクトリアが動揺した。
恋人がいるらしいな。
「お祖父様帰りましょうか。」
ヴィクトリアはそういってきびすを返した。
「ヴィクトリア、何を...。」
ジェームスはヴィクトリアにひっぱられて
去っていった。
「あら、このくらいで引き下がるの?」
母上が呟いている。
「なんのためにおいでになったのですか?」
オレはジェームスとヴィクトリアが見えなくなってから聞いた。
「あら、雫将軍の孫娘の覚悟を見にきたのよ、たかだか、恋人ばらされたくらいでにげるなんて失格よ。」
母上が言った。
母上は父上を手にいれるために
容赦がなかったらしいからな。
まあ、助かった。
今度こそ、結婚が決まってしまうかと
思った。
ヴィクトリアなぞいらん。
優黎なら...いつでもいいがな。




