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いびつな恋の物語 ~続 いびつな出逢い~
幾時間いただろう。
他愛もない話で笑ったり、
またふと泣き出したり…。
お酒もすすんだ。
すっかり、
“帰る”ことを忘れていた。
周りは人がいなくなっていた。 「いけない、出よう。 ごめんね。」
店を出る。
千尋は、さらにふらふら、今にも転びそうだ。 お店は2階、友紀はお店を出ると、千尋の前に、後ろ向きにしゃがんだ。
「おぶってあげる。」
「大丈夫!子どもじゃあ ないんだから…。」
優しく微笑む。足がおぼつかない。
「じゃあ。」
恥ずかしそうにしながら
背中におぶさる。
友紀は、ゆっくりと階段を降りた。
「トイレ。」 千尋が小さくつぶやく。
近くのコンビニにトイレを借りに入った。
バックヤードの奧に トイレはあった。
入り口まで付き添い、
「気をつけてね。」
扉を閉めようとした。
千尋の小さな手が、 シャツの裾を掴んだ。