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カサンドラの妄言

掲載日:2026/07/18

 トロイの木馬をいじってみました。

 トロトロイア王は困っていた。

 王太子であるアクトルに男児ができないのだ。


「我がトロトロイア王家は男系男児のみに継承権(けいしょうけん)を与えてきた。ここで我が王家を()えさせるわけには行かぬ」


 アクトル王子には優秀な王女が幾人(いくにん)もいた。

 しかしトロトロイア王家はずっと男系の王のみで成り立って来たという考えに固まっている老王と旧臣には、女王と言う選択肢は出て来ないのだ。



「確か、昔追放した従兄弟(いとこ)の息子が生きているはずだ。養子に迎えよう」


 

 そして見つけ出したパリパリスを養子に取ることに決定する。



 しかしパリパリスは(ひつじ)()いとしての生活が長く、王宮のしきたりを馬鹿(ばか)にして守らない。

 王族としての学びをおろそかにし、美しい貴族令嬢ゴムヘラ、アメナ、アフロランタンディーテを(はべ)らせていた。


 これでは王家の威信(いしん)は地に落ちてしまう。

 老王は思案した。


「あれに王族としての意識を持たせるには‥結婚させて落ち着かせるか」



 縁談を用意したのはスッパルタの王女ヘレモネード。

 世界一の美女と評判だった。


 パリパリスもすっかり彼女の(とりこ)



 しかし、残念なことに、ヘレモネードにも男の子が生まれない。



「それなら、私の知り合いにすばらしい祈祷師(きとうし)がございます。()の方を呼んでもよろしいでしょうか」


 たまたまトロトロイアを(おとず)れていたオレオッセウスが提案した。


 オレオッセウスは美しい顔とたくましい体を持った若者だ。

 アメナ嬢の遠縁(とおえん)らしいので、パリパリスもすぐ信用してしまう。



 さっそく高名な祈祷師であるというモクバーガーが呼ばれた。

 


「むむむ、これは一筋縄(ひとすじなわ)では行きませぬ。吾輩(わがはい)の長期滞在(たいざい)を許可していただかないと」


 老王もパリパリスも異論(いろん)はなかったのだ。

 


 ただ末の王女カツサンドラと神官ラオコーンポタージュだけは反対した。


「いけませぬ、そのものは我が王家に破滅(はめつ)をもたらします」

「王女殿下が跡取(あとと)りでも良いではありませぬか」



 しかし権力のない者の予言など誰も本気にはしない。


 カツサンドラは謹慎(きんしん)、ラオコーンポタージュは処刑された。


 そしてモクバーガーは無事に王宮への出入りを許される。





 一年後、ヘレモネードは玉のような男の子を出産する。ホメロンと名づけられた。



「おお、これで我が王家は安泰(あんたい)だ」


 老王と旧臣たちは安堵(あんど)し、数年のうちに安らかな死を(むか)える。





 しかしそれがオレオッセウスとモクバーガーの陰謀(いんぼう)だったとは。




 モクバーガーは祈祷を言い分に、側仕(そばづか)えにふん(そう)させたオレオッセウスをヘレネモードの私室に連れこんでいたのだ。



 ヘレモネードは美しいオレオッセウスに夢中になってしまう。

 パリパリスは軽率(けいそつ)すぎて、妻の心変わりに気づきもしない。



 生まれたのはもちろんオレオッセウスの子供である。




 そして唯一の男児であるホメロンの成長にともない、王アクトルと王子パリパリスが相次(あいつ)いで()くなったことから少年王は即位(そくい)した。



 宰相にオレオッセウスを(むか)えて。




 こうして、トロトロイア王家は滅んだのであった‥


 名前が難しかった‥最初にひらめいたのがカツサンドラだったので食べ物に統一しようとしたのですが。

 パリパリスはまだ食感だからいいかな? と思いましたがアクトルとゴムヘラって、動作と調理器具ですよ。

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