カサンドラの妄言
トロイの木馬をいじってみました。
トロトロイア王は困っていた。
王太子であるアクトルに男児ができないのだ。
「我がトロトロイア王家は男系男児のみに継承権を与えてきた。ここで我が王家を絶えさせるわけには行かぬ」
アクトル王子には優秀な王女が幾人もいた。
しかしトロトロイア王家はずっと男系の王のみで成り立って来たという考えに固まっている老王と旧臣には、女王と言う選択肢は出て来ないのだ。
「確か、昔追放した従兄弟の息子が生きているはずだ。養子に迎えよう」
そして見つけ出したパリパリスを養子に取ることに決定する。
しかしパリパリスは羊飼いとしての生活が長く、王宮のしきたりを馬鹿にして守らない。
王族としての学びをおろそかにし、美しい貴族令嬢ゴムヘラ、アメナ、アフロランタンディーテを侍らせていた。
これでは王家の威信は地に落ちてしまう。
老王は思案した。
「あれに王族としての意識を持たせるには‥結婚させて落ち着かせるか」
縁談を用意したのはスッパルタの王女ヘレモネード。
世界一の美女と評判だった。
パリパリスもすっかり彼女の虜。
しかし、残念なことに、ヘレモネードにも男の子が生まれない。
「それなら、私の知り合いにすばらしい祈祷師がございます。彼の方を呼んでもよろしいでしょうか」
たまたまトロトロイアを訪れていたオレオッセウスが提案した。
オレオッセウスは美しい顔とたくましい体を持った若者だ。
アメナ嬢の遠縁らしいので、パリパリスもすぐ信用してしまう。
さっそく高名な祈祷師であるというモクバーガーが呼ばれた。
「むむむ、これは一筋縄では行きませぬ。吾輩の長期滞在を許可していただかないと」
老王もパリパリスも異論はなかったのだ。
ただ末の王女カツサンドラと神官ラオコーンポタージュだけは反対した。
「いけませぬ、そのものは我が王家に破滅をもたらします」
「王女殿下が跡取りでも良いではありませぬか」
しかし権力のない者の予言など誰も本気にはしない。
カツサンドラは謹慎、ラオコーンポタージュは処刑された。
そしてモクバーガーは無事に王宮への出入りを許される。
一年後、ヘレモネードは玉のような男の子を出産する。ホメロンと名づけられた。
「おお、これで我が王家は安泰だ」
老王と旧臣たちは安堵し、数年のうちに安らかな死を迎える。
しかしそれがオレオッセウスとモクバーガーの陰謀だったとは。
モクバーガーは祈祷を言い分に、側仕えにふん装させたオレオッセウスをヘレネモードの私室に連れこんでいたのだ。
ヘレモネードは美しいオレオッセウスに夢中になってしまう。
パリパリスは軽率すぎて、妻の心変わりに気づきもしない。
生まれたのはもちろんオレオッセウスの子供である。
そして唯一の男児であるホメロンの成長にともない、王アクトルと王子パリパリスが相次いで亡くなったことから少年王は即位した。
宰相にオレオッセウスを迎えて。
こうして、トロトロイア王家は滅んだのであった‥
名前が難しかった‥最初にひらめいたのがカツサンドラだったので食べ物に統一しようとしたのですが。
パリパリスはまだ食感だからいいかな? と思いましたがアクトルとゴムヘラって、動作と調理器具ですよ。




