第62話 コレって教える必要があるのでしょうか?
「これがローションで、こっちのペラいのが避妊具。つまりコンドーム」
箱から取り出し貴文は手にもって義隆に見せた。
「どっちも薬局とかコンビニで買えるよ。コンドームはサイズがあって、ここにはLサイズはあるけどアルファ用はないみたいだ」
「アルファ用?」
義隆が不思議そうに聞いてきた。
「え?えっと、一般的にアルファの……って、大きいって聞くし、前に通販でアルファ用って書いてあったの見たことあるんだけど」
「そうなんですか?知りませんでした」
義隆はコンドームをしげしげと眺めていた。
「オメガは発情期にしか妊娠しませんからね。それに、オメガの発情を鎮めるにはアルファの性を注いだ方がいいと言われています。そうすると期間が短くなるんです。平均一週間のところが三日とか。それなんでアルファはあまり使わないと思います。それに自分の番にマーキングしたいので、できるだけ胎内にたくさん注ぎたいんですよね」
コンドームをもって真面目に何気に恐ろしいことを語られて、貴文の股間が思わずキュっとなった。
「でも、これの使い方を教えてください」
義隆がグイっと近づいてきた。
「う、ん。あのね、この中に薄いゴムでできたコンドーム、てかスキンっていうらしいんだけど,最近は天然ゴムじゃなくて合成素材が使われてて薄くて丈夫で潤滑剤もついてるらしいんだけど、だから取り出すときに注意が必要なわけ」
貴文が一つを切り離し、手に取った。
「中に輪っかみたいなの入ってるのわかるかな?これがコンドームなんだけど、開封するとき袋と一緒に破けやすいんだよね」
貴文はそっと袋を破いて中身を取り出した。
「この先端が精液溜まり。つけるときに空気が入らないように絞るんだ」
「どうやってつけるんですか?」
義隆が聞いてきたが、貴文は固まってしまい動けなくなった。
「使い方を教えてくれるんですよね?」
そんなことを言われても困ってしまう。なにしろ注意事項に『しっかりと勃起した状態で挿入前に装着してください』と書いてあるのだ。
「えと、その、立ってないと着けられない……から」
貴文がそう言うと、義隆はスッと手を伸ばしてきた。
「これ、アルファ用ではないんですよね?それなら貴文さんで実地してください」
「え、いや、義隆くんっ」
言うや否や義隆の手は貴文の白パンツに伸びた。胡坐をかいていた貴文はそのまま後ろに転げ、そのはずみのまま脱がされてしまった。
「ひゃあ」
急に下半身が寒くなった貴文は悲鳴を上げた。
「ローションは手のひらで温めるといいんですね」
ボトルに書かれた注意事項を読んだのか、義隆はそんなことを言って両手をすり合わせ手のひらで温めた。
「優しくしますから」
義隆の両手が優しく包み込んできた。温かくぬめった感触に貴文の腰が小さく跳ねる。
「よ、し、たかく、ん」
肘を使って何とか起き上がった貴文の目に映ったのは、ぬるぬるとした光を放ちながら半立ちした自身のモノだ。それを義隆が優しく撫でるような手つきでこすっている。それでは刺激が足りない。
「義隆くん、その、そうじゃなくて」
「そうじゃなくて?これではだめなんですか?」
義隆がきょとんとした顔で聞いてくるから、もどかしくなった貴文は自分の手でしごき始めた。
「このくらいしないと立たないから」
義隆の手ごと上下に動かし始めると、すぐに熱を帯びてきた。そしてまるで芯を持ったかのように硬くなる。
「こ、のく、らいか、な?」
先ほどとは違い、随分と立派に立ち上がった自身のモノを見て、貴文は言った。
「これが、ぉ、ベータのサイズ何ですか?」
義隆がじっと見つめながら言った。
「平均的なサイズだと思うけど?都市伝説では化粧品のボトルはその国の平均サイズに作られている。って聞いたけど」
「そうなんですか……じゃあ、俺のと比べてみませんか?」
義隆がそんなことを言うから、貴文は思わず義隆の股間を見てしまった。腰にタオルを巻いていたから、ではなく、すでにその下で起立してしまっているらしく、タオルでは隠しきれない状態になっていた。
「うぇ、でかっ」
率直に見ての感想である。
「そうですか?ちゃんと比べましょう?」
言うなり義隆は貴文の腰を引き寄せた。
「ひっ」
貴文の小さな悲鳴など聞こえなかったふりでがっちりと股間がぶつかった。
「服が汚れちゃいますよね」
義隆はそう言って貴文のハイネックのシャツを脱がせた。
「ちゃんと下着を付けているんですね」
「さ、寒いからだよ」
貴文が思わず視線を逸らすと、義隆は二人分をひとまとめにするようにくっつけた。
「んなぁ」
「大きさは、このくらい違いますね」
そうやって大きさの違いを視覚で見せつけられれば、ただただその大きさに驚愕するしかない。
「では、貴文さん、つけ方を教えてください」
義隆に言われ、貴文はようやくつけ方を実践した。くるくると丸まった状態から下へと引き延ばされていく。ぴたりと下までたどり着き、貴文の手が止まった。
「ここで、毛を巻き込むと痛いから注意してね」
そんなことを言いながらも思わず顔をそらしてしまう。なにしろ目の前に大変ご立派なアルファのナニがあるのだ。自分のものがとてもチンケに見えてしまい目をそらすしかできないのである。
「わかりました。貴文さん。それでは、貴文さん、実際使うとどうなるのか見せてください」
「え?」
驚く貴文をよそに、義隆はボトルのローションを上からかけてきた。コンドームがかぶされているとは言えど、やはり直接かけられればその冷たさに驚くというものだ。
全身を震わせた貴文を抱き寄せると、義隆は器用に二人分をまとめてしごきだした。
「あ、あ、まって。義隆くん。あつい、熱いよ。だ、め……だからぁ」
あっけなく貴文が達してしまったのを眺めながら、義隆は落ち着かないのか唇を何度も舐めた。
「ここに溜まっているのが貴文さんの精子なんですね」
義隆はゆっくりと貴文の力の抜けたモノからコンドームを外した。
「これって、たくさん出たんですか?」
上に掲げるようにして眺めながら聞いてきた。
「そ、それなりには……」
自分の出したものなんか恥ずかしくて見られたものではなかった。
「今日の記念に取っておきますね」
「いやいや、そんなことしなくていいから、ってか、しないから、無理だから」
義隆はそれを摘まんだまま目線を貴文に向けた。
「貴文さんは、コレを彼女さんのなかに注いだことがあるんですよね?」
小首をかしげて聞いてくる様子は穏やかだが、言っている内容が穏やかではない。
「いや、注いだって、ちゃんとゴム着けてやったし……」
もぞもぞと言い訳をする貴文に、なおも義隆は詰め寄った。
「ここ、貴文さんが初めてした場所なんですか?」
「え?あ……う、ん」
ごまかしきれなくて答えてしまった。
「じゃあ俺も、俺もここで貴文さんと初めてがしたいです」
貴文の頭の中は一瞬で真っ白になったのだった。




