第九章 私の強さの証明
魔族の魔力反応は、外の正門から感じている
「正門にいるようですが、しかし…魔力量が少ない…魔力制限ができるトリリオンランク魔族の可能性がありますね…」
いやそれは無いと思う…なぜなら魔力制限をするなら、このように少ない魔族を演じるのは難しい、魔力調整をするなら、0か100の方が楽なのだ
それをわざわざ、弱く演出する意味がない、だったら最初から魔力を0にするか100にして、恐怖を感じさせた方が得策だろう、むろん私たちが魔力量で恐怖を感じることはないだろうけど…
「いたあいつだ」
「やぁ、どうも黄金世代の皆さん、トリリオンランク魔族の…」
「この人たちを殺したのはあなたですか?」
「まだ話の途中なんだけど…まぁそうだけど?」
「そうですか…」
次の瞬間、剣にまだ手もかけていなかったのにラグナは魔族の首を吹き飛ばしていた
一切の音を立てずに、綺麗な一閃が首を切り落とした
「ラグナ…」
「すみません、つい怒りが出てしまって…冷静にならないとですね」
おかしい…トリリオンランクにしては弱すぎる…いやラグナが強すぎるのか?
正直なこと言うと、今の一閃は私もギリギリ反応出来た、しかし相手は、全く反応出来ていない…
魔力も制限していなかった…あの魔力ならせいぜいビリオンランク…つまりはまだもう一体いる可能性がある…
「ライオ、もう一人魔族がいる可能性がある、気配探知できない?魔力探知はできないから」
「あぁ?ちっ…わかったよ」
気配探知つっても、難しいんだぞこの野郎…いた!
「地下だ、魔力がねぇ…強いぜこいつ…」
「ラグナ、シュルガルシアには地下はあるの?」
「いや、私が聞いた話ではないかと…」
直接エルネストさんに聞いた方がよさそうですね…テレポート!
いらっしゃった
「あの、エルネストさんこの建物には地下はありますか?」
「っ!……えぇありますが?どうしてそんなことを?」
「おそらく、魔族のうち一体が地下にいるということなので確認したく」
「分かりました、ご案内します」
さっき見た建物の地図では地下は存在しなかった…どういうことなのだろうか…
地図から消したいということは、そこに何か隠したいものがあるということ
シュルガルシアの闇を見ることになるかもしれない…
「ここです、開けます」
でっでけぇ…これ20メートルくらいはあるんじゃないか…
それに、魔石で効果魔法をかけられた鋼鉄の扉だ…外側からの侵入を防ぐためではなく、内側から出さないためにこんな大きな扉にしたのだろう…なぜなら先ほどまで感じていた黒い魔力が先ほど消えた、恐らく魔族が殺したのだろう、この中の何かを…
「大きい、扉ですねぇ…何か中にいるんですか?」
「えぇ、今にわかります」
扉が、大きな音を立てて開く
術式を確認してみると、テレポート侵入を拒む術式が施されている、しかし魔族が侵入に成功した
つまりはそれほどの実力者というわけだ、恐らくトリリオンランクではないだろうそれ以上の
ジリオンランククラス…
「おっ、やっときたかぁ…まぁ予想よりは早かったね、お疲れ様」
「なっ…なんということだ…シュルガルシアの龍が殺されているだと…」
シュルガルシアの龍…何かの本で読んだことがある
シュルガルシアのお菓子で食中毒がおきないとか
鮮度を保ったままお客様にお届けできるとか
様々な加護があったと書いてあった気がする…
「こいつ、シュルガルシアの龍っていうんだ?なんかうるさいから殺しちゃった」
「目的はその龍じゃないのですか?」
「うん、君たちと館長あんただ」
こいつ…強い…
魔力を微塵も感じない、完璧な制御だ…
「いやぁ、にしても黄金世代の4人全員が魔力制御を完璧にできるとは…少し強さを見誤ったかもしれないな」
「そうだな、強さを見誤っているだろう、お前はジリオンランクだな」
ラグナの口調が変わった…戦闘モードだ…
「あぁ…まだ言ってなかったね、僕はジリオンランク魔族、キースだ」
やはり…ジリオンランク魔族…正直この四人で勝てるかどうか…怪しい
そのくらいのレベルなのだ
「さて、始めようか!魔力解放」
凄まじい…魔力…
いままでここまでの魔族は見たことがない…
恐らく幹部クラスの魔族だろう…
「さぁ、かかっておいで」
「いこう!」
ラグナの一閃が魔族の首を目掛け、飛んでいく、相手は防御動作にすら入っていない
なんだ、こいつもあんまり強くないん…
「ぐっ!ごあぁぁ!」
ラグナの一閃を超える速度で、魔族はラグナを吹き飛ばしていた
遠くの壁からたたきつけられる音が聞こえてくる、けがなしでは済んでいないだろう…
「くそっ!おらぁぁ!」
この魔族…強い…なぜなら、この強さでまだ魔力開放をしていない、いまだに魔力0のまま戦っている
まぁ魔力探知ができないから、難しいけど魔力を制限すれば、それ相応の力しか出ない…
つまり、この魔族は、今の一撃に魔力を使っていない…
「君は確か…ライオ君か僕と同じ拳系だよね?力比べでもしようか」
「あぁ?俺はなぁ、パワー系じゃねえっつうの」
「おれそうなの?まぁなんでもいいやすぐに死ぬだろうし」
ジリオンランク…それも拳系潜伏暗殺が得意なタイプだろう…なのに正面から向かってきている…それほど余裕なのだろう…
「じゃあねぇ〜」
「なっ…」
その刹那、ライオの姿は凄まじい砂煙と埃で消えていた
いつの間にかアリサも吹き飛ばされている
私には反応できない速さだ
つまり勝てない…
「いやぁ、思ってたより弱いねぇ…もう君だけじゃん、グリーンリーフには期待してたんだけどなぁ…君は…リリア・レットヴェイルだったか?」
「えぇそうよ、あなたを殺す魔法使い、その名前しっかりと覚えていなさい」