第七章 エルダン・フィロアーク
先ほどの、試験ではちゃんと、大樹を持ち上げることは出来たのだが
如何せん使った魔法がまずかったかもしれない
最上位応用魔法を使ったため、今こうやって先生の研究室に呼ばれているわけであります…
「失礼いたします…」
やべぇ…怖い…
「そちらに座ってください、そんなに張り切らないでください、雑談みたいなものだと思ってください」
ほっ…よかったぁ…
「それでお話というのは…」
「紅茶でいいですか?コーヒーもありますが…あぁ、話というのは先ほどメリンダ先生とスティーブン先生と会議をして、貴方をトリリオンランクの魔法使いに推薦しようかと思いまして、よろしいでしょうかということです、後は本当に雑談をしたかっただけです」
「なるほど、あっ紅茶がいいです、先生の紅茶は評判がいいとお聞きしましたので」
トリリオンランクか…多分私がもしなったら、最年少とかなのかな…
それは、嬉しいけど、それ相応のプレッシャーというか期待が、されるわけで…
もちろん期待されるのは嫌いじゃないけど…トリリオンランクのくせにとか…
そういうのは嫌だよねというわけで…
「あの、お気持ちはとても嬉しいのですが…その…私だけというのは、少しプレッシャーで…アリサも一緒にトリリオンランクにしていただくことは可能でしょうか?」
「アリサさんですか?えぇこの後アリサさんもお呼びしてこのお話をしようと思っていたところでしたので、さすが黄金世代の方々ですね、ラグナさんも昨日推薦されたそうですよ」
まじか…ラグナはまぁ…剣聖の家系でずっと剣を振ってきたから、めちゃくちゃ強いことは知ってる…
アリサも天然だけど、めちゃくちゃ努力家で、魔法陣とかは私よりも全然詳しいし、勉強も私よりも全然できるし…逆に私がトリリオンランクには値しないのでは?
「アリサも一緒に推薦していただけるのでしたら、喜んでお受けいたします!この年で一人でトリリオンランクになるのは少し怖かったので」
「まぁ、これから様々な期待が寄せられるでしょう、でもすべてに答えなくていい、できないものはできないと、きっぱり言って誰かに助けを求める、それも立派なことですよ、困ったら大人がいますから」
優しい…この学校の先生皆好き…
「こんにちわ!先生お話って何ですか?あぁ!リリアちゃんお菓子食べてる!ずるい!私も食べる!」
「ちょっ、これ私のじゃないし、先生のだから!こらっ!やめろー!」
「ふふふ、仲がいいですねぇ…アリサさん単刀直入に言いますね、貴方をトリリオンランクに推薦します」
まぁ、きょとんとするわな、急だもんね…
「えっ?私が?リリアちゃんじゃなくてですか?私よりもリリアちゃんの方がすごいんですよ!魔力も多いし、戦闘能力高いし、クールでかっこよくて、何よりかわいいんですよ!」
「えぇ、ですからお二人とも推薦いたします…デジャブだな…」
「分かりますか先生、このもちもちほっぺに、さらさらな髪の毛!綺麗な指に、白い肌!私よりも、優れています!」
「あの、お話を聞いてください…ですからお二人とも、推薦いたします、あとそれ以上言うと多分、リリアさんが気絶してしまうので…」
アリサ…私のことをそんなに思っていたなんて…
「アリサ…」
「どうしたのリリアちゃん、顔赤いし、耳も真っ赤だよ」
「いい?アリサよりも私が優れてる?そんなわけないでしょ?アリサの方がかわいくて、ほっぺもちもちだし、髪の毛綺麗だし、爪も毎日に整えてるんだよね?綺麗な指だし、歩き方も清楚だし、声もきれいだししゃべり方も、清楚ですぐに友達ができるし、アリサのほうが私よりも、優秀です!」
はぁはぁ…喋りすぎたか…
「あのぉ…よろしいですかね?おふたりとも推薦という形で…イチャイチャするのは帰ってからやってください…目のやり場に困ります故…」
「すみません…推薦、ありがとうございます!今後ともよろしくお願いいたします、それでは失礼いたします」
やったー!念願のトリリトンランク魔法使いになれたぜ!これであとは、ジリオンランクのみ!
まぁ…ジリオンはレベチなんですけどね…
「推薦したといっても、まだ試験に合格したわけではありません、頑張ってくださいね!応援しています!」
「ありがとうございます!精一杯頑張ります!」
そうか…試験のこと忘れてた…
確か…全体試験という、まぁ山にこもってサバイバルみたいなことをする
ただし、自陣のコアクリスタルを破壊されないように
まぁ、結局戦闘になるんだけども…
「それでは、失礼いたします」
「アリサ、杖できたらしいから取りに行こう」
「うん、いいよ!じゃぁファストトラベル出すね!」
エルダンさんが作った杖楽しみだなぁ!
「それじゃ!行くよ!」
「ほっ!よいしょっと」
「びっくりしたぁ…何だお前らか…杖できたぞ、こっちだ」
「ありがとうございます、あれ?工房模様替えしました?」
確かに、なんだか棚とか、壁がきれいになってる
「リリアが満足できるような出来かどうかは…自信ないけど、まぁ前のよりは格段いいものさ」
いつも自信なさすぎだけど、普通にそこら辺の杖職人よりは圧倒的にうまいってみんなに言われてるのにな…まぁ先代が異常だっただけだよ…
「これだ、俺の中では自信作なのだがやはり、親父のに比べるとどこか違う…」
「ありがとうございます、それでは失礼して…」
――っ!これは…しっかりと魔力道がまっすぐで、アシスト機能もついてる…それに硬い…
重量は少し重いくらいで気にならないし、めちゃくちゃ手になじんで体の一部になったみたい…
「素晴らしいです…この重量でこの硬さは一体どうやったんですか…」
「これは、周りは比較的軽い樹皮で作って、中に剛性の高い芯を使った二重構造の応用で、二重構造だと樹皮と芯を接着剤で固める影響から湿度に弱かったのだが、細い枝をそのまま使うことで、剛性を出したというわけだ」
なるほど…こんなこと思いつく人他にはいないよ…
この杖で、目指すはジリオンランク魔法使い
「試し打ちしてもいいぞ、そうだな…そこの木を倒してくれないか?そろそろ切ろうと思っていたところでな」
「分かりました」
切断系の魔法…コンプレーシアかな
「それでは、失礼します…コンプレーシア!」
あっあれ?こんなに強かったっけ私の魔法…
「ははは、予想通りだ、いままで練習用のガタガタの魔力抵抗の強い杖を使ってきたのだからな、急に魔力抵抗が弱い、杖を使ったらそうもなるさ」
「でも、これは…まずくないですか?」
目の前の木を一本着るつもりだったのに数百メートル更地にしてしまった…
ということは、いままでものすごい量の魔力を無駄使いしていたということ…もったいな…
「さて、杖の試しもできたようだしお茶にしよう、そこのテーブルに座っててくれ」
「私もお手伝いいたします」
「いやかまわん、座っててくれ」
にしても、本当に綺麗にしたな…
多分、杖作る気分転換に少しづつ綺麗にしてたんだろう、ものが散乱しててごちゃごちだった、部屋が家政婦さんに綺麗にしてもらったみたいになったな…
「あの、この家にはお一人で?」
「ん?いや、俺と嫁のミリアで住んでるぞ?あぁそうか…二人ともミリアは見たことないのか…だいぶシャイだからな…ミリア!出ておいで!」
ミリア…まさか!ミリア・ネメシスのことじゃないよね…
「はっはい…ど、どうも始めまして、ミリア・フォロアークと申します…あ、あのお二人のことはダリア様とアスナ様からお聞きしております…」
「あの、失礼でなければ旧名をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい大丈夫です…旧名はネメシスです…」
やっぱりね!ネメシス家か…昔は闇の家系と言われてたけど、ただ闇魔法の準継承者なだけで、悪魔法使いではない、とかなんとかの…
戦闘はしない家系だけど、もしさせたら最強だとかなんとか…
かつて、光魔法の継承家のアマシス家と戦い、世界を半壊させたとか…まぁ昔話だから作り話かもしれないけど…
「いやぁ、おしどり夫婦ですねぇ…イケメンに美女とは…」
「ははは、俺がイケメンだって?そんなわけないだろ、まぁミリアが美女なのは間違いない」
「ちょっと、やめてくださいよ」
…てぇてぇなぁ…
「お茶が、できたぞ、ミリアは砂糖とミルク淹れるよな?」
「はい、お願いします」
「私もお願いします」
「自分はストレートで」
このお茶は…おいしい…何のお茶だろう…
「これは、ローズヒップだミリアがすきでな」
へー帰りに買って帰ろうかな