第六章 セレスティア高等魔法学校
杖を作ってもらうことを委託した次の日
普通に学校なので、アリサと一緒に学校に登校する
最近は雨の日が増えてきた
「おはよう、リリアちゃん!髪の毛雨でぼさぼさだよ…」
「私も…学校に入ったら、防御結界のサンクティアの天球で雨すら入ってこないから、いいけど登校中はどうやっても雨に濡れるんだよね…」
まぁ、全身に傘を出す魔法みたいなのがあった気がするけど、なんか恥ずかしいし…
「おはようございます、アリサさん、リリアさん、今日はあいにくのお天気ですね、まぁここ最近はずっと雨ですけどね」
「おはよう、ラグナ…あのさぁ風の魔法で体の周りの雨を吹き飛ばす魔法とかないの?」
「そうですねぇ…やろうと思えばできますが、僕はこの雨も風情があってとても好きですのでやらないだけです、この匂い、音、色、感触すべてで感じ取ることができる、素晴らしい季節だと僕は思いますよ」
むぅ…一理あるけど、今は髪の毛がやばい…どっちかというと湿気を飛ばしてほしいが正解かな?
「アリサ、今日何か特別な授業あったけ?」
「えーとね、特にないね珍しく普通の授業だけの日だよ」
確かに、珍しいけどそんなに珍しくなっちゃってるなら、もはやそれは普通ではないのでは…
だいたい、毎回すごい人が来るからな…
「おはようございます、ライオ君残念ながらそこは、ばれていますよ」
えっ…ライオ?
「うわっ!びっくりしたぁなんで、雨降ってるのに木の上なんかに登ってるのよ!」
「いや、俺はただ雨に濡れねぇようにこうやって木に登ってんだよ」
「ライオ君、雷とか打たれたら大変だからこっちおいで」
いつも、ちょっとぶっ飛んでんだよなライオ…
「ほっ、よっと、くっそ濡れちまうじゃねぇかよ…」
傘持って来いよ…ていうか木に登ってても濡れてんじゃねぇかよ…
「ほら、私の傘入って!風邪ひいちゃうでしょ!」
お母さんかよ…まぁこれはこれで…てぇてぇな
「リリアさん、本日の放課後シュルガルシア城に行きませんか?アリサさんもライオ君も連れて、まぁライオ君は来るかわからなですけど…」
「うん、いいよ、ライオは多分アリサが頼んだら来るんじゃない?」
「ははは、そうかもしれませんね」
正直あそこは付き合ってるわけじゃないけど、でもにおわせていますなぁぶほほほ
キモい笑い方しちゃったな…
「ねぇ、アリサ今日シュルガルシア城いく?」
さぁ、アリサ私の言いたいこと感じ取ってくれ!
「うん行きたい!ライオ君一緒に来て」
よしっ!よくやった!命令形なのも、よりいい
「はっ!?えっ!まぁ、行ってやってもいいけどよ…」
素直じゃないねぇ…行きたかったんじゃないの?
まぁ、なんでもいいけどね…私は
「リリアさんまた、今度は二人きりで行きたいですね、私とリリアさんで」
「はいはいそうだね」
私は恋愛とかよくわかんないから、あれだけど
多分ラグナは私のことを好きなのだろう
まぁ、私もね友達としては、好きなんだけど私が恋愛的に好きなのは…まぁこの話はいいや
多分ラグナも、私は気がないことをわかってこういうことを言ってるんだと思う…
「それじゃぁ、また放課後にねちゃんと授業受けるんだよ!ライオ君!」
「わぁってるよ…」
学校の防御結界の中に入ったから、雨には濡れなくなったけど
なんか、気持ち悪いな…外は雨だったのに、ここだけ晴れてるから、違和感しかない…
気温もだいぶ違うし、まぁ髪がぼさぼさにならないからいいか
「やばい、結構時間ギリギリかも!急ごう!」
教室まで全力ダッシュして、なんとか始業時間前には席につけた
「みなさん、おはようございます。本日も魔法化工学について、やっていこうと思います」
魔法科工学とは、魔法薬や魔法機械をどのように工学的かつ社会的に利用できるかを学ぶ分野である
今回は、重力魔法を活用している工業分野を学ぶ
「今回は、重力加速度を調整する魔法、グラヴィータスを使って、とても重いものを運ぶというものをやってもらう、今回動かしてもらうのは、ルミエール大湖畔の近くにある、倒れた大樹を毎年持ち上げてもらっている、今回も持ち上げられたものには、私からティータイムの招待をしよう」
おぉ…ティータイムは、アリサが行きたいだろうなぁ…
でも、この大樹を持ち上げるのは、かなり難しいだろう、かなりの魔力量が必要だし、それを細かくコントロールする技術も必要だ…
「それでは、まず初めにグラヴィータスについて解説しよう。グラヴィータスは重力操作魔法で、術式配当範囲は上級応用魔法に該当する。応用の仕方によっては、戦闘にも使用できる強力な魔法だ。魔力量、コントロール技術ともに必要で、高難易度な魔法である」
まぁ、戦闘でも私もよく使うしね、グラヴィータスは重力を直接操作する魔法なので、魔力を探知されにくい、また応用で様々な方向への重力変化を起こせるため、ねじったりもできる
「術式は教科書を参照してください、まぁ詠唱すれば勝手に術式構築してくれるんですけどね今の杖は…まぁ、テストには出ますので覚えておいてください」
なんだって!今杖って、術式構築勝手にしてくれるの!?私の杖一切アシストしてくれないのですが⁉
逆に、よくこれまでこんな班で背負って勝ててこれたな…
これで、エルダンさんが作った杖使ったら…最強の魔法使いイアペトゥス様にも勝てるのでは…
いや無理か、さすがに…
「それでは、さっそくルミエール大湖畔に向かいましょう、持ち物は杖と教科書のみで構いません」
教科書は、まぁいらないか…もう覚えてるから
まぁ、持ってこいと言われたので、持っておきますか
「リリアちゃん、いくらグラヴィータス得意だからって、大樹ねじ切っちゃだめだぞぉ」
「ふふふ、さすがに無理だよ、私がねじ切れるのはせいぜい人間が限界かな」
「ちょっと、怖いよぉ」
ふっ…かわいい奴め…
「ちょっと、どうしたの急になでたりして、寂しくなちゃった?」
「いや、ただただ可愛かったから、撫でただけです…よーしよしよし」
「ちょっ!私も!おりゃおりゃ」
「そこのお二人さん、てぇてぇするのは、授業が終わってからにしてくださいね」
はっ!私としたことが…ついつい
「それでは、移動しましょう皆さんファストトラベルは持っていますか?持っていない方は私がお渡しいたしますので、こちらまで来てください」
ルミエール大湖畔のファストトラベルは…持ってないか…まぁテレポートすれば問題はないんだけども
これから魔力を大量に消費すると考えると…あんまり使いたくないなぁ…
おとなしくもらいに行くか
「ハイどうぞ」
本当にファストトラベルを開発した人には感謝してもしきれないよ…前も言ったなこんな話…
「それでは、行きますファストトラベル!」
よいしょっと、よしうまく着地出来た
これが…ルミエール大湖畔大樹倒木…
「で…でけぇ…こんなの持ち上げんのかよ…横幅、体育館二つくらいあるぞ…太さは私五人分くらい…私が152センチだから…7メートル半くらいか…」
「みなさん、予想よりも大きくて驚いているかもしれませんが、こちらを持ち上げてもらいます、それでは名前の順にやっていきましょう」
「噓でしょ!?私一番手!?でも頑張るぞー!」
そうか…アリサは名前的に一番なのか…私は最後の方かな、リリアだし
「それでは、始めてください」
「はい!グラヴィータス・ゼロ」
この大きさを、重力ゼロは厳しいんじゃない?いくらアリサの魔力量でも…
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!
「嘘だろ…持ち上げちまったよ…」
すごい…魔力調整の精度が高い…ほとんど体外に魔力が漏れていない…
私には、到底真似できない芸当だな…水の魔力は調整しやすい方だけど、私は陰魔法だし…そもそも魔力調整が得意じゃない…
「素晴らしい…20年ぶりですこの大樹が持ち上がったのは…」
多分20年前もアリサのお父さんだろう…
ブルーリング家は代々この大樹を持ち上げてきたそうだからな…
「やったー!見た見た!リリアちゃん!持ち上がったよ!」
「凄い凄い!おっぉぉぉ!よーしよしよし」
「うへへへへへ」
はっ…またついやってしまった…
まぁ、かわいいから仕方ないでしょ!
その後、誰も持ち上げることなく私の番になった
滝の音が体の中に大きく響く
滝の音に遮られ、うるさい静寂が緊張を高めていく
「次は、リリアさんお願いします」
来た…重力操作魔法は得意だけど、私が得意なのは最上位応用魔法のほうのグラヴィータシアなんだよなぁ…グラヴィータスはあんまり使わないから…
「あの先生、重力魔法はグラヴィータスでないといけませんか?」
「いえ、難しいようでしたら簡単な魔法でも構いません、重力操作魔法でしたらなんでも」
そういうことなら!行かせてもらいます
「グラヴィータシア・アブソリュート・ゼロ!」
すぅ…あっ意外と重くない…グラヴィータスでよかったかも…
「なんと…グラヴィータシアを使うとは…それもアブソリュートを…」
まぁ、トリリオンランク魔法使いじゃないと使えない魔法だもんね…
「リリアさん、貴方ランクは…」
「ビリオンランクですが…」
「あとで私の研究室に来てください、お話があります」
やべっ!説教かこれ…