第五章 杖職人 エルダン・フィロアーク
結局、シュルガルシア城は、ラグナと予定があったときになり
今日は、午後から暇なので、ご飯を食べてから、エルダグリム山に登ることにした
まぁ、登るといってもファストトラベルなのだが…
正直楽しみでしかない!だって私の新しい杖だもん!
別に、新しい杖になってより強くなれるからうれしいとかそういうのはない
ただ、なんだろう…わかるでしょ?今持っているものを新しいものにするのはさぁ、興奮するじゃん!
『もしもし、リリアちゃん、ご飯食べ終わったから今から家に行ってもいい?』
これは、直接文通することができる魔具で、ダイレクトレターとか、直文通とかいろんな呼ばれ方してる
正式名称が無いから、仕方ないけど
私はどっちかというと、直文通とよんでるかな
『まだ、ご飯食べてるけどいいよ、門番さんにも伝えておく』
昔は、本当に手紙とか、伝書烏とかしかなかったからね
最近は便利になったものだよ
ファストトラベルもそう、イアペトゥス様が開発してくださらなかったら、ずっとほうきで飛んで移動か、徒歩だったからね
イアペトゥス様には感謝してもしきれないね…
『ついたよ、門番さんにもお入りくださいって、いまいくよ~』
早くね?まだご飯食べてる途中なんだけど…
「こんにちわ~あれ?まだご飯食べてるじゃん、ゆっくり食べていいからね」
いやいや、アリサがきたらゆっくりなんて食べれるわけないじゃん…私が食べてる姿見たら、アリサもどうせ食べたくなるんだから…
「まったくもう、もう少し時間かけてきてよね…私だって準備があるんだからさ…」
「じゃぁ、まだ準備できてないから待ってて言えばいいじゃん」
んぐぐ…ごもっともすぎて何も言い返せない…
「そうだけどさ…一応私の家とアリサの家500メートルくらいは離れてるはずなんだけど、私が来ていいよって言ってからすぐ来たよね…テレポート使ったってことでしょ?私のこと好きすぎかよ!」
「もちろんテレポート、使ったよだって歩くのめんどくさいじゃん!あと、リリアちゃんのことは普通に好きですが⁉何か?」
ばっ…やめろよ照れるじゃねぇか…
なんて茶番はいいんだよ
「まってて、髪整えてくるから」
「あっ、私やってもいい?昔みたいにさ」
…まぁいいか、アリサなんだかんだうまいし
「ちょっと、くすぐったいからやめてよ!」
「あぁ、ちょっと動かないでよね…やり直しだよ…」
「ごめん、けど首元触るのは良くないでしょ!難しい髪型なのはわかるけどさ…」
私の髪型は、家にいるときポニーテルなんだけど外に行くとき、つまりは学校に行くときとかは、
左右でみつあみしてから、くるりんぱして完成、なんだよねいつもは魔法でやっちゃうけど、やっぱり日かの人にやってもらうと、なんか特別感があっていいよね
「よし!できたよ!」
ほー、やっぱり上手だなぁ魔法で作るよりも断然綺麗だわ…
「ありがとう、とってもいい感じだよ、それじゃぁ行こうか」
ファストトラベルを使い、山の頂上に飛ぶ
「それじゃぁ、使うね!ファストトラベル!」
「うっ…」
よし、うまくファストトラベルできたかな?
うんできてるできてる
「って、寒っ!えっ?今夏なんだけど⁉こんなに寒いの聞いてないよぉ…」
確かに、かなり寒い、体感気温9度くらいだろうか…濃厚な魔力の瘴気によって太陽の光が地面に届かないから、熱も入らないし魔力では水の魔力の割合が高いから、温度が下がったのか
「こんにちは、あの杖を作っていただきたく参りました、リリア・レッドヴェイルです」
あれ?誰もいないのかな?魔力探知もこの場所じゃできないから探せないし…
「こんにちわー!エルダン・フィロアークさん!いらっしゃいませんか!」
声でかすぎだろ…わたしそんな大きな声出せないわ…
「なんだ、こんなところまでどうやってきた?迷い込んだならとっとと帰んな」
うそ…この人から全く魔力を感じない…いやないのか?そんなわけはない…どんな人でも魔力はかならずある…つまりは魔力を外に漏れださないようにすべてコントロールしてるってこと…もしそうならジリオンランクの魔法使いに匹敵する…
「お前、レッドヴェイルといったな、お前の母親から預かっているものがある、そいつは渡してやる」
「はい、ありがとうございます」
渡されたものは、魔法の杖だしかし、この杖は不完全だ、魔法の杖としては使えない
「ありがとうございます、私に杖を作ってはくれませんか?」
ここで引き下がってしまうと二度と作ってくれる気になってくれなそうだから、絶対に引き下がらない
「俺はもう、杖を作らねぇんだ、わりぃなその出来損ないだけ持って帰ってくれ」
「そんな、これは出来損ないなんかじゃありませんよ!ちゃんと魔法が出せればそれは杖なのです!ですが私は、戦闘において強力な魔族を葬らねばならい!そのために、貴方様に杖を作っていただきたいのです、恐らくこれはあなたが子供のころに作ったものでしょう?作り方はあなたと全くおんなじ、でもまだ知識がなかっただけでしょう?違いますか」
興奮して、いっぱいしゃべりすぎた…
今渡された、母上から預かっていたというこれは、桜の木を使った、杖だちゃんと魔力の通り道はあって
も確かにガタガタ、でもちゃんと魔法は使える
「確かにそうさ、でも今の俺が作ってもそっちのお嬢さんの持っているブルーリング家に代々伝わる杖を超えることはできない、俺は親父を超えられないんだ」
確かに、噂程度にだが、フィロアークの先代の杖職人はものすごい腕だと聞いている
しかし、私が求めているのは、伝説に残るような杖でなくていい、ただ今の杖よりも強化してほしいというだけだ
「あの、それでは、私の今の杖を強化していただくことは出来るでしょうか?」
「…見せてみろ」
私は、胸にしまってある杖を取り出す、するといつもは光ることのなかった、紋章が赤く光っている
「その杖は…私が子供のころに作った駄作…そんなものを今まで使ってきたのか…」
「この杖は母上が、私にレッドヴェイル家に代々伝わる杖だと言われ渡されました」
「そもそも使うことができたのだな…
それよりも使いずらいなとか思わなかったのか?」
まぁ、何か変だなとは思っていたけど、そもそもほかの人の杖に触ることがあまりないので…基準がなんともわからん
「正直魔力放出補助機能とかは無いなぁと思っていましたが、正直使いずらいとは思いませんでしたね」
「つまりは練習用の杖だと思って使っていいたと…」
まぁ練習用の杖だと思い始めたのも最近だけど…周りの杖の環境とかあんまり意識してみてこなかったからな…
「その杖は、私が子供のころに作りお前の母親の、ダリアに渡したものだ、すぐに捨てられると思っていたけど、ちゃんととってあって、しかもそれを娘に使わせているとは…正直そんなのを使わせていたのは、申し訳ないがとても嬉しいよ、ダリアにも久しぶりに会いたいものだな」
さっき調べた情報によると、エルダンさんと母上は同い年だったな、まさかとは思ったけど同期だったのか…
母上の世代もなかなか黄金世代だろ…
「わかった、そんな杖で戦わせるわけにはいかない、今回は特別だ作ってやる。ただし折ったり、なくしたりしたら、もう二度と作らねぇからな!メンテナンスはしてやるがな」
「えっ?本当ですか?やったー!」
案外あっさりと…まぁこれは母上に感謝か…
同期でよかったよ…
「まずは、材料選びからだ、杖の木材には様々な種類がある。まずは、ブルーリングのお前がが使っている、その杖は楓だ、それ以外にも欅に杉、檜そして桜の木がある」
確か、それ以外にもあるけど大体この五つが主流らしい
私が今まで使ってきたのは、檜の杖なので同じ素材でもいいかな…
「サンプルは一応あるから、それぞれ握ってみてどれが一番しっくりくるか、あとは魔法を撃ちやすいかを試してみるといい」
サンプル…家の中のラックを見たらわかるけど、日常的に杖を作ってきている形跡がある
多分杖を作ることは好きなんだろうけど、先代を超えられないという苦しみがぶつかり、このようにたくさんの杖を彼に作らせたのだろう
「じゃぁまずはこの杖を」
左から順番に試していこう、これは楓だ
結構重いかも、そして硬い
振った時の剛性感はすごいけど、重いから手が疲れそうだな…それにスピード勝負もできないし
次に、欅を試してみよう
とても重たい、楓でも重たいと思ったがそれよりも重い、それに硬い…これは魔力をたくさん込めるとなると、まぁ使えそうだけど、私はスピードを重視したいからな…
次に杉の杖を試す
えっ?うそでしょめちゃくちゃ軽いんだけど…こんなに違うの…
むしろ軽すぎて怖いという領域まで来ている…スピードは出るんだけど耐久性と、剛性に難ありか…
次は、檜の杖
檜はかなり軽くて、振りやすいし、やわらかいから魔法を撃つ速度も高く維持できる、かなり好印象だ
最後は桜か…ちょっと重いかも、でも何だろう…この杖普通の構造じゃない…
外側と内側で硬さが違う…
「その杖は、内側は桜の木の芯、外側は樹皮を固めたものだ、剛性が高くスピードも出しやすいというものだ、最近では桜が主流だな」
確かに、重いけど振ってみると他のと比べて、外側に引っ張られる力、遠心力なのかな?があんまり強く感じない、魔力道もきれいだし、加工がしやすい木材なのかな?
「どうだ、どれがしっくりきた?」
「そうですね…檜もいいと思ったのですが、やっぱり桜ですかね、この二重構造は素晴らしいです!」
檜はスピードが出るけど、柔らかすぎた感じがするから、やっぱり桜なかな
「分かった、桜だな三日ほどで仕上げる、ちなみにこの二重構造は今では俺しか作れねぇ、だから折ったりしたら、もう二度とこんないい杖は使えねぇぞ」
「もちろんです、絶対に折ったりなんかしません!」
いや、ワンちゃん戦闘時に折る可能性はあるけど…まぁ頑丈な木材だからどんなに本気で振っても俺はしないか…
「じゃぁ、手の採寸をするから、この椅子に座って石膏に手を入れてくれ」
そういえば、アリサどこ行ったんだろう?さっきから見かけないんだけど…
「あのアリサはどこに行ったか知ってますか?」
「あいつは、俺の魔法特訓室にいるさ、使ってみたいと言っていたからな」
冷たい…杖を作るのに、手形をとるのは初めてだ…それほど本格的なのだろうけど…
「よし、もう大丈夫だ終わり、俺は工房にこもるから魔法特訓室使ってもいいし、好きにしてくれいつ来てもいいからな」
これは…認められということでいいのか?