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第十一章 魔族会合

「どういうことだ!リリア・レッドヴェイルはビリオンランク魔法使いじゃないのか!」


怒声が広大な謁見の間に響き渡った。天井まで届く黒曜石の柱がその怒りを受け止めるように重々しく沈黙する。床は白銀の大理石で覆われ、冷気が足元から立ち上っていた。壁には魔族の王たちの肖像が並び、いずれも憤怒の目でこの場を見下ろしているかのようだった。


その中央に立つのは、魔族最高評議会の筆頭、「黒鉄の咆哮」の異名を持つグラウバルト。その瞳には炎のような怒りが宿っていた。


「調査によると、最近トリリオンランク魔法使いになったそうです……私の調査不足でした……」


重々しく答えるのは、官僚服に身を包んだ若い魔族。彼の背中には冷や汗が流れ、その言葉の端々から震えが滲んでいた。


「そういうことじゃない!」グラウバルトの声が再び炸裂する。

「仮にトリリオンランクだったとしても、ジリオンランクのキースが殺されたんだぞ!ジリオンランクの我らが誇る戦士が、だ!」


広間の空気がぴりぴりと張り詰める。まるで怒気そのものが電撃のように空間を走っているようだった。重力が増したような圧迫感に、部下たちは身動き一つできない。


「キースは……我ら魔族の五本指の一角だった……。それを……!」


グラウバルトは言葉を区切ると、口元を手で覆い、一息深く吸った。だが、苛立ちは消えない。


「レッドヴェイル……ただの名家ではない。古の契約を今も継承し続ける、血と力の系譜……その末裔か……!」


彼の脳裏に、血に濡れた報告書が浮かぶ。キースの死体は、ほぼ損壊状態だった。防御魔法を複数重ねたうえで、瞬時に蒸発させられたという。そんな魔法、現代に存在するのか——いや、リリアはそれを“使った”というのだ。


「……黄金世代と呼ばれていたのは、誇張じゃなかったというわけか……くっ、見くびっていた……!」


彼の拳が肘掛けを叩く。大理石の玉座の一部が砕け、粉塵が舞った。


「グラウバルト様、今後の方針は……?」


影のように控えていた副官が静かに問いかける。その顔にも焦りと緊張がにじんでいた。


「……やられっぱなしというわけにはいかん。だがレッドヴェイル家だ。あのイアペトゥスが介入してきてもおかしくない……」


「そうなった場合、全面戦争になります」


「それでも構わん。2週間後だ。魔法学院での“頂位試験”がある。幹部はそれまで動くな。だが、それ以外の下位兵は自由に使え。あの女を倒した者には……懸賞金2億リューンを与える」


ざわ……!


周囲がざわめく。2億リューン。それは一国の軍を丸ごと買える金額だ。通常の魔族兵が一生かけても得られない金だ。


「……リリア・レッドヴェイルに、血の海を用意しろ。魔族全土に告げよ。これは報復ではない、粛清だ」


街に戻る兵士たちの会話:


「おい、これ見たかよ。リリアって奴に懸賞金2億リューンだってよ!」


「マジかよ!ビリオンランクからトリリオンに昇格したばっかだろ?……でもジリオンのキースを倒したとか……本当かよ……」


「だとしたらヤバすぎる。でも、やるだけやってみる価値はあるぜ。家族養って、城でも建てるんだ!」


数日後、魔族軍情報部──


「その後の反応はどうだ?」


「現在、7つの魔族クランが正式に参加を表明。サタンクランも動き始めました。ただし、ミラージュクランは不参加です」


「……あそこは慎重派だからな。だが、サタンクランが動くとは……思ったより事態を重く見ているな」


「おそらくリリアを、“脅威”と見なしたのでしょう」


グラウバルトは、椅子の背にもたれながら目を閉じた。ほんの数週間前まで、無名に近い若き魔法使いだったはずの少女が、今や魔族社会の均衡を崩し始めている。


「ふはは……よかろう。これからだ。これからが悪夢の始まりよ、リリア・レッドヴェイル……」

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