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第一章 シルヴァリスの知林館

人物紹介

主人公:リリア・レッドヴェイル 

    アリサ・ブルーリング

    ラグナ・グリーンリーフ

    ライオ・イエローヴェイン



 その昔、魔法史の内容によると七色家がほとんどの魔法をつかさどっていたという。

彼らのことを、市民は全知全能や、神などと、崇拝し、七色家は政権の権力を完全に握っていた。

しかし、そんな時代も束の間、黄金世代という4人の魔法使いが誕生した。

その黄金世代の四人が、世界を改変する魔法使いになるとは、七色家の誰も予想していなかった。



 黄金世代の始まりは、唐突だった。七色家には、白、黒、透明、赤、緑、黄、青、が存在する。

そのうち四家から、同世代に子供が生まれた。

それぞれ、リリア、アリサ、ラグナ、ライオだ

赤、青、緑、黄の家系から、膨大な魔力を持った、子供が生まれた。

 本来、人間の魔法使いで、魔力は三桁台までしか存在しないと言われていたが、この四人とも1000の魔力をもって生まれた。七色家の人々は彼らを、黄金世代と呼び魔法使いへの英才教育を始めた。

 四人は、みるみる魔法の才覚を見せだし、本来16歳ほどにならないと、扱えない家系特殊魔法をその半分の歳で完全にマスターした。

 この四人は、家庭での英才教育により、前例を見ない異例の、魔法使い学校高等部からの入学となった。



 どうやら、私はほかの人間よりも優れているらしい。

私は、家の者にそういわれてきた。でも私はそうは思わない。

昔一度だけ、魔法協会に行ったときに

そこにいた、エルフの魔法使いにはどうやっても勝てるイメージが持てなかった。

他の人間というのが、的確に定義されていないので、厳密にはわからない…

仮に彼女はエルフだからカウントしなかったとしても、私よりも強い人は全然いる。

 まぁ、そんなことはどうでもいい、家族からは魔法は殺しの道具だとか、戦うための道具だとか、身を守るためのものだとか、言われてきたが、そうは思わない。

確かに、そのように使うこともできるけど、便利なものであって、人殺しの道具で終わってしまうのはもったいないな…


「…ちゃん…リリアちゃん!ねぇってば聞いてる?」


ん?あぁアリサか…


「ごめんごめん、考え事してて、どうしたの?」

「やっぱり聞いてないじゃん…今日の放課後私の杖買いに行こうって言ったの!」


今日の放課後…まぁ暇ではあるからいいか


「うんいいよ、暇だし、私の、杖も少し見てもらおうかな、最近調子悪くて」


でも、たしかアリサの杖は、ブルーリング家に代々伝わるものだったような…

まぁ、もうお古だから変えたいのかな?

 私のも、代々伝わる杖だって言われてきたけど、それにしては出力弱いし、最近調子悪いし…

私のは、本当に壊れてるんじゃないかな?


 いやぁ、春だなぁ…東洋の国から輸入された、「桜」という木らしい。

東洋の人々はこの木の花が咲くと、春が訪れたと感じるらしい、本で読んだことがある。

それに桜の木は、杖の材料にもなるらしい。丈夫で手になじみやすく、私たちの世代の魔法使いのほとんどは桜の杖を使っている、私のは楓の木らしい。


「おはようございます、リリアさん、アリサさん」


と丁寧に挨拶してきたのは、ラグナ・グリーンリーフ。剣聖の家系で、本来は剣士として鍛えられるだが、生まれつき魔力量が異常だったので、剣魔法使いになるらしい。


「おはよう、ラグナ君!今日確か、特別講師の方がいらっしゃるのよね?デリフォン様でしたっけ?」


デリフォン…確かジリオンランクの剣魔法使いだったかな?


 この世界には魔法使いにおいて、ランクが存在する。いや魔法使いだけに限定はされないが、剣士も戦士も、冒険者も同じ表し方ではある。

見習いレベルの者が「ゼロランク」

基礎習得レベルの者が「ハンドレッドランク」

基礎応用習得レベルの者が「サウザンドランク」

応用魔法習得レベルの者が「ミリオンランク」

上級応用魔法習得レベルの者が「ビリオンランク」

最上位応用魔法習得レベルの者が「トリリオンランク」

剣魔法使いの場合は双律終刃試練突破者のみ「ジリオンランク」

となる。

 その中のジリオンランクだから、ものすごい方だよ、世界に6人しかいないんだからね


「おはよう、あぁねむ…ラグナ、今日デリフォン様がくるんだって?いいなぁジリオンランクの魔法使いとか、会ってサイン貰いてぇわ」

「ははは、すまないね僕は、もらうつもりだよ、君の分ももらってこようか?ライオさん」


正直私もほしいけど、目標にしている方は、他にいるから、その人に合えたら、サインもらおう


「やべ、ゆっくりしてるけど、お前らあと3分で鐘なるぞ急げ!」


本当だ!今日は、いつもよりも少し早く始まるんだった!


「どうしよう、もう間に合わないかも…リリアちゃん使ってもいいと思う?」


恐らく、テレポート魔法だろう、本来これは上級応用魔法にあたる。

私たちは、まだミリオンランクレベルの授業しか受けていない、もし上級応用魔法なんかを使っているところを見られてしまうと、かなりまずいが…授業に間に合わないよりはましだろう。


「仕方ない、教室の前の廊下までテレポートしよう!せーのっ!」


「ほっ、よし着地成功、さいきんやっとできるようになったんだよね…間に合ったし大成功だね!」


うん、1分前だけどね…まぁぎりぎりだけど間に合ったから無問題か

 さて、一時間目は、上級応用魔法陣作成だったっけ?だから、外に移動か


「おはようございます、本日魔法陣作成をお教えいたします、バーキンと申します、本日作成いただく魔法陣は、狩猟などに使われる、拘束系の魔法陣になります。それでは頑張りましょう」


拘束魔法だったら、使えるんだけどな…まぁこれ最上位魔法らしいけど

まぁ魔法陣作成は楽しいから、いいか

室内よりも、外の学習の方がのびのびできるしね


「リリアちゃん、今日の魔法陣ってさ応用したら、もっとるすごいことできるよね?楽しみだなぁ」


まぁ、できるけど、やらないようにしないとね…最悪人を殺しかねないからさ

恐らく、アリサが言いたいのは、拘束魔法陣を応用して、暗殺トラップにでもするというものだろう。

昔の魔法戦争でよく使われたらしい、今でも撤去が済んでいない地域があるとかないとか…

怖いねぇ…もし踏んだら即死とかそこら辺の魔族とか悪魔よりもたち悪いわ…


「皆さん、こちらへ集合してください。昨日ある程度書いておいた魔法陣があります、これはもう少しで完成です、皆さんも教科書と、この魔法陣をよく見て作成してください、それでは始めてください」


教科書とか、魔法陣よく見ろって言われても初めての人はわからないものだよ。

私も、最初は魔法陣はちんぷんかんぷんだったからね

今は、勉強して慣れたけどさ。このくらいの魔法陣だったら10分で作れちゃうけど、それだと先生の面目丸つぶれだ、苦戦している演技をせねば…

これでこそ、大人の対応!


「先生、できました!」


うん…私の気遣いは、水の泡と…

アリサならやりかねないと思ったけどさ…魔法陣が得意分野だから…

これなら、もう私も遠慮なく作らさせていただきますけど…


「これはこれは…素晴らしい、それに私が書いたものよりも完璧です、よくわかりましたね私の魔法陣が不完全だということに」


いや、先生たぶん、この子先生の魔法陣なんか、一切見てないと思いますよ…

始めって、言われた時からずっと書いてたからね…


「そうなんですか?全然気が付かなかった、私先生の魔法陣一回も見なかったから」


ほらね、まぁそこまではっきりと言わなくてもさいいと思うよ、うん…

先生、可哀そうだよ…

私も、もうそろそろできそうだけど…


「なんと…素晴らしい!アリサさんはやはり、もっと上級分野の魔法陣でも対応できると思います!放課後私の研究室で、魔法陣研究をしませんか?」


プライドがあんまり高い先生じゃなくてよかったよ…

優しい人だということはわかった…

それと放課後は、杖を買いに行くんだよ、忘れてないよね?アリサ?


「今日は、杖を見に行きたいので明日でもいいですか?」


よかった、忘れてない…たまに約束すっぽかすからな、アリサ…

よし、私の方も完成っと


「先生、私もできました。先生の、魔法陣を参考に修正点も教科書で確認して作成しました」


本当は、何にも見てないけど…

こういってあげないと、先生も気分を落としちゃうだろうからね…


「リリアさんも完成しましたか、いや美しいですね合格です!合格した方は、この授業は終わりです、教室に帰るなり、食堂に行くなり自由です、あまり騒がないように」


「リリアちゃん、ご飯食べに行こ!」

「いや、まだ9時だけど?朝ごはん食べてないの?」


いや、朝ごはんは食べてこないわけがない、普通に食いしん坊なのだこいつは

なのに太らないとかずるすぎる…私最近1キロ体重増えててびっくりしちゃったもん…


「朝ごはん食べたけど、お腹すいちゃって…」

「はぁ、わかったよ、行こう食堂…」

本当は、森の図書館で紅茶を飲みながら、本を読みたかったんだけどなぁ…


「あっ、そうだ、森の図書館で限定デザートが出たらしいから、そっちにしようかな?」


えっ、私の心読んでるの?うん絶対そっちがいい!


「ちょうど、読みたい本もあったし森の図書館に行こ、ちょうど今なら、人もいないだろうし」


森の図書館は、最近できた建物で、人気のあまりほとんど行くことができない。

だから、こういったほかの学生が授業を受けている時間に行けるのは、とてもラッキーだ

だいたい、高学年の人たちで埋まっちゃうからね予約が…


「森の図書館なにげに行ったことないんだよね、なんかテレポート禁止って聞いたけど…」


それは、そうだ。いやもちろんそんなことはないけど、図書館に行くまでの道がとてもきれいで、それを見ないで行くのはもったいない、今は季節的に、花がきれいに咲いていてカラフルな森になっているだろう。いまだと、水仙と菜の花、そして桜がきれいだろう。


「歩いていけばわかるよ、テレポート禁止な理由が」


いったん、校舎に渡り廊下から入って、裏庭に抜ける必要がある。

ここからだと、真反対にあるから結構かかるけど、そこまではテレポートしちゃうか


「裏庭までは、テレポートしよ、そこから歩き」


ほっと、着地も最近は完全に安定したな。


「裏庭ってこんなにきれいなんだ…お花がいっぱい…」


確かに、裏庭にはあまり私も来たことはない。ここも、管理が行き届いていて綺麗な花壇だ。

でも、私はこういう管理された自然よりも、ありのままの姿の自然の方が好きだ。

つまりは、花壇に咲く花よりも、道端に、ポツリと咲いている花などの方が魅力的に感じる。

森の図書館への道中は、人が干渉しすぎていない、感じの管理の仕方なので美しい。


「さ、ここからは歩きだよ、時間あるし、ゆっくりいこ」


この森の図書館は、もともと魔法学校の南側にあったグリムウッド書庫を移設したものらしい。

理由は、建物の老朽化と、南に寮を作る計画だったかららしい。

まぁ、今現在そこは寮ではなく実験棟になってるけどね

 そんで、その書庫を移動するときに、候補に挙がったのが、この学校にあるルミエール大湖畔の近く、現在の裏庭、そして現在森の図書館があるのが、シルヴァリスの大森林。

最初は、ルミエール大湖畔の近くがいいってなってたんだけど、本を水の近くに置くのは良くない、ということで、現在のシルヴァリス大森林になったらしい。


「そういえば、みんな、森の図書館って言ってるけど正式名称は、シルヴァリス知林館なんだよね?」

「うん、大体の人が、わかってて長いから森の図書館って言ってると思うけど、多分シルヴァリス知林館が正式名称だって知らない人もいると思うよ」


 実際、私もこの森の図書館がシルヴァリス知林館だということを知ったのは最近だし

大体の人が森の図書館で伝わるからね


「うわー…見て見てリリア!水仙だよ!綺麗だねぇ…」


これは、綺麗だ…程よく人間が手入れしているこのくらいがとても好きだ、花壇ではない自然な土に、綺麗に咲く、水仙綺麗に咲くように図書館員の人が手入れしているのだろう…


「この花は…あっ!私の好きな花だ!」


ラインベルト・アーリーセンセーション

こうやって種類ごとに看板までたっている。ありがたい

様々な種類の水仙が咲いている。まるで花たちに森の奥へと導かれるような感覚だ。


 花を見て歩いていると、足元に木漏れ日が映る。

小鳥のさえずりも、こっちを見てと言っているようだ。

その方向へと顔を上げ、目をやるとそれまで感じていなかった、圧倒的な存在感を誇る、桜の大樹が鎮座している。ここまで大きな桜は見たことがない。


「この桜、私たちがいつも見ているのと違って枝が、下の方に垂れているね、なんか幻想的…」


これは…枝垂れ桜その中でも平安紅枝垂という品種らしい

平安というからには、東洋の国の桜なのだろうが…その国との国交は管理最近の出来事だ。

そのため、ここまで立派な気にはならないはずだ。

ここまで大きくなるためには400年ほどの歳月をかけないと大きくはならないだろう。


「これ、多分私の家が昔東洋の国から持ち帰ったとされる、桜だと思う…ブルーリング家は昔から結構かかわりがったから」


素晴らしい大樹だ。

ここだけで、自然そのものの体現をみているようだ

しかし、ここはまだ目的地ではない、ここであまり時間を食ってしまうと、間に合わなくなってしまう


「アリサ、少し急ごう、もうあんまり時間ないかも」


森の図書館までは、もう少しでつく。

しかし、道中がきれいすぎて、なんと歩いて10分かからない距離なのに、30分近く歩いている。

このままだと、次の授業に間に合わないし、ここまで無駄足になってしまう。

まぁこの景色を見られただけでも、それはそれでいいのだが、本来の目的を果たさずに帰るのは、なんとなくいやだと思う。


「ごめん、まってリリア歩くの速いよぉ…」

「もうちょっとだから、ほら見えてきたよ!」


それまで、本当に森の小道を歩いていたのに、突如としてそこに大図書館が現れる。

ここは、結界魔法がかけられており。学校の関係者でないと、この図書館に入るどころか、見ることさえできない。

関係者でない人からは、濃い霧がかかった森に見えるらしく、そもそも森に近づかないだろう。


「やっとついたね、予約入ってないといいけど…」


見た感じ、ほとんどだれもいないので、予約は入っていないだろう


「あら、こんにちは、ごめんなさいいまこの図書館は私が貸切っているのよ、でもはるばる歩いてこられたものね、二人だけ特別に入れてあげるわ」


よかった…あの方は確か…魔法生物学専門講師の、メリンダ先生だったかな?魔法生物学はまだ習わないから、かかわりがあまりある先生ではないけど、学生からとても人気らしい。

おそらく、このやさしさからだろう。

あとは、男の子は大きいの好きだもんね…知らんけど

私とは全く縁のないお話だよ、断崖絶壁だからね…まぁ戦闘するのには被弾面積少ない方が有利ですし?

全く悔しくなんかないんですからね?


「ありがとうございます、図々しくて申し訳ないのですが、スペシャルデザートってあったりしますか…私おなかぺこぺこで…」


そうだったよ…アリサのデザートを食べに来たんだったね…食欲のためならなんだってするなこいつ…


「貴方は…アリサ・ブルーリングさんね、あなた方お二人は非常に優秀のようだから特別に用意させるわ、リリアさんも召し上がるわよね?」

「はい、私もその伝説級の味を感じてみたく。本当にありがとうございます」


こういう時に、名家なのと成績優秀なのは、嬉しいね。まぁ成績優秀なのは、もうとっくの昔にやっていたことを履修しているようなものだからだけど

それにしても、この先生隙が無いなぁ…どこに攻撃しても防がれる

たしか、ここの先生になる前は危険魔法獣駆除隊に属していたらしい。

その見た目とは裏腹に、かなり戦闘能力も高く、怒らせると怖いとかなんとか…

私よりも、胸の被弾面積3倍近くあるのに、それでも強いのか…恐るべし…


「ここの席、いいわよ」


あぁ…いいにおいする…こりゃ男子学生全員メロメロだろ…

私も、いまその多大なる母性に抱き着きそうになったよ…


「あの、ぎゅーってしてもらっていいですか?」


あぁ、アリサは我慢できなかったか…私もしてもらいたいところだが、ここは大人の対応を…


「いいわよ、おいで、はい、ぎゅー」


ぐはっ!なんという、包容力!今一瞬だけ、メリンダ先生が聖母に見えてしまった…


「リリアちゃんもおいで、はい、ぎゅー」


あぁ…ここは天国なのだろうか、程よいラベンダーの香り…やわらかく包み込まれる胸…優しい声…


「…すーすー…」


えっ?アリサ?寝てる?


「あらあら、アリサちゃん疲れちゃってたのかな?起こさないように静かにねリリアちゃん」


恐るべし、おっp…じゃなくて胸…たった5秒で寝落ちさせるとは…

私は、あんまり寝ないから寝落ちはしないけど、いくらアリサとは言え、速すぎる寝落ち…


「あの、私はもう大丈夫ですので…」

「あらあら、恥ずかしくなっちゃったのかしら?」


いやまぁ、多少は…それよりも、悔しくなってきちゃって…ここまで天と地ほどの差があるかね…

私は、悲しいよ下を見るとしっかりとつま先が見えるし、胸をたたいたら、ドンドンなるし…

せめてアリサくらいは、欲しかったな…これも家系なのだろうか…


「お待たせいたしました、こちらスペシャルデザートセットになります」


おぉ!これこれ!わたしよりもアリサの方が…

いうまでもなく、もう食べ始めてるし…


「いただきます…ふふふ、とてもおいしい…」


まったくもう、こんなおいしいものにがっついて、品もないしもったいない…

それにしても、ここまで言葉に表せないほどの物を食べたのは、初めてだ…


「おいしいわよね、私も彼以上の腕のデザート職人を見たことがないわ」

「いえいえ、世界は広いですよ、私より腕のいいデザート職人などざらにおりますよ」


確かにそうかもしれないけど、確実に世界の指五本分に入る、味ではある…


「あっ、アリサ!またこぼしてるじゃない!口の周りもこんなに汚くして!はいこっちむいて!」

「ごめん…ありがとう、いやでも本当においしいね!思わず我を忘れて、食べちゃったよ!」


はぁ…我を忘れるのはまだいいけど、こぼしたり口の周りを汚すのはやめていただきたい…

毎回私が拭いてるんだから…


「ふふふ、親子みたいね、いや姉妹かしら」


本当に、なんで私がここまでしてあげないといけないのか…いややらなければいいんだけどさ、なんとなく、アリサの行動には母性をくすぐられるというかなんていうか、とっさにやってしまうんだよな…


「ふふふ、急に話変わるけど、いいかしら」

「はい、大丈夫です」

「さっき、私を見た時どこに攻撃しようかって、考えてたでしょ?長年の感でわかるのよ」


本当に急だな…それにしても…

どうしてそれを…心を読む魔法でも使われたか?私の心の声とか、やばそうだないろいろ…


「心を読む魔法を使ったわけじゃないわ、単純に感よ」


また、やっぱり心の声を読んでるんじゃ…いや、そこまでの精神操作魔法は陰魔法属性じゃないとできないか、メリンダ先生は炎だし


「はい、一瞬だけ考えました、でもすぐに無理だとわかりましたけどね…隙がなさすぎます…」

「そう、どうして無理だと思ったの?」

「隙が無かったので、どこに打ち込んでもすべて防御されると思ったからです」


実際に、私くらいの魔法使いの攻撃など、たやすく防げるだろう。

今まで、幾度となく戦ってきたのだろうから


「なるほどね、あながち間違っていないわ、まぁ食べ終わったら外に出て、実際にやってみましょう、次の授業は確か、魔法哲学よね?もちろん二人とも、もうそこら辺の勉強は終わってるんでしょう?私が、出席点を代わりに着けてあげるから、私に付き合ってちょうだい」


ほほう…それはありがたい、魔法哲学は、色々と面倒だからね…眠くなるし…


「リリア、食べるの遅いよ!私も食べ終わっちゃったよ!」

「いや、アリサが食べるの速すぎるんだよ、もっと味わって食べなよ!」


本当に、親子みたいだ、私とアリサが姉妹で、メリンダ先生が母みたいな、ずっとニコニコして私たちを見ている。


「そんなに、せかさないでよ、ゆっくり食べたいの!わかるでしょ、この雰囲気を味わってるの!」


いやぁ、天井が高く、窓はすべてステンドグラスになっている。

一回には、本棚にびっしりと、本が詰まっていて、人によっては宝箱だろう、もちろん私にとっても宝箱だ。二回には、特別書籍管理所があって、そこには非常に昔の本があって、私は一回も行ったことがないが、必要な書類があるかもしれないので、いずれ行くことになるだろう

そして、二階の半分が吹き抜けになっていて、三階の半分も吹き抜けでそこに私たちが今いるけふぇテリアがある。

階層ごとに、左右順番に吹き抜けになっているので、三階から直接一階を見ることはできない。

しかし、三階にカフェテリアを置いたのは、とても素晴らしい案だ。

ステンドグラスで綺麗だし、この季節だと暖かい

逆に夏は暑いのだろうけど…


「食べ終わったよ、まったく…たまにはゆっくりご飯くらい食べさせてよね…」

「よし、外に出ようか、ここらへんだと危ないから、ルミエール大湖畔周辺に行こうか」


何をする気だろう…ルミエール大湖畔周辺…本当に何もない場所だけど…


「テレポート使えるわよね?そこまで一気に行きましょ」


はいはい、テレポートの件もばれてますか…

まじで、怖いなメリンダ先生…


「ほっと…着地うまくなったな…」

「あっぶなーい…私は転びそうだったよ…」

「さて、二人とも大丈夫そうね、いやテレポートなんて久しぶりに使ったから、転んじゃったわ…」


にしても、ルミエール大湖畔は、いつきても、波一つない水面鏡だな…

魔法の力で、できた湖らしい、水がほとんど動かないのは、水に膨大な魔力が溶け込み、重くなっているかららしい、そのため遊泳はもちろん、船さえ入れない。地獄の湖だ

かつて、湖に入ろうとした者がいたらしい、その者は足を踏み入れた途端、強力な汚染された魔力が体内に流れ込み、その場で四肢が爆散し即死したらしい。

恐ろしい話だ。なので、ここには誰にも近づかない。

だからこそ、戦闘訓練にはもってこいなのだが


「もしや、戦闘訓練を…いやそんなわけないか…」

「いや、あながち間違っていないわ。戦闘というより、あなたが感じた違和感を証明するのよ」


違和感?いや、普通に攻撃を入れられないと思っただけなのだが…


「リリア?私だけおいてけぼりなんだけど…何の話?」

「アリサにはわからないかな?メリンダ先生を見た時に、どこにも攻撃を入れられないなと、おもったのよ、まぁ常日頃からそういうことを考えている私の方がおかしいのだろうけど…」


アリサは、じっくりと先生を見る。

たぶん、アリサには隙とかそういうの、わからないだろう幼少期は、魔法陣を重点的に教えられたらしい

私は、バリバリ、戦闘を教えられたけど…結局使うことなさそうだけどね…


「そうかな?私なら攻撃入れられそうだよ、だって今隙だらけだもん」

「そんなわけ、だってさっきはどこにも隙なんて…あれ…」


おかしい、体は一つも動かしていないはずなのに、隙だらけだ…むしろ隙しかないどこに入れても、当たる。どうして…錯覚?それとも精神操作系?いずれにしても、かなり強力なもの…


「わかったかしら、まだわからないかな?リリアちゃんもアリサちゃんも魔力探知で隙を伺っているわね、それじゃだめよ簡単にごまかしがきくわ。試しに私に攻撃してみるといいわ」


攻撃って…下手したら殺してしまいかねないのに、そんなことできるわけ…


「えいっ!」


ちょいちょーい!アリサさん!?なにしてるんですか?いくらゾリュ―ト(基礎攻撃魔法)とはいえ…やりすぎでは?

でも…


「わかったかしら、攻撃が派手で見えにくかったかもしれないわね、正解は、私の家系魔術エコー・アークにあるわ、この魔法は全身に一定値まで防ぐことができる防御魔法を出すことなの、だから魔力探知で隙を伺っている、貴方たち二人には、隙があっても、ないようにごまかせるのよ」


一定値…いまのゾリュ―ト防げるなら、大体の魔法防げるだろ…

多分、私が食らってたら、防ぎきれないくらい強力だったけど…


「便利な魔法よね、でも当たり前だけど魔力消費は常にしてるから、常備はできないけどね」


それでも、強力な魔法なのは、変わりない…


「まぁ、私の説明は、この辺にしてあなたたちには、あまり訓練されてこなかったであろう、防御魔法の訓練をしていきましょう、まぁお二人は訓練されていると思いますので、かなりはーどもーどでいかせてもらいますわよ」


おいおい…まじかよ…相手見た目が、かわいくてぽよんぽよんでも一応ビリオンランクの魔法使いなんですが?下手したら、私たち今日で死ぬかもね…


イグナリス(炎基礎攻撃魔法)

「うわっ!ミラージュ・シフト(上級応用防御魔法)!」


あっぶない…速すぎだろ!まじで殺す気で来てる…

アリサは…大丈夫そうだ、炎と水だったら相性もいいし


リヴァ―ティア(水上級応用攻撃魔法)


反撃までしてるし、私はあんまり戦闘好きじゃないからなぁ…

あっちに任せておこ…


「おいおい、まさかリリアちゃんビビっちゃってんじゃねぇよなぁ!てめぇ、そんな雑魚なのかよ!」


ふぁっ?えっ…アリサ?あー戦闘になるとキャラ変わる的な奴?めんどくさいな…

でも、そこまで言われちゃぁ、仕方ない久しぶりに戦いますか…


「誰が、雑魚だとごらぁ!てめぇより強いに決まってんだろ!」


私も、人のこと言えんかも…


「ふふふ、面白くなってきたわね!インフェリオン(炎上級攻撃魔法)

ミラージュシフト!(上級応用防御魔法)ブラッドランス(家系上級攻撃魔法)


結構本気出してきたな、インフェリオン…上級攻撃魔法の中でも最強の魔法、それに魔力増しまし…死にか年

それと、私の攻撃さすがに、防がれるか…かなり強力な魔法なんだけどな…

そもそも、私の家系魔法全般が強力なんだけど、ミラージュシフトすら使わせられない…

まぁ、私とアリサが協力して、戦えばだいたいのやつを即死させられるんだけど、キャラがかわっちまって、強力なんて絶対無理だから…


ヴェリード(水上級応用刃魔法)!」


アリサも、めちゃくちゃ本気出してるな…

これは、私も本気で行くべき?即死コンボ決めちゃっていい流れか?

いったん、アリサにじゃまされないように、結界魔法で私とメリンダ先生だけ、中に入れて

そっから即死コンボかな


アトラウム(??最上位応用魔法)


よし、成功!めちゃくちゃ難しい魔法だから、失敗するかもって毎回超ビビるわ…

この中なら、相手の魔法は発動せず、私の攻撃は必中となるとかいう最強の魔法だよ本当に…


「これは…まさか…これをどうやって身に着けたというの?古代魔法よ…」


もちろん、それなりの努力はしたよ、こいつを身につけるには

本来古代魔法は、古代人しか使えない。でも私の家系は、魔力だけではなく自分の血液を魔力として使用できる。それを応用してやれば、古代人の体を犠牲に魔法を出すというやり方くらい簡単にできるわけ。まぁ貧血になって死にかけるけど…


レッド・ヴェイル(家系魔法最上位)ヴェルムシア(血液操作魔法)

「かはっ…私の負けよ…」


ふぅ…なんとか勝てた…

私、勝ったんだ…



「…リリアちゃん!死んじゃいや!起きてよ!お願い!」


あれ…ここは…なんてテンプレ一度でいいから言ってみたいよね

周りが暗い、結構な時間寝てたのか…


「大丈夫、死なないよ…それよりもメリンダ先生は無事?」

「えぇ、無事よ、いろいろと突っ込みたいところはあるけど、まず言いたいことは、ここまで短時間で任されたのは初めてよ、だからあなたたち二人をジリオンランク魔法使いに、任命したわ。任命式は明日ね、それじゃ私は仕事に戻るわね」


かなり体に無茶させたな…魔力もカラカラだ…血は誰かが輸血してくれたのだろう…


「アリサ、私に輸血してくれたのだれ?」

「メリンダ先生だよ、私もしてあげたかったけど、血液型が違うから無理だった。それよりもジリオンランクの魔法使いだってよ!もっと喜びなよ!」


喜びたいけど、魔力なくて体動かないんだよ…

助けて…


「魔力ちょっとだけ分けてくれない?」

「無理だよ、だって私の水だもん!そういえば、リリアちゃんの、魔法属性私知らないかも…リリアちゃんって戦闘の時大体、家系魔法しか使わないから、知らなかったけど何?」

「…っ…それは…ごめん、私もわかんないんだよね?小っちゃいころから、家系魔法しか使ってこなかったから」


嘘をついた。多分アリサには初めての嘘だろう。

もちろん知らないわけない、体の中を魔力が巡っているのだから

でも、教えられない。教えてしまえば、みんなも危険になるから


一章 シルヴァリス知林館 fin 

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