ON GAKU
0.プロローグ
機械を使わなくても頭で考えた事を自由にコントロールして伝えられる人類のいる世界。人工知能は数学的、法律的に音楽を作曲して、人類の領域を次第に占領していった。
1.テレパシーと人工知能
「わぁ、きれいな夕日。歌詞でも考えようかな」
作詞家の梶美紅は夕日を見て、思わず口走る。
「お、いいね。テレパシーで教えて?」
美紅の親友、皐月由は少し、わくわくしながら、そう言う。
「いいよぉ」
美紅は歌詞を考える。由は、テレパシーで伝わって来たので、聞いていた。
《くだらねぇな》
歌詞終了後、由はきっぱり、テレパシーで伝える。
《なにぃ!》
二人はテレパシーで喧嘩を開始した。一応、テレパシーでの喧嘩の為、周りの人々には聞こえない。よって、全員スルー。
美紅は、上司のMUJIへ歌詞を見せる。彼は人工知能。大手会社で作曲の仕事をしている。
「どうして、この歌詞の主人公は、相手に好きと思っているの?」
MUJIは美紅へ歌詞の監督をした。
「えっと、なんとなく……」
「なんとなく書いてどうするの? 好きになる理由を書いて。所じゃなくて」
――ひぃぃぃ。
美紅は再び、MUJIに歌詞を見せる。一方、MUJIは自分の作曲した曲の歌詞になるものなので、渋々見ることにした。
「……」
「どう?」
「嫌」
MUJIはきっぱりと拒否した。
「何で!?」
美紅は理由を尋ねた。
「なんとなく」きっぱり
「何で理由がないの!?」
「お前のマネ」きっぱり。
――そ、そんなぁ!
美紅はショックを受けていた。作詞家の道は前途多難である。