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星の港(シンガポール)の貿易王

0.PROLOGUE


リー・ダニエル・ロー。世界トップクラスのシンガポール航空を所有し、世界最大の貿易港に君臨する貿易王の息子。今は8月。世界のVIPはバカンスを楽しむため、シンガポールに集結していた。



1.BLUE SEA


「おっはよー!」

咲良さくらは笑顔で彼、リーに話しかける。彼女、咲良は日本国総理大臣の一人娘である。

「おはよう」

「ねぇねぇ。今日は海へ行こう?」

 咲良はリーを誘う。

「どこの海かな?」

 リーは微笑む。

「シロソビーチ!」


「やっぱり、きれい!」

咲良は笑顔で両手を広げる。

「青い空、青い海。そして、……」

「そして?」

 リーは首を傾げる。

「青い瞳!」

「え!? どこ!? っていうか、対象物が小さい!」


「どこ見てんだよ。海外からの観光客ぐらいいるよ」

リーは少し困惑する。

「ほらほら!」

 咲良は指を指す。

「どこだよ」

「エマ!」

咲良は手を振る。

「え!? 知り合い!?」


「エマ!? 何でいるの!?」

リーは驚く。彼女はエマ・ミラー、アメリカ合衆国歴代最年少ファーストレディだ。

「だって、もうすぐ、選挙でしょ!?」

 リーは少し、慌てふためく。

「大丈夫! 私、一人で来たから!」

エマは笑顔でピースをする。

「それが、大丈夫じゃないぃぃぃ!」

リーは頭を抱えた。


「青い空、青い海。そして、……」

「また、言ってる」

リーは半分呆れながら、横目で咲良を見ていた。

「青い、……ドリンク」

彼女は落ち込んだ。

「え!? そんなに飲みたかったの!?」


「今、執事に買いに行かせるから、待ってろ」

「はーい」

咲良は一気に笑顔になる。

「調子いいなぁ!」

 リーは叫ぶ。が。

「……」

彼らの執事たちは遠い目でそれを見ていた。


「私もついて行っていい?」

 咲良は執事に聞く。

「もちろん、いいですよ」

執事は笑顔で承諾する。

「行ってくるね?」

 咲良はリーに手を振る。

――何のための執事だよ。

リーは少し、困惑した。


「ただいま」

咲良は笑顔でピースをする。

「って! それ、かき氷じゃん!」

 リーは予想外のものに驚く。

「ちゃんと、青いぞ?」

「そこ!? 関係あるの!?」


「あら、ブルーハワイ? よく、シンガポールにあったわね?」

 エマが珍しそうにそのかき氷を見ていた。

「えっへーん。私の執事に日本から持って来させたの」

咲良は笑顔だ。

「そうだったのね」

――なぜか、向こうにいる執事に観光客の行列が……。

 リーは咲良とエマの後方の景色に困惑した。


「お前の執事に行列が出来てるぞ」

 リーは指さす。

「え!? 本当だ!? なんで!?」

 咲良は振り返り、驚く。

「珍しいからじゃないかしら?」

 エマは首を傾げる。

「よし! 高値で売ろう!」

――金の亡者!

 リーは咲良の思惑に驚いた。


「よし! 大量の札束!」

咲良は笑顔でジャンプする。

「あらあら、楽しそうね?」

 すると、後方から声がした。

「あ! 里桜、里兎!?」

「私たちもバカンスよ」

そこには、里桜りお里兎りとがいた。彼らは、自衛隊統合幕僚長の双子の娘と息子である。

「え!? 大丈夫なの!? 高校受験」

「大丈夫よ」

――Oh 夏休みは返上しないのか。

 リーは遠い目で彼らを見た。


「そうだ。あいつらも誘って、俺のホテルでパーティしよう!」

 リーは突然、思いついたようにそう皆を誘う。

「本当!?」

 咲良は目を輝かせる。

「あら、いいわね」

 エマは笑顔で承諾する。

「仕方ない、参加しよう」

「うん」

 里桜と里兎も承諾した。



2.VIP PARTY


「久しぶり! オーウェン、伊織!」

咲良は笑顔で二人を出迎える。

「お久しぶりです、咲良さん」

アメリカ軍総帥の息子、オーウェン・スミスは笑顔で、咲良とハグをする。

「去年のバカンス以来だな?」

 警視庁警視総監の息子の伊織いおりとも挨拶を交わす。

「そうだね、今年もよろしく!」

咲良は二人とハイタッチをした。

――イェイ!


「最近、父親が大学を卒業したら、アメリカ軍に入れってうるさいんだ」

 オーウェンは少し、困った様子で溜め息をつく。

「そうなの?」

 咲良はきょとんとする。

「あー、俺も言われた。警察に入れって!」

 伊織は笑顔でそう言う。

「今は?」

 咲良は彼が今、何をしているのかを聞いた。

「平社員」


「咲良は、親の地盤を受け継ぐのか?」

 オーウェンはずばっと聞く。

「そうだなぁ。その道しかないかも」

 咲良はきょとんとする。

「娘婿に継がせるんじゃないのか?」

「それ微妙」

 伊織の発言に皆が、遠い目をする。

「え!? セクハラ!?」


「里桜たちは?」

 オーウェンは聞く。

「別に、自衛隊には入らない」

 里桜は棒読みで言う。自衛隊の話は禁句らしい。

「そっかぁ」

 咲良は納得する。

「三つ子だったら、おもしろいのに」

「というと?」

 咲良は伊織の言葉にきょとんとする。

「陸海空」

「……」

 咲良は伊織の言葉に、無言になる。

「何でー!?」



3.EPILOGUE


「リーは? 継ぐの?」

 咲良はリーに聞く。

「まぁな。一応、貿易王だし」

「そうだね」

 咲良は苦笑する。

「こうやって、次第にみんなで会えなくなっていくのかな」

 里桜は少し、残念そうに言った。

「まぁ、そうなるよな」

 オーウェンは里兎の肩に手を当てる。

「いつかは会えなくなるけど、今は、この時間に乾杯!」

――イエーイ!

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