表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

HALLOWEEN S

0.プロローグ


――今日、ハロウィンか。

悠真ゆうまは、ショッピングモールのウィンドウを見て歩いていた。テクテクテクと歩いて帰る。

――今日の満月きれい。

 彼は、空を見上げていた。すると。

「ぁぁぁぁぁあああわわわわ!」

「え!? え!? え!?」

ドスン。何かが落ちて来た。悠真の上に誰かがしりもちをつく。

「いてててて。大丈夫ですか?」

「重いです」

「あ、ごめんごめん」

その誰かが苦笑しながら、体を退ける。

「あなたは一体」

「初めまして。かぼちゃの精霊の心結みゆです。よろしく!」

 その誰か、心結は笑顔で自己紹介をした。



1.かぼちゃの精霊


「か、かぼちゃ? 精霊って!?」

「今日はハロウィンでしょ? だから、魔界から来たの!」

心結は笑顔で答える。

「別にわざわざ来なくても」

「パンプキン・パニック!」

かぼちゃが大量に上から落ちて来た。

「いて!」


「いってぇぇぇ!」

悠真は頭を抱える。

「何すんだよ」

「だって、そんなハロウィンがどうでもいいようなことを言うからっ!」

心結はぷー、と怒った。しかし、彼は淡々と答える。

「だって、俺、無神論者だし」

「何ぃぃぃ!?」ムンクの叫び。


「そ、そんな。まさか、科学に負ける日が来るなんて……」

 落ち込む心結。

「そこまで、落ち込まなくても」

「だって」

「はい。これ」

「何?」

「かぼちゃの帽子、あげる」

「……何で?」

「……え? 何か?」きょとん。


「っていうか、普通、お菓子だよね!? しかも、まだ、決め台詞言ってないし!」

 心結は少し焦りながら言う。

「あぁ、トリック・オア・トリート?」

「うん。それそれ」

「……もう、良くない?」きょとん。

「良くないぃぃぃ!」


「しかも、なぜ、かぼちゃの帽子?」

 心結は試しにかぶってみる。

「それをかぶって、渋谷へ行けばいいんじゃないかな?」

「どういうこと?」

「ハロウィンって、仮装パーティだよね?」

「ちっがーう!」


「じゃあ、何?」

 悠真は遠い目で見る。

「10月31日にやって来る精霊や魔女から身を守るために仮面を被り、魔除けの焚き火をたいていたのが始まり」

「仮面を被るの?」

「うん」

「やっぱり、仮装かぁ」真顔。

「仮装からはなれて!」困惑。



2.お化けと黒猫


「心結?」

「何やってるの?」

 新たな二人が姿を現した。

「あ! うた、レイラ!」

「彼女たちは?」

 悠真が問う。

「私の仲間の詩とレイラ。詩はお化け。レイラは黒猫の化身よ」

「そのままだね」真顔。

「パンプキン・パニック!」

ドドドドド!



3.オオカミとコウモリ


「おーい! こっちこっち!」

「何をしているんだ?」

 誰か二人、声がした。

「あ! もしかして、この声は!」

心結は振り返る。悠真は問う。

「彼らは?」

「オオカミの化身の大和やまとと、コウモリの化身のイーサンよ」

「よろしくな」

二人は笑顔で握手を求める、が。

「オオカミ男と吸血鬼?」

「パンプキン・パニック!」

ドドドドド!


「じゃあ、何だよ」

 悠真が問う。

「化身よ、化身」

 心結は頬を膨らます。が、悠真に再び、問われる。

「どう違うの?」

「う」

心結は困惑。すると、大和とイーサンが追い打ちをかける。

「何、困ってるんだよ」

「ちゃんと説明してくれ」

「パンプキン・パニック!」

 しかし。

「使いすぎだぁ!」

悠真が心結へ飛び蹴り。

「う!」

心結はその技をくらっていた。



4.カボプキン


カッボ、カッボ、カッボ、カッボ。

「何だ? この足音」

 悠真は驚く。

「あ! カボプキン! こっち!」

心結は手を振る。

「な、何だ!? ジャック・オー・ランタンが歩いてる!?」

「彼はカボプキン。かぼちゃから変化したかぼちゃの妖精よ」

「ま、まさか。食べれる!?」

「パンプキン・パニック!」

ドドドドド!

「やっぱり、使うのか……」

「それに加えて、彼も技をくらうのか」

 皆は一部始終を見ていた。


「パンプキン・パニック以外に技はあるのかよ」

悠真は真顔で問う。

「もちろん」

「何?」

「グライマー・パンプキン!」

心結が呪文を唱えると、街中のかぼちゃが淡く光り出した。

「おぉ」

 大和が少し、感嘆するが、悠真は違う。

「……それから?」

「パンプキン・パニック!」

「やっぱり、そうなるよね」

皆は遠い目で見ていた。


「あ! 見て! 段々、明るくなって来た」

「もうすぐ、夜明けね」

 皆はしみじみしていた。

「ということは……」

悠真は彼らを見る。

「もう、お別れのようね」

心結は笑顔で呟く。

「そっか」

 悠真は下を向く。

「?」

「良かった」

「何でだよぉ!」激怒。


「嘘だよ。楽しかった」

悠真は苦笑する。

「本当?」

「本当に本当」笑顔。

「それじゃ、また、来年!」

皆は手を振ると、すうっと消えて行った。


「ハロウィンも悪くない」

悠真は、朝日を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ