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すくらんぶる・JET -機動部乗務課地上班非常係 ~24時間、年中無休、スクランブル発射で、なぜか、お隣軍基地さんと大モメ中!!~

0.プロローグ


人類は宇宙連合に加盟し、宇宙時代を迎えていた。

そんな地球の中の日本。空軍基地が全都道府県に配置され、県境を挟んで近いところに

ある基地も存在していた。



1.スクランブル発射


《国籍不明の航空機を観測。スクランブル発射せよ》

 アナウンスが流れた。

「よぉし! 行こう」

「おう!」

 水瀬水基みずせ みずき村崎紫音むらさき しおんは立ち上がる。

《補足をすると、未確認飛行物体です》てへ。

「!?」


「また、宇宙軍かよぉ!」

 水基は頭を抱える。

「宇宙軍の取り逃がした飛行物体かもな。彼らにかっさらわれる前に行こう」

 村崎は淡々と答える。

「それもそうか」

「もしくは小松」

 村崎は事実を淡々と言う。

「隣の軍基地ぃ!」

 水基は再び、頭を抱えた。


《スクランブル発射まで、3.2.1.0…》

ドゴォォォと轟音が響いた。戦闘機は甲を描く。

「おぉ、今日も美しい、赤道」

「ひこうき雲ね」

「地球儀の中から見たら、赤道に見えるらしいです」

「あぁ、ひこうき雲がね」


「あれが未確認飛行物体?」

 水基が聞く。

「そうみたいだな」

「応答もなし」

「撃墜するのか?」

《だから! 未確認飛行物体だって言ってるでしょう!》

――怒られたぁ!


「宇宙からの未確認飛行物体を撃墜するわけにはいかないか」

 水基は考え込む。

「宇宙からの報復が怖いな」

「確かに」

 村崎も考え込む。すると。

《お前らは撃墜しないのか?》

無線から声が聞こえて来た。

「領!?」


「何で隣の軍基地が出てくるのよ! こっちの領分よ」

 水基は隣の軍基地のライバル、領・リードにかみつく。

「しかし、今はこちらに近い。こっちの領分だな」

「何!?」

 水基は怒る。しかし。

「撃墜するぞ」

《やめて》

「!?」

 領は、アナウンスに止められた。


「何でそんなに弱腰なんだ?」

 領は疑問に思う。

《宇宙からの民間飛行物体だったら? 危険よ》

「確かに」

《宇宙軍も来た、撤退!》

「え!?」

 アナウンスは無情にも告げる。


「何で撤退だよぉ」

 水基は残念そうに言う。

「いいじゃん。宇宙軍が来たんだし。元々は宇宙軍の領分だし」

「はーい」

 水基は村崎の答えに、いやいや返事をする。すると。

「なんだ、ふてくされているのか?」

「いつの間に、こっちの基地に!?」

 領がいた。


「普通、一瞬で着くだろう」

「あ」

「全都道府県に配置されている空軍基地同士には、それらを行き来できるワープ装置があるだろう?」

「そうだった!」

 領の答えに、水基は頭を抱えた。



2.バードストライク


《国籍不明の航空機を発見。スクランブル発射せよ》

 アナウンスが流れる。

「行こう!」

「おう!」

 水基と村崎の二人は立ち上がると、走り去った。

――俺も行くか。

 領は二人の後ろ姿を見ていた。


《スクランブル発射まで、3.2.1.0…》

二人は轟音と共に飛び立つ。しかし、村崎の右エンジンが炎上した。

「何!?」

《水基、村崎、撤収しろ。対応は隣の基地に任せて》

「了解」


「スクランブル発射直後にバードストライクとは災難だったな」

「悪かったな」

領の嫌味に村崎は彼を睨む。

「おかしいなぁ」

「どうした?」

 整備班の青柳セーブ(あおやぎ せーぶ)が考え込む。彼は人工知能搭載の整備機械だ。

「鳥じゃない!」

「!?」


「鳥じゃないという事は、バードストライクじゃない?」

「うーん」

 水基の問いに歯切れの悪い青柳。

「というか、鳥の遺体がないんだ」

「!?」


「それじゃ、原因は?」

 領も話に入って来る。

「何か、金属のものが突入したとか、かな?」

 青柳は推測を話す。

「そうなの?」

 水基は首を傾げる。

「整備道具や整備部品などが無くなっているかどうか、確かめるよ」


「どう?」

 水基が問う。

「何もなくなってない」

 青柳は淡々と答える。

「ということは?」

 水基は首を傾げる。

「ドローンだ」

誰かが後ろから、ゴォォォと圧のあるオーラを放っていた。

「!?」


「今回、我々も独自に調べていたんだ」

 後ろの出入り口にいたのは領の上司、隣の軍基地の墨田玄すみた げんだった。

「結果」

「結果?」

墨田の圧に水基はきょとんと答えを待つ。

「監視カメラにドローンが!」

再び、ゴォォォと圧のあるオーラが舞う。

――なんと!



3.未確認飛行物体


《緊急出動! 未確認飛行物体を確認!》

 アナウンスが流れる。

「まさか! また、宇宙軍!?」

「地球の圏内に侵入されたか」

 水基と村崎は立ち上がる。しかし。

《急いで》

アナウンスにゴォォォと圧をかけられた。

「はい」

二人は一瞬、固まり走り出す。

――お前もか。

 領は困惑した。


――あ!

「未確認飛行物体確認」

 水基は通信機器で知らせる。

《接近、追跡せよ》

「はい」

《やっぱり、撤退》

「!?」


「何で!?」

 水基は理由を問う。

《宇宙軍が来た》

「ですよね」

《隣の空軍も来たよ》

「え!?」


「何だ? お前ら、撃墜しないのか?」

「許可なくできるかぁ!」

 通信機器からの領の挑発に水基は怒る。

「ま、ないよな? 宇宙の国際問題になったら、航空幕僚長のクビじゃすまない」

 領は淡々と話す。

「地球壊滅?」

 村崎は呟く。

「だろうな」

「!?」


「撤退して来たのですか?」

青柳はお茶を飲みながら問う。

「仕方ないでしょ。宇宙軍の領分だったんだもの」

 水基は頬を膨らます。すると。

「そうですか」

「そうですよって! 航空幕僚長!?」

航空幕僚長がいた。


「ななななな、なぜ!?」

「うるせー」

青柳は水基に飛び蹴りをした。

――しーん。

「航空幕僚長、どうして?」


「現場の視察だよ?」

航空幕僚長は笑顔で答えた。

「現場の視察になぜ、この軍基地なのですか!?」

 領は不服そうだった。

「そーだねー。孫のダーツ」

「!?」

――ダーツの〇〇。


「困ります。幕僚長。勝手に来られては」

「人事部の六鞘君じゃないか!」

航空幕僚長は笑顔で手を振る。しかし、人事部の六鞘萌葱ろくしょう もえぎは困った様子で言う。

「軍基地の皆さんが、対応に困っているではありませんか」

「そうなの?」

――うんうん。

皆、頷いた。


「そうだったのか。すまない、みんな。では、今回はこれで」

「やっと、帰った」

 青柳は安堵していた。

「嫌だったの?」

 水基が問う。

「プライベートな高級茶葉を出してしまいましたよ」

青柳は溜め息をつく。

「なんか、ごめん」

 水基はなんか、謝った。



4.エピローグ


「では、私もこれで失礼します」

六鞘はお辞儀をする。

「色々とありがとうございました」

水基もまた、お辞儀をする。

――わざわざ、航空幕僚長を連れ戻しに来てくれるとは。

 領は一番後ろでそれを見ていた。すると、六鞘はかしこまって、皆に言う。

「あなたたちはこの国の砦なのです。最大の防御が攻撃ではなく防御のまま、この国を守っているのです。それは誰もまね出来ません。では」

――おぉ!

 水基は嬉しくなった。

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