初陣
TURN WEI
五週目、その日は来た。訓練を終えた勇を含むメンバーは、軍導師から最初の任務を伝えられた。
「勇君、鬼君、任務だ。青梅の友好的レジスタンスから、本日市内で大規模な不穏分子の摘発が行われるとの情報があり、支援要請が入った。保安局の就業時間である午後九時から施設周辺で警備を行い、何事もなかったら終業時間の午後五時に帰還、摘発が入ったら保安局の職員を追い返してくれ」
それから軍導師は勇を見た。
「勇君、これが初陣になる。必ず生きて帰ってきてくれ」
「はい」
真顔で答え、語尾にエクスクラメーションはつけない。この先、命の保証はない。
「それとこの先、君の事はコードネームで呼ぶことにする。望探の俊勇。どちらにせよ勇だな」
それだけ勇という名前に強い意味がある、その名を持つ使命を感じた。
二人は民間人に紛れるように変装し、車で多摩川を下り、青梅市内へと向かった。
「警備時は並列で歩く。敵が来たら勇が前に出て、私が後ろから支援する。それでいいな?」
「単純な陣形ですね。囲まれたら機能しないんじゃ…」
「やつらは摘発には少数精鋭で臨む。囲まれるほどの人数は動員しない」
鬼の顔からは確信がうかがえた。
到着した二人は、巡回経路の確認を行った。勇にとっては約一か月ぶりの街中だ。
「青梅の友好レジスタンスの拠点は全部で五か所だ。それらを怪しまれないようランダムに回る」
「こんな時に申し訳ありませんが、途中での休憩は...?」
勇はトイレにすら行けない状況を憂慮する。
「正午前後はやつらも昼休みだ。その時間なら昼食をとっても構わないだろう。ただし二人で交互だ。片方は店の周りを巡回し、緊急時には連絡を取り合う」
鬼の様子からして、そこまで危険な任務ではないようだ。
二人は市内の巡回を開始する。拠点は摘発を警戒してか広範囲に点在しているため、歩行距離はかなりのものになる。
「青梅って、自然と都会の中間にあるみたいで不思議ですね」
鬼は困った顔をする。
「地理的にはそうだが、都会育ちの私にはわからないな。勇は多摩育ちだったか。その中間的な感覚に慣れているのかもしれないな」
「着いた。ここが一つ目の拠点だ」
住宅街に見事に溶け込んでいる。正直、自分たちの基地よりもバレにくい気もする。
「この組織には隠蔽術式のスペシャリストがいるんだ。軍の諜報部隊の目の前で隠れ抜いたこともあるくらいだ。機会があったら勇にも紹介したいところだな」
気のせいか、鬼の顔が紅潮しているようにも見えた。
全拠点を踏破したところで、正午になった。鬼が言うスペシャリストのおかげか、どの施設も到底摘発されそうには見えない偽装が施されていた。
「昼飯はマ〇クにでも行くか...」
鬼らしいと言うべき、とても無難な提案だ。
「断然吉〇家にすべきです!」
何を思ったか、勇も主張を始める。
「いいやトロトロチーズと柔らかお肉、ホクホク塩味ポテトとシュワっとのどを潤すコーラ、食品化学の英知そのものであるマ〇クだろ!」
「聞いたことがありますよ、マックのポテトはプラスチックだとね。それよりほんのり甘くて油あふれる牛肉、そしてご飯に染み込むタレ!断然吉〇家です!」
「はあ!?あんな量の牛肉が税込三百円で食べられるほうがおかしい!何か危険な添加物でも入っているぞ絶対」
そんな言い争いが五分ほど続いた。二人は任務中である。
対象の様子はどうだね?
ご命令の通りに誘導しております。
元々交互に食べる予定だったため、不毛な言い争いはすぐに解決した。
午後になり、二人は午前と違うルートで巡回を行う。しかし何かが変わる様子はなかった。
「本当に大規模摘発なんてあるんですかね?」
「情報魔術は失敗することもあるからな。無駄足で済むならそれが一番なんだが」
職務怠慢なのだろうか、とにかく二人は散歩気分で見回っていた。
夕方、保安局の定時まであと一時間を切り、二人も安心しきっていた。
「やつらは定時までに帰ることを美徳としている節がある。一時間で摘発ができるとは思えない」
「美徳?」
「きっとダラダラしたいだけなのだろうが」
そんな愚痴を言い合っていた。
無線一報、軍導師から指示が下る。
「市南部拠点にて探査術式に反応あり。鬼、勇両名は現場に急行せよ」
いつもの軍導師とは違う指揮官の声、事の重大さが伝わってくる。
「ここは北部だぞ!勇、掴まれ!」
言われるがまま掴まると、鬼は飛び立った。手には謎の小瓶がある。
「それは?」
「緊急時用に姉が作ってくれる、飛行術式が入った小瓶だ。危険だから勇には持たせてくれなかったようだがな」
鬼は旅客機並みの速度で飛ぶ。常人なら気絶しているところだが、勇の意識は待ち受ける敵へはっきりと向けられている。
三十秒もかからず市南部に到着したが、戦闘が行われている様子はない。
「摘発や抵抗が行われている様子はないな。どういった根拠で急行を指示したんだ軍導師は」
──熱気にも近い、戦慄の奔流。
勇の本能が、逃げろと訴える。
「勇、隠れてろ。さっきの飛行でバレている可能性が高い」
鬼は勇を物陰へと促し、その気配と対峙する。鬼の声は冷静だが、額には脂汗が浮かんでいる。
「あんた、魔力が垂れ流しじゃないか。俺たちをおびき寄せるためか?」
「作戦内容の口外は固く禁じられている」
無表情な男は、無機質な声で答えた。
「どうやら摘発に来たわけじゃないようだな。定時まで僅か、それだけで戦いに勝てるほどの実力者というわけか」
聞きながらも、勇は本物の危険を察知していた。
(こいつは特殊部隊級の手練れに違いない。二人で戦っても勝ち目は薄いうえに、逃げても追跡されて拠点の場所までバレる)
「見えているぞ少年」
その言葉に自然と手が動き、勇は隠し持っていた真剣を取り出す。
しかし対応が遅かった。男は瞬時に移動後術式を構築し、第四位階火属性攻撃、油性焼夷を放つ。
第四位階への対応法は学んでいない。迫る炎の一分子まで見える。
極度の緊張に、額から汗が滴った。水滴がその目に映った時、脳に何かの術式が出現する。
──何をすべきか分かる。
「消えろおおお!!!」
消火剤のような固い泡が剣先から噴射され、酸素の遮断により炎をかき消した。あまりの魔力消費量に、勇の意識が薄まる。
何かを確認したかのような男の顔が見えた。それを最後に、勇の記憶は途切れた。
気が付くと、そこは山中を走る車の中だった。
「第四位階の術式は教えていないぞ。どうやって構築した?」
目が覚めるやいなや、鬼に質問攻めにされる。
「これまで習ったことが急に応用できるようになって」
それ以外に言いようがない。
「あんな強いやつがいるという情報はなかった。なぜか早めに撤退してくれたのが不幸中の幸いか。帰ったら軍導師に問い詰めてやる」
鬼は不貞腐れた顔で言い、小声になる。
「…お前にケガがなくてよかった」
夕日の反射で顔は見えなかった。
軍導師曰く、摘発の情報は錯乱を目的とした敵の策略である可能性が高いとのことである。特殊部隊級の相手がいたことに関しては、誤報でおびき寄せたレジスタンスを、一掃するためとの見解を示した。
その日の夕食は、姉製のあたたかな肉じゃがだった。どんなに覚悟を決めても、この味への恋しさは変わらない。
僕は生きている。そう思える味だった。
大ヲタ国の発展至上主義により、現在の地球は過去最大級の環境危機に襲われている。それはここ奥多摩においても例外ではなく、今年は梅雨がなかったうえに、十月に入っても秋雨前線が発生する気配はない。すなわち記録的な水不足に襲われているのだ。
「利根川水系のダムの貯水率が総じて五パーセントを切っているなか、指導部は多摩川水系からの取水を決めた。しかしそれは聖都への給水のみが目的であると思われ、小河内ダムの貯水率も十パーセントを下回っている。このままでは当施設もに影響が及ぶだろう」
朝の点呼中、軍導師は仕事モードで語った。
「貯水タンクはどうなのですか?」
姫は施設屋上にあるタンクに言及した。
「あれは災害時用に雨水をためるためのものだ。そもそも雨が降らないのでは貯まらないな」
「そんな、ここはレジスタンスなんですよね?それぐらい対策できるのでは?」
勇はあきれ気味に問い詰める。
「ここは記録上はただの一軒家だ。豊水時に水道水をためようにも、そんな場所の水道代が高額になったら怪しまれる」
偽装策が裏目に出たようだ。
「そこで君たちに緊急の任務がある。近辺の水源地に地属性活性化術式をかけ、森林の保水力を上げてくれ。これだけなら不審がられることもないだろう」
山に水が貯まるには長い時間がかかる。しかし怪しまれないためには、それだけしか出来ないということだ。
「そうなると私の出番ね」
姉は少し自慢げに、やわらかな笑みを浮かべた。
「周囲の山全てに術を掛けるのか?かなりの広範囲になるぞ」
豪は魔力不足を懸念した。
──「お姉ちゃんに任せなさい!」
・・・とても頼れるお姉さんだ。
勇と豪、そして姉の三人は山梨県境に位置する分水嶺、笠取山へと車で向かった。勇は訓練の一環として、日頃から山岳訓練を積んでいる豪はルートアドバイザーとして、姉に同行した。
「本当に魔力は足りるんですか?」
勇も豪と同じ懸念を持った。
「私にそれだけの力はないわ。でも空が、木が、土が、そして動物たちが私にチカラをくれるの」
「バブみには自然を引き付ける力があるんですね…」
それにしても、木々に生気がない。
二時間ほどして、三人は多摩川の水源に着いた。
「ここが元の元だが、以前来たときよりはるかに水量が少ないな」
豪は深刻な表情を浮かべる。
「森に雨として降った水は、木々の根に貯められ、地中を通りやがてここに湧き出る。でも伐採がひどいせいで、森の保水力が下がってきている。だからたとえ降水があっても、ダムの貯水率は上がらない。今の私たちが怪しまれずにできることは、残った木を力づけることぐらいね」
そう言うと姉は、両手を空中に掲げた。彼女からあふれる祈り、そして大自然に映える白く美しい指は、全ての者に聖母を連想させるほどのものだ。
「ごめんね。こんなことしかできなくて」
清々しい空気が周囲に満ち、木々に降り注ぐ。今は秋のはずだが、春の高揚感が感じられる。
「すごいな、姉さんは」
勇は姉の力の虜となり、目を輝かせた。
「これで半径百メートルに効果が出る。でもこの広さじゃ丸一日かかりそうね・・・」
激務のようだ。
今日は十月、つまりこの標高では紅葉が始まる時期だ。しかし水源林の葉はすでに茶色く枯れはてている。
「やはりおかしい。異常気象だけでは説明できない状態だぞ」
豪は先ほどより強く疑問をあらわにする。
「植物の衰弱・・・。環境汚染か何かでしょうか?」
勇は旧日本国の第一次高度経済成長期の出来事を思い起こす。
「こんな山奥に工場があるはずがないのだが」
「とにかく、今は回復させることが先決ね」
再び清々しい空気が満ちた。
日没までその作業を続け、山の大半の木々が生気を取り戻した。
翌日、勇は高速登山の自主訓練を行った。奥多摩山系を縦走するという内容で、最後は昨日の笠取山となっている。
自然の空気はやはりおいしい。鳥はさえずり、清流の音が聞こえる。地元民と挨拶し、野生動物とも遭遇、コース終盤の木々は茶色くなり・・・。
枯れている。
「嘘だろ・・・」
昨日回復させたばかりの水源林が枯死している。
「こちら勇、応答求む」
勇は緊急用の回線を使い、拠点への連絡をとった。
「どうしたんだね勇君」
慌てた様子の声に、軍導師が落ち着いた声で応じる。
「木が枯れているんです」
「昨日治したばかりだが」
「それでもです」
「了解した。しかし既に夕方だ。明日詳しい調査を行うから早く切り上げたほうがいい」
明らかに作為的なものがある。この山に何が潜んでいるのだろうか。
勇の帰着後、緊急の会議が行われた。
「勇君の報告により、前日に回復活性化術式をかけた多摩川の水源林が、わずか一晩で枯れていたことが判明した」
「やはりいつもとは違ったか・・・」
豪は神妙な面持ちだ。
「ヲタの工作の可能性が高いということですか?」
姫は一つの推測を出す。
「そうかもしれない。いずれにせよ、山中のため原因箇所の特定が目視、もしくは遠隔での探査は困難だ」
そして軍導師は目を見開いて続けた。
─「私が出る。鬼君は代わりにここの見張りをしていてくれ」
軍導師は現地に着くと、静かに目を閉じた。
「これより探査術式を発動する」
特に何かが起きた様子はなかった。
「大まかな座標は特定した。案内する」
軍導師は登山道をゆっくりと歩き出した。
半分以上進んだときだった。
「こっちだ」
そう言うと山道を外れ、獣道ですらない崖を歩き出した。
「待ってください。足跡すらありませんよ」
勇はおどおどと質問した。
「大ヲタ国のやり口からして、逃走が困難な場所に有人施設を置くとは思えない。足跡がないのもうなずける」
確かに説得力のある言葉だが、勇は何か違和感を覚えた。
軍導師はある尾根を周回、都度術式を使いながら範囲を絞っていき、最終的に古びた小さな小屋へとたどり着いた。剥げた塗装に破れかけのトタン、冒険心をそそるような見た目である。
「ここで間違いない」
そう伝えると、今度は感知術式を展開した。どんなにみすぼらしい小屋でも、何かのトラップが仕掛けられている可能性は考慮しなければならない。
「大丈夫だ。入ろう」
小屋の中にはガラクタが散乱し、特に怪しい物はなさそうだ。
「かわいい招き猫ですね」
姫が古びたそれを見つけたとき、姉が反応した。
「それかもしれない」
「この猫がか?」
豪は魔術は呪文を唱えて射出するもの、という一般的な視点での疑問を呈した。
「一部の状態変化の術式を物に憑依させると、効果が弱くなる代わりに長期間持続するの」
「そうか。・・・それでもこの範囲の広さ、相当な術者のものということか?」
「そうね。遭遇しなかっただけ幸運と思いましょう」
招き猫を壊し、一行は帰途へとつく。麓から何かの音がするが、気にすることはない。
水源林を犯す術式を解き、これで渇水も少しはましになるだろう。一行は少しの安心感とともに下山の途へとついていた。進むほど木々は青さを取り戻し、本来の清涼な空気が満ちていく。
「何かサイレンのような音が聞こえますね」
姫はスナイパーとしての警戒心を働かせる。
「山奥の民家から通報でもあったのだろう。よくあることだ」
豪は経験則から答える。確かに麓にある道路の走行音が聞こえることは多い。
五人は豪、姫、軍導師、姉、勇の順で進んでいた。
「みんな止まるんだ」
行程の九割ほどを終えたとき、軍導師は焦り気味に引き留めた。
「登山口に強い魔力反応がある。敵がいるのかもしれない」
「サイレンならもう聞こえませんし、そもそも保安局はレジスタンス相手に目立つようなことはしません。先ほどの小屋に他の術式はかけられていませんでしたし、敵だとしても一般の警察、もしくは遭難者の救助隊の可能性が高いと考えます」
「慢心はしませんが、僕らにとって恐れるような敵ではないと?」
姫の的確な推察に、勇は確認しながらも納得する。
「とはいえ油断大敵です。隊列を保って進みましょう」
いざという時に聡明な姫、改めて心強いと思った。
それから約十分、眼下に車道が現れた。予想通り警察車両が一台、赤い光を灯しながらとまっている。緊張からか、勇の足はやけに震える。
「戦闘は極力避けたい。一般の登山客に扮して通り抜けよう」
軍導師の指示に、勇の心は引き締まる。
戦闘隊列のまま、石の階段を下る。車内の警察と目が合った気がするが、知らぬ素振りを保ちつつ進み続ける。
最後の段を降り、車道は目前だ。
「止まれ」
パトカーから降りてきた二人の警官は、険しい口調で一行を制止した。
「職務質問でしょうか?私たちはただの登山客ですが」
軍導師は上品な紳士を気取り、落ち着いた口調で返す。
「この登山口から出てくる者を全員調べるよう指示されている。五人とも身分証の提示を」
こんな時のために偽造したパスポートや保健証は持っている。
「それと身体検査もだ」
想定外、本来職務質問で身体検査は行わない。戦闘任務ではないため大型の装備は所持していないが、勇と豪は短剣、姫は拳銃を持っている。そのうえ警官の一人は男性、もう一人は女性のため、問題なく全員に検査を行える。
「まずはそこの紳士からだ」
男性警官はそう言うと、軍導師の保険証を見た。一般的な中年男性のものだ。
「何もないようだな」
魔術に装備は必要ないため、残りの4人のうち姉のみが装備を持っていない。つまり75パーセントの確率で武器の所持がバレるという事だ。
「次はそこのお姉さん」
「痛くしないでね・・・」
女性警官は姉の体を触る。羨ましいなんて言っている状況ではない。一時逃れの25パーセントを引き当てただけのことであり、何も解決していない。
男性警官が豪に近づく。
どうする。軍導師の記憶操作術は消費が激しく、一度に二人に対して行うのは不可能だそうだ。人殺しにはなりたくないが、この場で始末してしまえば、いや警官を殺せば捜査人員が増えるだけだ。パトカーには車載カメラが取り付けてあり、この様子がリアルタイムで警察署に送られている可能性もある。
この場での最善策は。
「みんな、山側へよけろ!」
軍導師の声とともに足元に亀裂が入り、警官とパトカーを囲んだ。深い穴が開き、二人の警官は飲み込まれていく。
「なにこれ意味わかんない!」
姫は普段とは明らかに違う口調を出し、一目散に逃げだす。他の三人も同様の声を上げたため、勇も追従する。
近くの駐車場に止めてあった車に乗り込み、勇は安堵とともに疑問を覚えた。
「た、タイミングが良すぎませんか?」
危機一髪の状況での落盤、ありえない。
「うまくいったな」
「うまくいきましたね」
軍導師と姫は少し誇らしげに答え、説明しはじめた。
「口では問題ないと言いましたが、やっぱり何か対策を取っておくべきと進言したんです」
「そこで使ったのが待機させておいた鬼君だよ」
つまりこれは奇襲ということなのか。下山の隊列なら二人だけで計画を練れる。
「下山開始直後、姫君がこの策を小声で提案してきたんだ。下山にかかる時間から考えて、敵は必ず登山口で待ち構えている。そこを鬼君の術式で落盤させ、警察を撃退する。その後怯えた演技で逃げだす。そうすれば怪しまれても怖くなりましたで一応は通る」
「あ、全部しゃべっちゃいました!私の考えた作戦なのに~」
少しふくれる姫はかわいい。
「じゃあなんで教えてくれなかったんですか」
「他の皆さんの怖がり方を真にするためです」
これは姫に言わせる軍導師、姫だからこそ許される言葉だと理解しているのか。罪深い。
「…今度は教えてくださいよ」
少しイライラしながら、勇は言った。
その後泥だらけの鬼が軍導師を責めまくったのは、説明するまでもないだろう。