第12話:「終わりなきエチュード」
◆広陵高校・音楽室
秋の陽が差し込む音楽室。夏葉はホワイトボードに、新しい練習曲のタイトルを丁寧に書き込んでいた。
「来月の定期演奏会、テーマは“Re:birth”。この曲が、その1曲目になるわ」
窓の外では、銀杏の葉が風に舞う。全国大会の熱気も落ち着き、日常が戻ってきた校内――しかし、広陵高校吹奏楽部は止まらない。むしろその熱は、静かに、でも確実に燃えていた。
部長「全国1位になっても、やっぱり練習は練習なんですね」
夏葉「当然よ。音楽は結果で終わらない。“次”が必ずあるの。だからこそ、演奏って面白いのよ」
副部長「“終わりなきエチュード”……ですね」
そう呟いた副部長の声に、部室にいた全員が頷いた。
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◆放課後・グラウンド脇
駿輔がランニングを終え、汗を拭きながら音楽室の方を見る。全国大会のニュースはプロ野球界でも話題になっていた。
駿輔「おかえり、夏葉。完全に“吹奏楽の先生”が戻ってきたな」
香奈「いや、前よりパワーアップしてますよ。なんたって、あの“ゴールド金賞の顧問”ですから!」
笑いながらそう語る香奈は、次のシングルに向けて多忙な日々を送っている。しかし、心はいつも姉の“現場”に寄り添っていた。
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◆定期演奏会・前日
ステージ設営、最終リハーサル、照明チェック――準備に奔走する部員たち。緊張と期待が入り混じる中、夏葉は一人ひとりに声をかけていく。
夏葉「今日の自分が、明日の自分を超える。その積み重ねが音楽を創るのよ」
部員「先生……次、泣くのは嬉し涙にします」
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◆演奏会当日:広陵高校講堂
演奏が始まると、観客の空気が変わる。
静かに、でも確かに会場の心が音に揺さぶられていく。
1曲目「Re:birth」――再生の序章。
2曲目「エターナル・ウィンド」――時を越え、響く風。
3曲目「Our Anthem」――“私たちの歌”。
そして最後、夏葉が指揮棒を静かに下ろした瞬間――
満場の拍手が巻き起こる。
観客席には、夏葉の母親と義母、そして香奈の姿も。静かに涙を拭う姿があった。
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◆帰り道・校門前
演奏会を終えた生徒たちが、笑顔で保護者に手を振って帰っていく。
夏葉「音楽って、ずっと“答え”が出ないわね。練習しても、どこまで行っても、完成はなくて……」
駿輔「でもその“未完成”を信じて、進み続けられる人だけが、届く音があるんじゃないか?」
その言葉に、夏葉は小さく笑った。
香奈「次の全国大会、また一緒に行きましょうね、お姉ちゃん」
夏葉「うん、“また”を重ねていこう。音楽も、人生も」
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◆ラストシーン・音楽室
誰もいない音楽室に、一枚の楽譜が置かれている。
タイトルは「Endless Etude」。
ペンで書かれたその楽譜は、まだ白紙のページが多かった。
だが、その空白はきっと、彼らがこれから奏でていく“未来”なのだ。
カメラが空を映し、エンドロールが流れる――




