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Times Limit Lover ~ プロ野球入団予定の私と隣人の鬼教師の時間制限の恋 〜  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『 Times Limit Lover』(夏葉視点)
27/39

第7話:「響け、約束の音」



――


◆広陵高校・音楽室(放課後)


(明日が定期演奏会本番。夕焼けに照らされる音楽室には、楽器を磨く音、譜面を確認する声、そして静かな緊張感が満ちている)


部員A(手にしたクラリネットを丁寧に磨きながら)

「先生……ついに、明日ですね。定期演奏会」


夏葉(譜面を見ながら微笑んで)

「うん。ここまで本当によく頑張ったわね。みんなの音に、ちゃんと“想い”が乗ってるのが伝わってきたもの」


部員B(少し頬を赤らめながら)

「ちょっと緊張してますけど……でも、先生が指揮してくれるなら、大丈夫かなって思えて」


部員C(軽く肩を回して)

「他校との合同演奏、正直プレッシャーやばいけど……でも、夏葉先生の練習、ちゃんと意味があったって、音で分かる気がするんです」


夏葉「ありがとう。大丈夫。みんなの音は、きっとちゃんと届くから。明日は、音で伝えましょう。これまでの努力も、想いも、全部」


(扉がノックされ、教頭先生が顔を出す)


教頭「お疲れ様。……明日の演奏会には教育委員会の視察も入るからね。気を引き締めて臨んでくれたまえ」


部員たち「「はいっ!」」


――


◆翌日・定期演奏会本番(体育館)


(会場には保護者、生徒、教員、そして教育委員の姿も。照明が落ちると、しんと静まり返る中、司会の声が響く)


司会生徒「これより、広陵高校吹奏楽部による第○回定期演奏会を開演いたします!」


(拍手の中、演奏開始。静かなピアニッシモから、力強く突き抜けるフォルテへ。観客の表情がひとつ、またひとつと変わっていく)


(中盤――他校との合同演奏。バランスの難しいアンサンブルが見事に調和し、ひとつの“音楽”となって体育館を包み込む)


教育委員A「……これは、驚いたね。指導の質が高い」


教育委員B「若い女性の先生だったと聞いていたが、見事な統率力だ」


(最後の一曲が終わると、しばしの沈黙のあと、大きな拍手が沸き上がる)


――


◆演奏会後・控室


(控室に戻った生徒たちの表情は、安堵と達成感に満ちている。額に汗を残したまま、誰もが笑顔)


部員D「……やりきった、って感じですね!」


部員E「私、実は去年まで音楽やめようかなって思ってたけど……今日で変わった気がします。やっぱり好きだな、って」


(その空気の中、ふと部員Fが顔を上げて)


部員F「先生って、昔はどんな成績だったんですか? ゴールド金賞とかって……本当なんですか?」


部員G「私も聞いたことあります!“選抜大会”とか“横浜大会”って……それ、全国クラスですよね?」


(生徒たちの視線が夏葉に向けられる)


夏葉(少し戸惑いながらも微笑む)

「そうね……。私が新任だった時、春の“全日本高等学校選抜吹奏楽大会”で金賞をもらって、秋には“全日本高等学校吹奏楽大会 in 横浜”でもゴールド金賞をいただいたの」


(静かだった空気が、ざわっと波立つ)


部員たち「「ゴールド金賞って……!? 全国で一握りの学校しか取れない、あの!?」」


夏葉「たくさんの方に支えてもらって、その時の生徒たちも一生懸命で……。あの経験があるから、私は今も音楽に向き合えているのかもしれないわ」


――


◆その後・音楽室


(控室を出て、楽器の片付けが終わった後。音楽室には、少し落ち着いた笑い声が戻ってくる)


女子部員「先生、そういえば……この前の高校野球の選手権大会、テレビで見ました!」


男子部員「学校紹介の時に“吹奏楽部が全国大会でゴールド金賞”って紹介されてて……マジで鳥肌立ちました。夏葉先生が指導してたって知って、誇らしかったっす!」


女子部員「吹奏楽部って、“野球の裏方”って思われがちだけど、音で戦ってるんだなって……思えたんです」


(夏葉、ふっと目を細めて)


夏葉「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわ。みんなの音が、誰かの記憶に残るって、素敵なことよね」


(そこへ、別の男子部員が声をあげる)


男子部員「先生……ちょっと聞きづらいんですけど、今プロに入ってる旦那さんって、当時大変だったんじゃないですか?時間とか、制限とか……付き合ってるの隠したりとか」


(空気が一瞬、静まり返る)


夏葉(少しだけ目を伏せて、それからまっすぐに生徒たちを見つめる)

「……うん。確かにいろいろあったわ。私もまだ大学生で、教育実習と並行だったし、彼も甲子園目指して必死だった。でも、時間は“作るもの”だったから。あの頃の私たちなりに、すごく大切な時間を過ごしてたの」


「……たとえば、映画館で。予告が流れてる間、ずっと唇を重ねてたの。静かな中で、何も言葉がなくても気持ちが通じてた」


部員たち「「ええええええっ!?!?!?!?」」


夏葉(少し照れながらも笑って)

「……長いキスだったなあ。今さら隠すことでもないし、恥ずかしいって思わないの。だって、あの時の気持ちが、今の私たちを作ってくれたんだから」


(生徒たちの間に、笑いと驚き、そしてあたたかな空気が広がっていく)


――


◆エンディング・ナレーション(夏葉のモノローグ)


夏葉(心の声)

「“響き”は、ただの音じゃない。誰かの記憶になって、心を揺らす力を持ってる。

私は、あの頃の自分と、今の生徒たちの“音”を通じて、また出会い直している。

過去も未来も、すべての想いを音に乗せて。

明日も私は、この場所で、また誰かの心を響かせたい


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