第5話:「響け、心をつなぐ… 音がつなぐ、ふたつの家族」
◆プロローグ:駿輔と校長・教頭の会話(前日・校長室)
(広陵高校 校長室)
校長「網谷くん。シーズン中に、わざわざありがとう」
駿輔(にこりと帽子をとって)「今日は、妻のことでお願いがあって来ました」
教頭「まさか、先生に退職させてほしいと?」
駿輔(笑って)「いえいえ。そういう話ではありません。実は妹の香奈が、明日こちらにサプライズで来たいと言っていまして」
校長「妹さん?あのGRT48の……!」
教頭「アイドルの?おお、それは……なかなかのサプライズになりますな」
駿輔「夏葉が吹奏楽部の顧問を引き受けてから、色々悩んでいるのを見ていて……香奈なりに励ましたいみたいです。今日はGRT48の活動も休みで」
校長「ふむ……なるほど。それなら協力しましょう。体育館も空いてますし、警備はこちらで手配します」
教頭「奥様には内緒で?」
駿輔「はい。喜ぶと思うんです。……いや、たぶん、泣くかな」
校長「よし、我々も一肌脱ぎましょう。学校全体のサプライズとして楽しみですね」
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◆東京・GRT48事務所(同日・夕方)
(社長室)
安本康晴「香奈、吹奏楽部とのコラボだなんて、お前から言い出すとはな」
香奈「お兄ちゃんの奥さんの夏葉先生、私、ずっと尊敬してるの。あの人、すごく努力してるから……なんか、私も動きたくなっちゃって」
安本「その気持ちは立派だ。楽器と音響機材はうちで用意する。全力でやってこい」
香奈「うん。お義姉ちゃん、びっくりするかな」
安本「泣かせてこい。お前の“音”でな」
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◆吹奏楽部・部室(土曜日 放課後)
(夏葉が部員に声をかける)
夏葉「今日の練習はここまで。合奏は明日に回して、各自の課題を忘れずに」
部員A「先生、来月の定期演奏会のソロって……」
夏葉「今週の合奏を聞いて判断するつもりよ。焦らず、自分の音に向き合って」
部員B「はい!」
(その時、部室の扉がノックされ、帽子を深くかぶった人物が現れる)
香奈(帽子を取ってニッコリ)「こんにちは、先生。サプライズ、成功かな?」
部員たち「えっ……!?えええええええ!?!?GRT48の香奈ちゃん!?なんで!?」
部員C「やばいやばいやばい!!夢!?現実!?」
夏葉「香奈ちゃん……どうしてここに?」
香奈「今日はGRT48の活動、お休みなの。お兄ちゃんが校長先生にお願いして、先生に内緒でサプライズするって決めたの。ちゃんと事務所の安本社長にも許可取ったよ」
夏葉「……駿輔が……」
部員A「えっ!?先生って、あの網谷駿輔選手の奥さん!?」
部員B「じゃあ……香奈ちゃんとは義姉妹!?」
香奈「そうだよー♪ 夏葉先生は私のお義姉ちゃん!」
(部室が騒然となる)
夏葉「でも、どうして吹奏楽部に?」
香奈「私、小中とずっと吹奏楽部だったの。今でも趣味でいろんな楽器吹いてるんだ。今日は体育館で1日だけのライブするの。みんなもぜひ見に来て!」
部員D「ど、どんな楽器吹けるの!?」
香奈「トロンボーン、サックス、チューバ、クラリネット、オーボエ、フルート……かな」
部員E「す、すご……!」
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◆夕方・体育館 GRT48香奈ライブ開幕
(照明が落ち、会場が静まり返る)
香奈「今日は広陵高校のために、1日限定ライブを開きます!吹奏楽アレンジで、特別なステージをお届けします!」
(香奈はトロンボーン、サックス、クラリネットを曲ごとに持ち替えながら観客を魅了)
部員たち「かっこよすぎる……」「あんな演奏、初めて見た……」
(ライブ中盤)
香奈「今日、ここに来たのは、演奏のためだけじゃないんです。私の大事な家族、夏葉先生を紹介したかった」
(カメラが夏葉を映す)
香奈「お義姉ちゃんは、努力家で、生徒にまっすぐな人。私にとっても音楽の師匠みたいな存在なんです。だから――これからも先生を信じて、ついていってあげてください」
(静かな拍手、夏葉の目に涙)
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◆ライブ後/舞台裏
夏葉「……どうして、あんなことを」
香奈「言いたかっただけ。お義姉ちゃん、ちゃんと誰かに褒められるべき人だから」
夏葉「私、吹奏楽部の顧問になったばかりで……うまくできてるか、不安だった」
香奈「みんな、ちゃんと分かってるよ。先生の音、先生の想い、ちゃんと届いてるって」
夏葉「……ありがとう。香奈ちゃん」
(そっと手を握り合う)
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◆夜・網谷家
駿輔「……どうだった、香奈のサプライズ」
夏葉「もう……最高すぎて怒る気も失せたわよ」
駿輔「ふふ、それはよかった。香奈も、お前のこと本当に大切に思ってるからな」
夏葉「……あなたがいちばん、大切にしてくれるだけで、十分よ」
駿輔「ありがとう、夏葉。……じゃあ、今夜はご褒美だな」
(2人、自然と唇を重ねる)
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◆エピローグ:GRT事務所・東京
秘書「社長‼︎ ライブの反響すごいです。SNSで吹奏楽部との共演がバズってます」
安本「ほう……やるじゃねえか、香奈。あいつ、本気出しやがったな」
秘書「“楽器も吹けるアイドル”って、新たな武器かもしれませんね」
安本「音と心で繋がれるやつが、本物なんだよ」
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◆ナレーション・夏葉
夏葉(心の声)
「“音”は、心をつなぐ。家族も、生徒も、そして――自分自身とも。
私は、もう一度“教師”である意味を思い出せた気がした」




