エピソード01 【 30分の時間制限 】
私、網谷駿輔。
誕生日も迎えて18歳になった広島市出身の男子高校生。
家の隣に住んでいる女教師。
佐藤夏葉 28歳。
彼女は生徒から鬼教師や悪魔と言われている。
とある日の水曜日…
もうすぐ、冬休みでクリスマスもやってくる。
私はクリスマスを先生と一緒に過ごしたいと考えていた。
「 網谷さん。」と名前が呼ばれた。
私は席を立ち先生がいる教壇へ向かった。
そして、プリントを貰い…
その時に私は小さな紙を先生のポケットに入れた。
「 なんだ?これは… 」
「 後で見て! 」と私は自分の席に戻った。
「 な、先生に何渡したんだ? 」と1人の生徒。
「 それは、秘密。」と私は彼に言った。
紙の内容は…
{ 今日の夜に私の家に来てくれますか? }
先生はその紙を見て、分かったと口元でそう言った。
授業が終わり… 私は野球部へ。
夜も暗く、部活も終わり急いで家に向かった。
家族で夕飯を食べ、私は自分の部屋で携帯を触っていた。
「 駿輔。夏葉さんがいらっしゃったよ! 」と母親の声。
階段の上がってくる先生の足音が聞こえた。
「 お待たせ!駿輔。で、話はなんだ?30分しか時間が無い。」
「 まぁ、良いから… 先生座って! 」
私は先生をベットに腰掛けさせた。
「 先生。単刀直入に言う。付き合ってくれ! 」
先生は驚いた。
「 はぁ、駿輔。それ本気で言ってるのか? 」
「 うん。本気で言ってるよ! 」
「 どうして、私なんだ? 」
「 ん?先生が可愛いから… 」
「 ・・・・」
先生の間は少し空いた。
「 先生、顔真っ赤だよ? 」
「 五月蝿い! 」
「 で!どうですか?私と付き合ってくれますか? 」
と、すると、私の部屋の扉が開いた。
「 お兄ちゃん!クリスマス予定空けといてね! 」
コイツは妹の香奈。GRT48のメンバーである。
「 香奈。いつ来た? 」
「 え?今さっき… あ、夏葉さんこんばんわ! 」
「 香奈ちゃん。こんばんわ!アイドル活動は順調? 」
「 はい、なんとかやってます。」
と香奈は私と夏葉の2人とも見て何かを察した。
「 クリスマスイブ… 12月24日空けといてくれる? 」
「 おう!良いけど、中学校の友達とかは? 」
「 それはクリスマスの時にするから大丈夫。」
「 分かったぞ! 」と私は香奈に言った。
「 まず、お兄ちゃんは夏葉さんとの関係を何とかしないとね… 」
「 ちょっと待て。俺は何も言ってないぞ… 」
「 うん。だって、扉に耳当ててたもん。」
「 ちょ、お前。それ悪いぞ! 」
「 なら、お兄ちゃん。そう言う事で…
夏葉さん。お兄ちゃんの事宜しくお願いしますね! 」
と私の部屋を出て行った。
「 あのヤロー。」
「 香奈ちゃんにバレてしまいましたね… 」
「 で、私と付き合ってくれますか? 」
「 分かりました。但し… この事を友達とか同級生に喋ったら、ぶん殴りますからね。」
「 お…… 怖い。流石鬼教師って言われる事のある。」
「 なら、そう言う事で… 明日学校で。」
と夏葉さんは自分の腕時計の時間を見て部屋を出てった。
部屋の奥からは、母親が…
「 あれ。夏葉ちゃん… もう帰るの? 」
「 学校の仕事があるので帰らせて頂きます。」
「 またいらしてね! 」と小さいが会話が聞こえたのだ。
私は部屋の時計を見ると、丁度30分だった。
選手権も準優勝に終わり、プロ野球もドラフト1位で広島。
広島県の冬休みは…下記の通りだ。
《 12月24日(金)~1月6日(木)》
私は明日の修了式に向け、準備を整えた。
そして、早く寝て、明日に迎えたのだ。
12月23日は修了式であり昔は天皇誕生日と言われていた。
今日は12月23日はクリスマスイブの前日。
私の学校は2学期を終える修了式。
修了式当日。
私は家を出ると…
「 おはよう 」と夏葉さんの声がした。
「 先生、おはようございます! 」
「 おはよう。網谷君!今日は修了式ですね… 」
「 はい、先生も遅れないで来て下さいね! 」
と昨日の夜にあった事を忘れたかのようにいつも通りの日常に戻った。
そして、学校に着いた。
「 おはよう! 駿輔。」
「 駿輔、おはよう!」と何人かの男子。
「 駿輔君。おはようございます! 」
「 駿輔君。今日修了式だね! 」と女の子達。
「 さぁ、皆さん。今日は修了式です。体育館に向かいましょうね! 」と私達のクラスに言い、教室を出た。
そして、体育館に着き、椅子に座るのでは無く… 立ったまま。
それも校長先生の長い話を1時間聞く羽目になった。
修了式も終え、私達は教室に向かった。
「 あー。長かった! 」
「 1年の時も、2年の時も… 校長先生の話って重要か? 」
「 いや、偶に意味わからない事話すから何の事やら… 」
「 それ俺も思うわ! 駿輔も思うだろ? 」
「 あ、そうやな… あーあ。 」と欠伸をした私。
「 で、話変わるけどさ。明日クリスマスイブなんか予定あるか? 」
「 私は無いよ!」
「 俺も無い。カラオケでも行くか? 」
「 私も行きたい。カラオケ! 網谷君は? 」
ある1人の女の子に言われ…
「 あ、俺はあんまり歌えないから良いや。」と答えた。
「 あ、そうなんだ!分かったよ! 」
「 なら、さ。正月とかは? 」
「 正月は妹とか来るし、家族で一緒に過ごしたいなぁ 」
「 そういえば… 網谷君の妹って香奈ちゃんだったよね? GRT48の。」
「 そうだよ。」
「 アイドルが身近に居るのって羨ましいね… 」
「 そうかなぁ〜 」と私は答えた。
「 あ、言い忘れてたんだけど…
正月って網谷家は香奈ちゃんも含めて神社行くの? 」
「 ん?分からない。香奈次第かな… 」
「 もし来るんだったら話してみたいわ! 」
「 一度も見た事ないから、生で見てみたいわ! 」
「 なら、俺も見たい! 」
「 なら、私も見たいわ!香奈ちゃんを… 」
「 もし、香奈来るんだったら連絡するから! 」
と私は組の皆に言うと…
「 駿輔。流石!」
「 網谷君。連絡待ってるね! 」
1人の女の子は何人かに聞いた。
「 そういえば… 皆。大晦日や正月後とか何見る? 」
バラエティ番組観る! だの…
刑事ドラマ観るよ! だの…
録画した映画やドラマを観るよ!だの…
家族とちょっと旅行しに行くだのと意見は様々。
夏葉さんがクラスの皆に手を叩き始めて言った。
「 明日から冬休みに入ります。羽目の外さないように… あと警察沙汰とか面倒な事で先生を呼ぶ事の無いようにお願いしますね!では、1月7日(金)に学校でまたお会いしましょうね!今日は一日お疲れ様でした。」
クラスの皆は席を立ち、数人が教室に残り、
他の人達は教室を出て行った。
“ カラオケ今から行く? ”
とか
“ 今からマック食いに行く? ”
とか
“ 今から焼肉食いに行く? ”
とか言ってる男子。
“ 今からパンケーキ一緒に行く? ”
“ 行く行く。” “ 私もパンケーキ食べたい ”
とか
“ 新しくオープンしたカフェ見に行く? ”
とか言ってる女子達が居た。
私は教室を出ると、先生に呼び止められた。
「 網谷君。30分話あるので、職員室へ来て下さい。」
「 おい、駿輔。お前何かしたのか? 」
「 いや、何もしてないと思う。」
私は明日(=クリスマスイブ)の予定だとは知っていたが… 友達には言わなかった。
そして、職員室へ入った私。
佐藤先生の机へ向かった。
「 網谷君はプロの世界に入るひとだから、あんまり羽目を外さないようにね。警察沙汰になったらプロ野球の世界に参加出来なくなるからそれだけ分かって下さいね! 」
と他30分間話すだけ喋り、小さな紙を私の右手に渡した。
「 なら、それだけ。気を付けて… 」
と先生に言われて、私は他の職員に御辞儀をし… 教室を出た。
下駄箱で靴を履き替える時に、先生に小さな紙を渡された事を思い出した。
その紙には…
{ 今日の夜、私の家に来て下さい。}と書かれていた。
私はその紙を破り捨て、
洋袴の衣嚢に押し込み、学校を出たのだ。