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黄土色の就活

内定はあっさりと出た。東京で、基本給22万、土日祝日休みで、フレックス有り、残業時間の兵器にが17時間とか。

一瞬、ここでいいじゃんと思った。下手な公務員よりホワイトな環境で働けそうだ。


「東京で基本給22万円なんいて低すぎる、やめとけ。手取りなら17,8万だぞ。生活できない。」

「そんな働き方で良いのか、情熱とロマンがない。」


親に言われた。黙れ口出ししないでくれ、もう家を出たいんだ。

多分心配をして言ってくれ手の事なんだろうが、もう嫌だ。


今までの人生で後悔は数えきれないほどしてきたけど、その中で一番大きな後悔は親に判断をゆだねた時だ。

自分一人ならしてきたであろう後悔を、親の助言で回避できたことももちろん多いが、なぜだか今も心に残る後悔の多くは、親の言葉を聞き入れた時や、いうことを聞かされた時がほとんどだ。


もちろん、自分が悪い。自分の頭で考えて、無理を突き通してでも自分のやりたいことを突き通せばよかったのに、それをしなかったのは自分自身だ。


「お前は誰かに殴られても、殴り返してはいけない。」


これに従ったことが自分のなかでは一番の後悔かもしれない。

従ったというのは違う。この言葉に後押しされた自分が一番嫌いで、後悔の対象だ。


母親は異様に秩序を重んじるタイプだった。

さすがに大抵の親は、やられたらやり返せ智教えないだろうから、仕方がないことだとはわかっている。


けど、殴られても口で言い返すしかできなかったこともあってか、なめられていじめはエスカレートをした。

結局、最後は親に告げ口して大人に介入してもらい、解決された。

そして俺は関わると大人が出てくるめんどくさいやつとして、周囲から認識されるようになった。


元々気が弱く、ねちっこい性格の自分はその場でやり返せず、その悔しさをずっと引きづって活きてきている。

大人の力を借りて、介入してもらって、いじめてきたやつに頭を下げさせたところで、自分が虚しくなるだけだった。

皆が当たり前にできることがまったくできず、空気が読めなかったので、毎年のようにいじめられていた。


自分の性格を変えて、中学2年生からはいじめられなくなったが、何を言われてもニコニコし、本当の気持ちを空気を読んでずっと覆い隠すようになっていた。

もう変な目で見られるのは嫌だった。

けどもともと変なので、いじめられなくても浮いてしまっていた。


ただでさえ変な奴だったところに、さらに気弱な本性。

そこでやり返すなという言葉でなめられ、自分がいつしかすり減ってしまった。

9条で縛られる日本と、中国のようなものだ。もっとも、9条は防衛なら反撃できるようだけど。


結局、暴力の場に面して何かを侵害されても、その場で身を守る事ができない自分は、大声で怒鳴られたり、暴力を受けた時に常に体がすくむ、なめられる弱虫になってしまった。

当然、元からの性格も悪いのだろうが。


「○○くんは、殴り返さないから偉い。君は悪くない。」

俺はそんな大人からの評価が欲しかったわけではない。

俺が欲しかったのは、殴られても尊厳とか、プライドのために身を守った経験とか、殴りあってもそのあと仲直りができる等身大の友達だった。


やり返さないと子供の社会ではなめられてしまう。

そこで植え付けられたトラウマは、自信のなさと孤独感になって自分を今蝕んでいる。

ルールを守って、優等生であることは大切かもしれない。

けど、それを必要以上に守り過ぎて、自分で自分を縛るようになると、ルールを守ってるやつはつらくなる。


親の言うことを真に受けすぎると、今、今後下手したら40年働くかもしれない自分の仕事選びに、親の判断を入れるような人間に育ってしまうかもしれない。


俺より後の子達には喧嘩したり、反発しろとは思わないけど、自分で考えて結論を出すことはエネルギーがいるけど、それをできる人間に育ってほしい。俺は結構反発して、親に迷惑をかけた方だけどこうなってしまった。


ちなみに、そんな社会に迷惑をかけてはならないスタンスできた両親。

仕事の情熱に疑問を投げかけてきた父親は、自分の会社を持つものの、その訳の分からない仕事への熱で従業員の一部に鬱陶しがられ、毎日胃を痛めている。


母親は、すぐヒステリックになって、物を投げつけてくる。前の仕事で病み、現在は人前で文字を書くと手が震えて書けなかったり、勝ち気で気が強い、典型的なフェミニストで男に力で叶うと思っていたはずが、そういうのを苦手とするようになった。口ではわかったようなことを言うが。


受自分が行った行動のつけを払うのは、社会に出たら自分だ。

社会に出る前からも、人の言うことを真に受けすぎて、判断を他人の意見に委ねても、そのつけは自分が払う。


だから、たとえめんどくさくても、後悔しそうでも、辛くても、他人の意思を介入させ過ぎてはいけない。

ある一面で他人は、君より君のことを知っているかもしれないが、もう一面では君が一番君のことを知っている。


君の行動の結果が一番直結するのも君だ。

だから君自身が、自分の頭で考えて、自分で結論を出すんだ。

じゃなきゃ絶対後悔する。


そんなことを考えながら、内定をもらって終えたはずの就活、マイ○ビをまた開いている自分が怖くて、嫌で、気持ち悪い。不快感がする。親の思う人生なんて、後悔する。自分で決めたい。頭でわかっているのに。



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