就職活動 マイ〇ビはマッチングアプリ?
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沙也加先輩にフラれたその日、3回吐くまで酒を飲むのをやめられなかった。当然2日酔いに...。それどころか3日酔いにまで突入した。
3日酔いの中で見た夢にまで沙也加先輩がでてきた。相当入れ込んでいた。思えば色々やっていた。先輩を喜ばせたくて、一緒に居て楽しいと思ってほしかったからその人が好きな小雑貨トークができるよう色んな小雑貨の勉強をした。好きだという歌をピアノで練習して披露したり、ダイエットしたり、なんだか自分が今までで一番本気になれた気はする。結局フラれているから後の祭りだけど。夢の中ではイケメンと一緒に居た。気持ち悪い自分の考えは夢に如実に反映されていた。
放心状態でしばらく過ごして、そしたらいつの間にか2月になって、就職活動の時期が来てしまった。もちろん何の用意もできてない。中途半端な自分と向き合わなければならない時期がついに来てしまった。
「絶対後悔するよ。」
あいつの言葉がまた響いた。本気出しても後悔するじゃねえか。
後悔の星の下に生まれたんじゃないかってぐらい後悔から逃れられない。
取り返しのつかない大きな挫折をする度に考えてしまう。発達障害持ちで何をするにも要点を外す、理解・着目する点のピントが合わない自分が見ている世界は、同じ景色を見ているようで他人とは全く違くっていて、何をするにもだめで、そんな自分は誰にも好かれない。孤独で寂しい人生を、一人で歩んでいく暗い未来しか待っていないのではないかと。事実そうなのかもしれない。この考えのるつぼにはまると、どうあがいても逃れられない。
そんな心持で迎えた就活解禁の3月1日。
自己分析だけはボチボチやっていたが、やればやるほど自分が何をしたいかが見えてこなくなる。
ブラックホワイト以前に、やりたいことなんて何も見えてこなかった。
沙也加先輩に接していて、他人を喜ばせることが好きな自分に気が付けた。
他人を喜ばせる仕事につきたい、のかな。
そんな風に思っていたが、働くことの本質を言い換えているだけで、何の役にも立たない。
だって働くって他人に価値を与えて、その見返りにお金をもらうことだから。
他人を喜ばせるなんて当たり前の話で、ほぼすべての仕事にそれは当てはまる。
商社・メーカー・建築・IT・観光・人材・インフラ
どんな業界を見ても働きたいなんて思えなかった。
一緒に過ごしたい愛する人もいなく、現代社会ではほぼ無能の烙印にしかならない発達障害、ぬぐえない孤独感、長時間拘束。
公務員でも目指せばよかったのかもしれないが、面白いと思えず、講座をとったものの全く勉強してこなかった。もう間に合わないだろう。
まあ、自業自得だ。いつも通りの。こうしてまた一つ後悔を重ねるのだ。
「あの時こうしていれば」なんて10年後に思うのだ。
俺の後悔を予言したあいつは今何をやってるんだろう。
陽キャそのままに、華やかな日々を過ごしているのだろうか。
まあ、そうであってほしいかも。いや、どうだろう。
もう関係ないか…。
寝酒を煽り、現実から逃げて今夜も惰眠をむさぼる。
就職活動を終えた先輩が言っていた。
「就活はマッチング、結婚みたいなものだ。」
じゃあマイ○ビはマッチングアプリみたいなものなのだろうか。
なんてくだらないことを考えに耽りながら、その考えもすぐ移り変わって、いつのまにか寝た。
ありがとうございました。