話と違う
「とまぁ、お話しする程ではありませんでしたね。見て頂いた通りです」
何処からともなく取り出した杖でアスタロットに頭を軽く叩かれると、映画の1シーン1シーンと同じよう脳裏によぎる。
何あれ!?
説明されたはずですよね!?
説明されるものですよね!!?
今、第三者的な映像が頭に流れてきましたよ!
「言葉での説明など、めんど...ご理解得難いものですので、ワタクシが得意な術で情報を直接脳にいれさせて頂きました。」
ちょっと、いや本気ですか?あれが『説明』なの?
しかも、面倒って言おうとしてました。
誤魔化しても誤魔化さなくても、本人痛くも痒くもなく、あえて言い直してこちらの不安をあおいでる感じがヒシヒシ伝わる。
先程の紳士的なイメージが打って変わり、目の前のアスタロットは言い知れない。元々、悪魔なんて理解の範疇を軽く越えちゃってるから、説明を真面に求めちゃいけないわけか。
映像で見えた、中世ヨーロッパみたいな街並みを抜けた先な教会が建っていた。多分、あそこが『命数管理局』だろう。ツッコミ大部分もあるけどスルーしよう。それより、その建物から煙がこれでもかって上がっている。
不幸中の幸いなのだろう、教会は町からかなり離れていたらしく、被害は教会だけのようだ。あんな映像見せられて、私にどうしろと言うのだろう?
思うに、私が見た映像の持ち主はアゼットで、つまり...あの後...
『死んでますよ?あなたに刺激が強いと思われる部分は編集されてますので、必要なら御見せできま......』
結構です!
私自身の常識と彼らの常識は違う事が身にしみてわかった気がした。
...って今、念話?
今の段階では彼らは私に対して下でに出ているが、気を許した瞬間、食べる気満々!?
『落ち着いてください。今は違いますから。当分はあり得ませんよ?』
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『冗談です!』
「アスタロット様、お願いだから許可なくいきなりで念話で心読むのやめてください。」
彼には逆らわないほうがいいだろう。私の本能がそう告げた。