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非日常の回想録

〜I〜 ミっちゃんが叱ったんだ2

作者: 為下波図

 ミっちゃんが、これくらい覚えなさい、って叱ったんだ。いつ訊かれてもすぐに答えられるようにって。


 文言を10個くらい覚えていないといけなかったんだけど、途中から言葉が出なくなって、課題を与えられたんだ。

 それは朝一番の話で、昼休みに訊くからって言うんだ。


 驚いたよ。たしかに答えられなかった僕は何も言える立場じゃないよ。でも、新しくあれもこれも、さらに昼休みまでに覚えろって、それはないよね。

 あの剣幕で言われたら、午前中の予定なんて無視して、覚えることに集中するしかないよ。誰かに話しかけられても上の空さ。


 昼休みに入ってすぐに電話が来たよ。ミっちゃんだってことは、鳴った瞬間に分かった。

「朝の件はもういい。けど、覚えておけ」

 詰まっていた気血がいっきに流れだしたよ。


 僕の様子を見ていた誰かがミっちゃんに言ったらしいんだ。すべき事が手につかなくなるような課題なんて出すな、っていう感じのことをね。


 結局、文言を覚えたかどうか、ミっちゃんに確認してもらうことはなかったよ。事実、覚えられていなかったから、もしも訊かれていたら、と考えるのも嫌だよ。


 ただ単に覚えるだけってことが昔からどうも苦手で、ミっちゃんに叱られたときに、なんとか覚えていたら、もう少し器量の大きな人間になれていたのかもしれない。


 応えられなかったけれど、ありがとう、ミっちゃん。

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