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54.少女漫画のヒロインの本性3

わたしはソフィアに嫌われているのか?

答えはYES。

ソフィア自身と彼女の侍女の反応から、そうだろうと思っていた。


だけどわたしには、ソフィアに嫌われるほどの接触を、した覚えはない。



これはもしや。

ソフィアも転生者で、悪役王妃のはずのわたしを嫌っている、ということか?


あり得るよなあ。

そんな展開のネット小説、あったもんなあ。



もしソフィアが転生者で、この世界の元になった漫画のことを知っているなら、話しあえばわたしが悪役をやるつもりがないってことを分かってくれるかもしれない。

でも、ソフィアのあの態度なら、「あんたは悪役なんだからヒロインである私を引きたたせなさいよ!」なパターンになるだろうな。

悪役令嬢よりヒロインのほうが性格悪いパターンな。


そもそもルイーズにさえ話していない転生者だという秘密を、あんな態度の人間に明かそうとは思えないし。

わたしは自分の生活を守りたい。


ソフィアが転生者だとしても、わたしを悪役扱いしようとしたら、迎え撃つまで。



「ソフィア殿下の、ロジーナ様への振る舞いがよろしくないのは気づいておりましたが」

「話しかけようとしたらあからさまに睨まれたからねえ」

「まさかマリカ公国で、ロジーナ様を中傷するビラを、ご自分でまいていたというのですから」

「さらに城の壁に『トイレの王妃様は意地悪ババアと落書きをした』とか」

「ご自分と仲の良い貴族の子息らを、アイオライトへ派兵するようけしかけてみたりとか」

「わたしが一番笑ったのは、自分の誕生日のパレードで、トイレの王妃様の似顔絵に火をつけるパフォーマンスをしたところかしら。国中で祝ってくれている誕生日を、自分でめちゃくちゃにしていることに気づいてなかったのよね、あの子」

「……よくもまあマリカの大公と奥様は、そのような娘をこちらに寄こしましたわね」



ブリジット様が教えてくれたソフィアの行動は、漫画で読んだヒロインより、だいぶアクティブな感じだ。

お茶をいれてくれているルイーズが、これ以上ないというほどイラついている。



「本当にね。本人がそこまで嫌っている相手に無理して寄こしてくれなくてもいいのに」

「私、ブリジット様にお聞きするまで、ソフィア殿下のことは、ただの生意気で常識知らずで礼儀のなってない公女様だとばかり思っておりましたが、母国ではそのようなことをなさっていたなんて、どうしてウィリアム陛下はあの公女様を迎えいれられたのでしょうか」



ルイーズの疑問も尤もだ。

ただ、わたしは、ウィルがソフィアを受けいれたわけではない、と感じている。

あの婚姻の式の日以来、ずっと。


ソフィアの寝室は豪華な設えだけど、ユアンの部屋からはめちゃくちゃ遠いし、ユアンがソフィアの寝室に入ったという報せはまったく入ってこない。

それどころか、なかなか来ないユアンに焦れたソフィアが使用人たちに当たり散らしている、という話ばかり聞こえてくるここ数日。

やっぱりウィルもユアンも、ソフィアを家族にしたと認めてないのかしら。



何より気になっているのは、ウィルがソフィアを評して「かわいらしい娘」だと言っていたこと。

幼かったユアンやシャロンを褒めるとき、ウィルが口にするのは「かわいい子」だった。

今でもたまに、シャロンには「かわいい子だね、さすがパパとママの娘だね」と言っている。

臣下の子や犬や猫の仔にも、「かわいい」とは言うけど、「かわいらしい」と言ったことはなかったように思う。

何か使いわけているんだろうか。

ソフィアなんて、どこからどう見てもかわいいヒロインなんだけどな。

あんなに睨みつけるような目をしないでふんわり笑ったら、わたしでもとろけてしまうだろうに。



「他国の、それもその意地悪ババアが王妃をしている国に噂が届きかねないくらい、マリカ公国の中ではソフィアのロジーナ嫌いは有名だったのでしょう。それをウィルが知らないとは思えないわ。むしろこの情報を手に入れていなかったわたしのほうが、王妃として問題だわ」

「いいえ! それはロジーナ様ではなく、ロジーナ様の手となり足とならなければならない私、ルイーズの責任でございます」



ルイーズは相変わらず責任感が強い。

不甲斐ないわたしをずっと慕ってくれている。

わたしにできることはあまりにも少ないのに。

悔しくて、お茶請けに出された薔薇の砂糖漬けを齧る。

薔薇の香りが鼻の奥にがつんときて、泣いてしまいそうになる。


ウィルは、どうしてわたしに何も言ってくれないのだろう。


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