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サクッと世界が終わらせられた話  作者: ☆4IPON☆
第一章
6/21

第五話 相田さんの話

今回は少し短めかもしれません。

ウィルスの謎が少し明るみに出る回になると思います。

それでは、第五話をお楽しみください。

Now lording...

データを取得中...

Wondows/system :[■■■■■□□□□□]50%

2019/9/5 P.M.01:00


「うーん、やっぱりダメだ。」


「にしてもなんだこれ、キモイな。」


「そういうこと...ハッキリ言うんだね。」


「あ?お前はキモイって思わないのか?」


「え、むしろカワイイ...。」


「ハァ!?ありえねーわ、お前、大丈夫か?」


「そこまで言う...?」


「まぁまぁ。さて、この子に餌を与えてやりたい人はいるかな?ほら、さぁ。」


「...!私、やりたい。」


「正気かよ...。このウニョウニョしたちっこいやつのどこがいいんだよ...。」


「カワイイでしょ...。ウニョウニョしてて、白っぽくて、小ちゃくて...。」


「最後は...あ、薄羽が持ってきてくれたガラケーだね。」


扇は、純粋な笑顔でガラケーをウィルスに与えた。


「あ、食べてる。なんか、食べるの早いんじゃない?」


「お、これはいい反応だね。薄羽、このガラケー、もっと集めれるかな?」


「周りに掛け合ってみないことには分からんが、まぁ、そこそこの量なら集めれるだろう。」


「そっか、じゃあ、よろしく頼むよ。扇も、これからはガラケーを中心に集めてみてくれる?」


「はわぁ...。うふふ...。」


「おっと、自分の世界に入っているようだね。」


「マジで、あれのどこがいいのかわかんねー。」


「...扇、初対面の時はコミュ障かこいつ、って思ったけど、最近はなんかこう、元気になったというか、感情が出てきたというか。」


「あぁ、まぁ人ってもんは変われるもんだ。」


「ふふ、まぁ、そうだね。」


「いやぁしかしなぁ、まさかお前がウィルスをわざわざうちまで持ってくるとは思ってなかったわ。」


「ん?問題あった?」


「外に持ってきててバレたらどーすんのよ。」


「このウィルスのことを知ってる人、世界に数人しかいないんだよ?そこらへんの一般人に見られたところで、スライムとしか思われないから。」


「その数人が、俺ら以外にいたらどうすんのよ?」


「まぁまぁ、今日、ちゃんと持って帰るから。みんなに一度見せておきたかったんだよ。この子。」


「見れて良かったとは思えないがな。」


「えぇ!?思えないの!?」


「なんで驚いた?」


「え、こんなカワイイのを見れたら良かっただろ!?」


薄羽が若干食い気味に答えた。


「だーから、俺はカワイイなんて思ってないの!逆に気持ち悪くてしゃあないの!!」


「ねぇ、もっと餌あげていい?」


「うーん、何台あげたかにもよるけど、3台くらいまでならいいよ。」


「うん。わかった!」


「本当に変わったな、性格。もう普通に会話できるレベルだな。良かったじゃねぇか。」


「扇が女の子だってのも、ビックリしたけど、まさか、こんなにカワイイとはね。」


「性格の話してるってのによ、のんきなもんだなぁ、お前は。」


薄羽には、ずっと話そうとしていたことがあった。


それは、相田についてだ。相田には、少しよくわからない部分があった。


「なぁ、ちょっといいか?お前、世界で数人しか知らないウィルスの存在を、なんで知ってたんだよ?」


「ははは、やっぱり君は勘がいいね。いいよ。答える。」


「そりゃどーも。まず一つ目。そのウィルスの存在を知ったのはいつだ?」


「君たちとスレッドで会った日から、だよ。」


「二つ目。じゃあ、どうやって知った?


「答えるけど、このことについてはここの三人以外の人間には、絶対に話さないでくれよ。俺、このことについて話すつもりなかったからさ。」


「あぁ、他言しないと約束しよう。」


「助かる。実はね、このウィルスを作ったのが、俺の母親なんだ。」


「じゃあ、お前の母さんがわざわざお前にウィルスの存在を教えたのか?」


「違う。俺の母さん、俺が中三の時に癌で亡くなったんだけど、まぁ、大事なのはここからなんだ。」


「お、おう。」


「あの日、どこから送られてきたかわからない文書が届いたんだ。真っ白な封筒に入って。その文書、なんかの研究資料みたいだった。」


「そうか。その文書は、結局なんだったんだ?」


「俺の母さんの、研究結果報告書だった。」


「なんだそれは?」


「ビックリしたよ。ウィルスの作り方が、A4紙二枚にまとめられてた。」


「は?わけがわかんねぇ、そもそもよく作る気になったな。作った上で、あのスレッドを立てたのか?」


「うん。そうだよ。思いの外簡単に作れちゃった。母さんの研究用機材とかは、俺が半分近く持ってたからね。」


「...最後に、もう一ついいか?」


「なに?」


「三つ目、その文書、本当にウィルスの作り方だけが書いてあったのか?なんかもっと別のことが...。」


「本当にごめん。これ以上はさすがに答えられない。」


「...そうか、色々ありがとう。」


俺は、まずい状況だってことに気付いちまった。


「母親のことは、気の毒だったな。」


「何年も前の話だけどね。もう、慣れたよ。」


この時に言っておくべきだった。


「扇にも、話すところは話すんだろう?二人きりになりたいか?」


「気遣ってくれて、ありがとう。そうしてもらえると、助かる。」


なんで、言わなかったんだろう。もう少し、早ければ。


「そうか、俺はリビングにいるからよ、この部屋、使ってくれていいぞ。」


「すまない。じゃあ、話終わったらリビングに行くよ。」


相田は、

あんな酷い目にあわなくて済んだのかもしれないのに。


あのまま、俺は部屋を後にした。


後悔することになったのは、2020年7月24日。


東京オリンピック、開催の日。







サブタイトルは、相田さんの話となっています。ですが今回は、これまでのように相田自身に語らせる、といった形ではなく、相田と薄羽の会話の中で、相田の過去やウィルスの話が少しずつ明るみに出てくる、という形で書いてみました。久々に東京オリンピックっていう名前が出てきましたね。相田と薄羽と扇に与えられた時間は残り半年とちょっと。さて、これからどうなるのでしょうか...。

それでは、次回も良しなに。

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